「燻製」というと、贈答品でもらうちょっと高級な加工肉製品やチーズなどを思い浮かべますし、作るにはきっと手間がかかるのだろうと思っていました。ところが熱燻調理が自宅のテーブルでも可能なドウシシャ「LIVE クイックスモーカー シェア LCQS-SHARE 」を使ってみたところ、15分程度もあればとても簡単に食材を燻製にできることがわかりました。いろいろな食材を燻製にできることもわかって、燻製に親しみがわきましたし、その奥の深さを知りつつあります。今回はそんなお話をしていきましょう。
執筆者のプロフィール
千秋 (ちあき)
インドアな仕事をしながら、最近になってアウトドア・レジャーもいいなと思い始めたものの、本格的な登山をするほどではない「やわらかアウトドア」派。どちらかというとやや陰キャ。カメラ、コンピューター、デジタルガジェットも好きで、ネットショップ、ホームセンターあるいは百円ショップでも「安いけどお得な感じ」なものはないかと考えるのが好き。
燻製とはどういうものか
加熱時間と温度でできることが変わる
みなさんは燻製はお好きですか。ふだんからよく召し上がりますか。
筆者自身はもしそうたずねられたら、しばらく考え込んでこう答えたと思います。好き嫌いを考えたことはないし、たまに食べるだけだと。
贈答品のハムやベーコンなどの加工肉製品やチーズの詰め合わせには、燻製されたものがセットに入っていることが多く、そういうものをときどき食べる程度だったと思います。
あるいはサンドイッチの具にスモークドサーモンが使われているものを選ぶとか。そして、基本的にはなんとなくお酒のおつまみという印象も。
少なくともいままではそうでした。つまり、自分で積極的に買うことはあまりなかったわけです。そもそも、燻製というものについてよくわかっていませんでしたから。
熱燻、温燻、冷燻にわけられる
燻製とは、下味をつけた食材に香りのいい木材を熱して発生する煙を当てて、食材を乾燥させると同時に煙に含まれる殺菌成分を浸透させて、さらに風味をつける調理方法です。調理方法は「スモーク」ともいいます。
木材を意図的に不完全燃焼させて、煙に含まれる殺菌および防腐成分を食材に浸透させるわけです。そして熱する温度により、熱燻(ねっくん)、温燻(おんくん)、冷燻(れいくん)にわけることができます。
このうち「熱燻」は80℃程度の熱を使うもの。木材を加熱すると同時に、食材の加熱調理も行います。10分から60分程度の短時間で調理できますが、食材の水分が残るために保存を目的とした燻製ではありません。むしろ、風味をつけることを目的として行います。
「温燻」は30〜60℃程度で数時間から一日いぶす方法。そして「冷燻」は15〜30℃程度で1週間から4週間程度いぶす方法だそうです。食材の乾燥も同時に行い保存できるように仕上げます。とくに「冷燻」には本格的な設備が必要になります。食材の保存用に行う「燻製」は通常はこれらを指します。
店頭で売られている加工肉製品の燻製は、こういう処理がなされているものなのですね。その付加価値も値づけに反映されているから「ちょっと高級」に思えたのかも。
でも、熱燻ならばそれほど手間や時間がかからないのか……。大がかりな設備がなくてもできそう。そのことを知ると、燻製が少し身近に思えました。もしかして自分でもできるのかも、という好奇心さえ湧いてきました。
そんなときにドウシシャに、家庭で手軽に熱燻調理を楽しむことができる「LivE クイックスモーカー シェア」( LCQS-SHARE )という製品があることを知りました。これならば筆者でも燻製が作れるのかな、やってみたいなと思ったわけです。
ドウシシャ「クイックスモーカー シェア」とは
自宅のテーブルの上で熱燻を楽しめる
ドウシシャ「LivE」ブランド製品である「クイックスモーカー」は固形燃料を使って、自宅のテーブルで気軽に燻製を楽しむことができる調理器具です。上記のカテゴリに従えば、食材を熱燻させる器具ということになります。
プレスリリースによれば2018年に発売が開始されて以来、累計8万台も売れたのだそうです。2022年9月にリニューアルされ、ソロ向けサイズの「パーソナル」(LCQS-PSNL)と複数人向けサイズの「シェア」(LCQS-SHARE)の2種類が発売されています。両者のちがいはサイズだけ。
ともに使用方法はかんたんです。網に食材を載せて燻製チップと固形燃料を器具内にセットし、ガラス蓋を被せてから点火して調理します。数分間程度加熱してから、付属の火消しふたなどで火を消してしばらく待ちます。それだけです。
筆者は一度にいろいろな食材を調理できそうだと思い、複数人向けの「クイックスモーカー シェア」を使ってみました。
クイックスモーカーシェアの同梱物はつまみのついたガラス蓋、ステンレス製の調理網と燻製チップをセットする受け皿、鉄製の台座、そしてステンレス製の固形燃料おきと火消しふた。お試し用にサクラの燻製チップも約30g含まれます。
ユーザーは使用したい食材と固形燃料を別途用意するだけです。また、燻製チップもいろいろな木のものが発売されているので、好みのものを使用することができます。
こんなに簡単にできちゃうの!
いろいろなものを燻製にしたくなった
使い方は前述のようにとても簡単です。
まず、台座に固形燃料を固形燃料置きに入れてセットしておきます。筆者はダイソーの固形燃料を使いました。
台座に受け皿を置いて、そこに使いたい燻製チップを載せます。約1.5gと使う量はわずかです。
筆者はじつは、本製品を開封して説明書を読むまえにあれこれと燻製チップを買い込んでしまった慌て者でして……燻製作りに一生困らないくらいの燻製チップが揃ってしまいました。どうするのよこれ……。燻製チップを開封して湿気にさらすのはよくありません。読者のみなさんには、燻製チップは使い切ってからそのつど小容量のものを買うことをおすすめします。
あと、あたりまえのことではありますが、説明書を使用前に必ずよく読むことも。
話を戻します。受け皿の上に調理網を載せて、そこに食材を置きます。何度か試した結果気づいたのは、チーズなどの溶けるもの、水分の多い食材に使う場合には、アルミホイルを敷くと後片づけが楽になります。網にチーズの焦げが付着すると落とすのにひと手間かかるのです。
食材をセットしたらガラス蓋をして、固形燃料に点火します。食材の分量や種類に応じて調理時間は変わりますので、レシピを参照して試してください。火を使うので換気することと、やけどをしないように注意しましょう。
ソーセージやベーコン、チーズ、ゆで卵を複数個置いた場合には、5分間ほど加熱して、その後火を消して、さらに10分からほど蓋をしたままいぶしました。
蓋のなかで食材に茶色く色がついていくようすが見えるのは、おもしろいです。
調理はこれだけです。厳密に秒単位で時間を測る必要はありませんが、キッチンタイマーやスマホのタイマー機能などを使うと便利です。
規定の時間になったら、ガラスの蓋を持ち上げると燻製の香りと湯気が広がります。燻製チップを約1.5gしか使わないのに、いかにも「燻製です」という強い香りがすることに驚かされます。そして、食材の表面にも茶色く色がついていて、思わず「わあ、すごい!」と声を上げてしまいました。
まとめ
晩酌だけに使うのは惜しい。いろいろな楽しみ方を考えよう
コンパクトな調理網。手軽に楽しめる、コンパクトサイズ。
燻製チップ入れ。固形燃料が直に燻製チップを加熱します。
ふたの中で煙を循環。煙を閉じ込めて、燻製ができます。※煙を完全に閉じ込めることができません。
はじめて使ってみたときには、ソーセージとゆで卵、6Pチーズという標準的なものを試したのですが、簡単にできるわりには風味がきちんとつけられることが、すっかりおもしろくなってしまいました。
家族といっしょに試食しましたが、めずらしさも手伝って、わいわい言いながら楽しく試食ができました。
レシピを見たりいろいろ検索をかけてみると、さまざまな食材を燻製にして楽しめることがわかりました。
例えば、ポテトサラダやピクルスを燻製にしてみましたし、ゆで卵には塩とディルをまぶしてから燻製にすることもやってみました。
こうやって作った燻製を、プチフランスパンに挟んでみると、少し凝ったサンドイッチができます。黒パンを買ってきてドイツふうのオープンサンド(ブッターブロード)もやってみたくなります。
筆者は買ってきてすぐに喫食可能なものばかり試していますが、そう高級ではない、たとえばスーパーマーケットのプライベートブランド製品を燻製にしてみると、印象が変わって楽しめます。なにやら得した気分になりました。
ポテトチップやナッツも燻製にするとまた風味が変わって楽しめます。筆者自身は試しませんでしたが、シシャモもおいしく燻製にできるようですし、さらにはビスケットなどの甘いお菓子も燻製にしても楽しめるそうです。
さらに燻製チップを変えると、いろいろな風味を楽しむことができます。付属するサクラの燻製チップは、いかにも「燻製です」という感じに仕上がりますし、ウイスキーオークは濃厚な風味になりました。リンゴなども楽しそうです。食材に向いた燻製チップの組み合わせを探すとか、どのお酒にはどの燻製チップが合うか、などと凝り始めたらかなり楽しめそう。かなり奥が深い世界なのだろうと想像できます。
燻製というとお酒のおつまみという印象を持ちがちかもしれませんが、それ以外にも楽しめるものだとわかりました。人生を楽しむ知識がまたひとつ増えて得をした気持ちです。
もちろん、ホームパーティーで使えば盛り上がりそうですし、お酒も進みそうですよね。
みなさんもあれこれ工夫して、いろいろな楽しい使い方を見つけてみてくださいね。