【ヒゲ剃り】『シックの要点』日本人の肌へのやさしさに特化したハイドロ展開が特徴【T字カミソリ】

レビュー

国内T字カミソリ市場を二分するシックとジレット。今回は『シックの要点』として、同社の特徴をまとめてみたい。

日本のヒゲ剃り人を悩ませる永遠の命題「シック、ジレット、どちらがいいの?」

電気カミソリの手軽さはないが、ウェット・シェービングによる剃った後の爽快感から、T字カミソリを選ぶ人は多い。そのT字カミソリは現在、5枚刃などの多枚刃が主流で、ドラッグストア店頭やコンビニエンスストアなどでもよく見かける。

その製品ラインナップの多数を占めているのが、シックとジレットの2社。その2社の製品のどちらが自分に適しているのか(もちろん他にフェザー、貝印などの製品もある)が、ヒゲ剃り人の頭をずっと悩ませてきた。

どちらもグローバルブランドではあるが、一般的には、世界市場規模ならジレット、日本国内シェアで言うとシックが多数派になる。製品の特徴は、どちらもギュッとすれば、肌にやさしい、よく剃れるが二本柱であることに違いはない。

あえてざっくりと違いを見つけるなら、ジレットは深剃りなどの切れ味の良さからスタートして、肌へのやさしさをフォロー。シックは肌へのやさしさからスタートして、切れ味に攻め込んでいるというということだろうか。

「痛くないカミソリ」を追求してきたシックがたどり着いたハイドロ技術

アメリカ生まれで100年の歴史を持つシック。1960年に日本に上陸し、いまだに替刃が入手可能な伝説的交換刃製品「シック・インジェクター」を生み出し、72年には圧力を分散することで肌への負担を減少させる2枚刃製品「スーパーII」を市場投入。

そして95年にCMの「切れてな〜い」が一世を風靡した横滑り防止機構を持つ2枚刃カミソリ「プロテクター」を経て、2010年に誕生したのが、現在もシック製品の最大の特徴である”潤いウェットシェービング”の「ハイドロ」製品。スムーザーが水に触れると溶け出す、糸を引くレベルのとろみがあるジェルで剃ることで、肌への負担を強力に低減したモデルだ。

ハイドロ技術は現在のメイン製品であり、技術の結晶である5枚刃のシック・ジャパン『ハイドロ5 プレミアム(HYDRO5 PREMIUM) つるり肌へ/敏感肌』(替刃:本体装着済1替刃1・税込1,427円/編集部調べ・発売中)にも受け継がれている。

ブルーの「つるり肌へ」とグリーンの「敏感肌」の違いは、ジェルの内容。「敏感肌」にはアロエとビタミンEが配合されている

実際に使いながら、シック製品の特徴を見ていこう。

【使用感(1)】とろとろと糸を引く、大量の「ハイドログライドジェル」で痛くない

『ハイドロ5 プレミアム(HYDRO5 PREMIUM) つるり肌へ/敏感肌』の使い始め、ゆるゆると溶け出す、時にしたたるほどの大量の「ハイドログライドジェル」に、びっくりする人も多い。無駄な力を入れずに、肌に沿って動かすと、刃が肌に当たっているかどうかもあやしい感覚になって不思議だ。

もはや手がかりはヒゲが剃れるジョリジョリ音のみで、無傷シェービングにアプローチできる。ただジレットなどの他製品に比べると、本体はいくぶんおこし気味になるので、切り替えるときは慣れるまで注意が必要だ。

ちなみに多枚刃T字カミソリ製品は、ヘッドが肌と平行にあるようにあてて、力を入れずに動かして剃れるようにできている

【使用感(2)】実は肌に刃が触れていない!? 「多層ナノコーティング5枚刃」

カミソリの刃は金属製。肌に直接触れれば、傷つきやすい。そこで独自技術で刃をコーティングすることで、厳密に言えば肌に刃が触れないシェービングを可能にしているのが、「多層ナノコーティング5枚刃」だ。シックの肌へのやさしさ対策の徹底ぶりがうかがえる。

ジレット製品などに比べると、ヘッドが大きめなシック製品。キワ剃りなどの小回りは利きにくいが、「フリップ式トリマー」でヘッド上部をパカッと開けば、鼻下などの細部まで剃りやすくなる

【使用感(3)】上下のみ可動のヘッドで、狙った場所を剃りやすい

カミソリ刃を肌に密着させることで、深剃りは実現できる。そのためにジレット製品などのヘッドはタテ・ヨコ・上下の3Dに動く場合が多い。その結果、顔の凹凸に沿って意図していない方向に向かっていくこともある。

そのまま滑らせていけば問題なく剃れるのだが、その動きに不安を感じてしまう人も少なくない。完全に好みの問題だが、刃先を自身の完全コントロール下に起きたい場合は、上下可動のみで刃先の予測がつきやすいシック製品の方が安心に感じるだろう。

濡れても滑りにくいハンドルは、けっこう重要

【使用感(4)】ハイドロ・パワーをさらに強力にブーストする『ハイドロ シェービングクリーム』

「ハイドログライドジェル」が摩擦抵抗を徹底的に減少させるシック・ハイドロ・シリーズ。ジレット製品に比べ、シック製品が大きめのヘッドを備えているのは、この大量のジェルをしまい込むタンク部分が必要だからだ。

それでも目安となる替刃1つあたりの使用可能回数約10回程度の後半に近くなるにしたがって、多少ジェル量は減っていく。そんなときのブースト役が『ハイドロ シェービングクリーム』(177g・価格 税込968円/編集部調べ・2023年8月29日発売)だ。

今までも「ハイドロ」を冠したジェル製品は存在したが、この製品のレベルが違うのは、それがシェービングクリームだから。現在、透明でヒゲが見えるジェル、泡のクッションで刺激を防ぐシェービングフォームが主流で、男性用シェービングクリーム製品はそれほど多くない。

『ハイドロ シェービングクリーム』を手に取ると、柔らかめのフェイスクリームのようなテクスチャー。保湿成分として、シア脂、アロエベラ液汁、加水分解ダイズタンパクが配合されているという。

実際に肌に塗って軽く濡らした刃で剃ると、これがフィギュアスケートの達人のように滑る、滑る。刃先のスピードが段違いにアップする。まるでヒゲ剃り上手になったようななめらかな刃さばきを実現できて、楽しい。

使用後の肌も、もちもち化。乾燥肌の人ならフェイスクリーム役も果たすことができるという。

その他のシック製品ラインナップ

ヒゲ剃り製品という出自から、スキンケア・美容全体を考える企業へと、シックは現在、革新を図っているという。その象徴的な製品が、シェービングででつるつるの肌を目指す人のために、角質ケアも同時に行える『ハイドロ5ケア』(替刃:本体装着済1替刃1・価格 税込1,628円・発売中)だ。

角質を剥がしやすくする役割の「パラレルフィン・ガードバー」と、海泥配合保湿ジェルにより美肌を目指す製品である。

他にも、ヒゲを整えるだけでなくヘアカットやムダ毛全般の電動ボディシェーバーとして使えるのが、スタイルシリーズ第1弾『マルチボディシェーバー』(価格 税込1,542円/編集部調べ・発売中)や、眉毛、鼻毛に使える『マルチエチケットグルーマー』(価格 税込1,772円/編集部調べ・発売中)などもある。

ヒゲを剃ってヒリヒリしたくない人に適したシック製品の数々。入手は全国のドラッグストアやオンラインショップで可能だ。

■公式サイト

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清水りょういち(特選街web クリエイティブ・ディレクター)

20年間、情報誌「月刊歌謡曲」編集長を務めた後、Webメディアを中心に執筆活動を開始。現在は「特選街web」ディレクターとして活動。「価格.comマガジン」「Forbes JAPAN」「ダイヤモンドオンライン」「おためし新商品ナビ」などへの寄稿多数。専門分野はタバコをはじめとする嗜好品、カップ麺などB級グルメの食レポ、新商品・新技術、シェーバーなど。

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