2022年10月にローソンが開催した「ありそうであまりなかった商品 テスト品総選挙」で見事1位に輝いた『味のしない?飴』が、再販となった。メーカーいわく「虚無の味」。それが本当かどうか、実際に食べて確かめてみた。
口の中に入れると「無」を感じることのできるキャンディ
無味無臭のアメ。確かにありそうでなかった(必要と思われなかった?)商品だ。ローソン/カンロ『味のしない?飴』(24g・税込189円・2023年7月11日発売)は、「ありそうであまりなかった商品」のお客様投票第1位に輝いた製品である。ちなみに第2位はパンチをきわめた「ポテトチップス ガーリックマヨネーズ味」、第3位は電子レンジでそのまま温められる「あたためてもおいしいカフェラテ」だった。
『味のしない?飴』は人呼んで虚無の味、脳がバグるとさんざんな言われよう。そこを確かめるために、たくさんお菓子レビューをしてきた筆者が、無味を味わってみたいと思う。まるで禅問答のようではあるが。
『味のしない?飴』を味わってみた/お口の中の快適環境、ここにあり!
封を切ってみると、中に個別包装で7袋。そこから白っぽい飴を取り出して、口の中に放り込む。確かに無味。さまざまな味があふれるこの世の中で、舌がリセットされたような空白感を感じることができた。
ひょっとして自分の唾液の味を確かめることになるのかと、あまり気持ちよくない想像をしていたが、実際はゼロ地点にリセットしてくれる感覚で、不思議ながら楽しい。いままで自分は余計な味を感じすぎていたのではないかと、哲学的な思いにふけることもできる。
メーカーいわく、その後に他の飴を食べると味が際立って、おいしく感じるというが、それだとじゃっかん本末顚倒な気もするので、この無味と徹底的に対峙してみる。
原材料を見ると、食物繊維と、ゼロシュガー甘味料として知られるエリスリトールが入っている。砂糖不使用(糖類ゼロ)で、1粒あたり3.1kcal。そう書かれると、なんだかうっすら甘い気がしてきた。いや、じっさいにわずかだが甘さはある。ただエリスリトール自体の特徴として、舌に冷たく感じるので、事実上の無味に感じるというわけだ。
味のしない飴の意味とは? 甘いものが苦手な人、ミントが目に染みる人の口の中を潤すことに特化したらこうなった
本来の飴・キャンディとは、どのような役割を果たすのか。ヘルシーな観点から見ると、単純においしいだけでなく、舌を動かし口の中を刺激することで唾液分泌を盛んにする→口の中が潤うという役割がある。単純に暑くて喉が渇いた、緊張で口の中がカラッカラというときに、お口のニオイが気になると思うが、それも唾液が正しく循環できれば気にならなくなる。
ただ市販のキャンディは、甘い。食べ続けると飽きる。ミント味がどんなに辛くても、そのベースには甘みがあるし、やはり飽きる。甘いものが苦手な人にとって、口の中を潤したいだけなのに甘さを感じ続けることは、なかなかに苦痛である。
そこで甘さを極限まで削り取って、口の中を潤すことだけに特化したら、味がなくなった。たぶんそういうことだと思う。口の中がしっかり潤うというのは、快適だ。そんなシンプルな答えを『味のしない?飴』は味あわせてくれた。辛党の人でも、これならいけるはずだ。
入手は全国のローソン(一部店舗、ローソン100は除く)で可能だ。