【刺身がちゃんと切れる包丁】燕三条と鍛冶屋の伝統を担う剣謙心の柳刃包丁を導入してみた! 切れ味は? 使い勝手は? その実際をレポート

レビュー

刺身を上手に切れますか。料理は好きなのですが、刺身を切るのが大嫌いです。なぜなら筆者が切ると、刺身ではなく「魚肉片」になるから! しかし、国際結婚の我が家では刺身を切るのは、日本人である筆者の仕事。そこで燕三条と鍛冶屋の伝統を担う剣謙心の高級柳刃包丁を導入。その結果は?

齋藤千歳(フォトグラファーライター)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9㎡の仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。北海道の美しい風景や魅力を発信できればと活動中。

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悪いのは私ではなく、包丁に違いないと思った

刺身のサクが筆者の手にかかると「魚肉片」になってしまう

▲長さはあるものの、思った以上に軽く、細く薄く繊細な「剣謙心 柳刃包丁 240mm」。手にするだけで「上がる」道具に仕上がっています。

 

自宅で食べるお刺身、みなさんはどんなものを買っていますか? 筆者はスーパーなどで購入するときは、圧倒的にすでに1枚1枚切り分けてある完成品の刺身パックです。サクで購入して、自宅で切り分けるという選択肢もあるのですが、筆者が切ると刺身のサクが刺身ではなく「魚肉片」になるので、サクでの購入を避けていたわけです。

 

しかし、物価高の影響なのか、最近筆者の住む北海道でも目に見えて刺身盛り合わせのパックは値段が上がり、内容も貧弱になっています。我が家は国際結婚なのですが、妻も刺身が大好きなので、食卓にも頻繁に登場するのですが、最近の内容の貧弱ぶりにがっかりするのです。

 

すると、刺身の盛り合わせパックではなく、よりコストパフォーマンスの高いサクで購入して「日本人のあなたが切ればいい」という話になるのです。ですが、日本人なら刺身が上手に切れるなら、中国人は刀削麺を上手に作れなくてはいけないのではないでしょうか……。

 

とはいえ、筆者が刺身のサクを切ると、身が潰れ、断面はガタガタになり、フチの部分がケバだったようになり、スジの部分がうまく切れないのは、包丁のせいではないかと思い至ったのです。というかそう思いたい。そこで包丁を見直してみました。

 

本格的な刀の遺伝子を継ぐような柳刃の和包丁がほしくなった

▲パッケージに収められた「剣謙心 柳刃包丁 240mm」。刃の部分のカバーの中に入っているのは防食防錆ペーパーで、本格和包丁の繊細さが感じられます。

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

剣謙心 柳刃包丁 240mm 朴柄 TDY-240PS2
価格:26,400円(税込、送料別) (2024/8/22時点)

 

 

「刺身がうまく切れないのは包丁のせい」と筆者は断定したので、プロの職人さんたちが使っているような刺身を切る包丁。いわゆる柳刃包丁を導入しようと考えたわけです。しかも形だけが柳刃包丁というものではなく、それこそ日本古来から鍛冶の伝統、刀(かたな)の伝統を受け継ぐような包丁がいいと考えました。かなりの部分が思い込みです。

 

そして、ネットなどでいろいろと探しているうちにみつけたのが、今回導入した「剣謙心」(https://www.tsurugi-kenshin.com/)。同社のWEBによると「剣謙心は500年近くに亙る燕三条と鍛冶屋の伝統の担い手として、一本ずつ丹念に職人が仕上げる「唯一無二の包丁ブランド」」だといいます。そう日本の刃物と鍛冶職人の伝統を受け継ぐハンドメイドの包丁ブランドというわけです。

 

剣謙心はさまざまな包丁や刃物を作っているのですが、柳刃包丁については「剣謙心 柳刃包丁 210mm」と「剣謙心 柳刃包丁 240mm」がラインアップされており、価格はそれぞれ23,760円と26,400円。刃部には、本格的な和包丁ではもっともスタンダードで扱いやすいといわれる「白紙2号鋼」が使用されている美しい刺身を作るための繊細な包丁です。

 

包丁の長さを利用して全体を使い、刺身を引くように切り分けるという所作に挑戦してみたかった筆者は長めの240mmを選択しました。ただし、この長さだと包丁を動かすためにスペースが必要になるので、作業スペースが狭い場合は少し短い210mmのほうが使いやすいといいます。また「剣謙心 柳刃包丁 240mm」で128.2g、「剣謙心 柳刃包丁 210mm」は108g。はじめて持ったときにバランスがいいのか、筆者は「軽い」と感じたのですが、柄元から峰にかかる非切断部の厚さは約4mmとやや厚めで、刃の重さと刃渡りの長さを使って、余計な力をかけることなく、1回で刺身を引ききることができるそうです。

 

「剣謙心 柳刃包丁」で“平造り”と“そぎ切り”に挑戦してみた

▲「剣謙心 柳刃包丁 240mm」で素人の筆者が平造りにしたカツオ。刺身の角の部分が潰れていないのがわかってもらえるでしょうか。

 

「平造り」まさに一刀両断の断面の美しさにほれぼれとする

それまで筆者はいわゆる家庭用の三徳包丁を使って刺身のサクを切り分けていました。三徳包丁といっても、アイテム好きの筆者は1万円前後程度のそこそこの値段の包丁を使っていたわけですが、どうしても刺身のサクが「魚肉片」になってしまいます。

 

原因としては、刺身のサクに包丁の刃が入る際にスムーズに入らず、無駄な力がかかるため刺身のサクが潰れる、そして包丁の刃渡りが短いことも原因の1つなのでしょうが包丁を根元から入れて、先までを使って一刀両断したいのにうまく切れない、さらに刺身のサクのなかにスジがあるとこれが上手に切れずに刺身の形を崩してしまうといった点が考えられます。

 

これらの原因から、刺身の角が潰れた、無理矢理押し切ったために形の崩れた、場所によってスジがぼろぼろと出た刺身とは呼べない「魚肉片」が完成していたわけです。しかし、片刃の本格和包丁である「剣謙心 柳刃包丁 240mm」(以下「剣謙心 柳刃包丁」)は、これらの不満を解消してくれるはずだと信じて、まずは刺身の切り方の基本といわれる平造りから挑戦してみました。

 

▲少し包丁に角度をつけて平造りで切ってみたブリ。刺身のサク自体に無駄な力がかかることなく、すっぱりと切れるので断面がとても美しいのです。

 

刺身のサクのスジの流れが左下から右上の向きになるように置き、右側からスジを直角に切断するように切っていく平造り。刺身のサクの厚みが均一でない場合は、厚いほうを奥側にして置くのが基本だといいます。また、切り方の重要なポイントとしては柳刃包丁の長い刃渡りを利用して、刃の根元から先までを使って包丁を引くようにし、ひと太刀で刺身を切り分けることです。

 

実際に「剣謙心 柳刃包丁」で平造りに挑戦したところ、テスト用にブリとカツオを用意したのですが、片刃の薄い刃がびっくりするくらいなんの抵抗もなく、刺身のサクのなかに入っていきます。おかげで刺身のサクに無駄な力がかからず、角が潰れず、しっかりと角の立った状態で刺身が切れるのです。また「剣謙心 柳刃包丁 240mm」は刃渡りが24cmあるので刃の根元から刃先までを使うと、とても簡単に1度で刺身を切り出すことができます。この際に当たり前ですがサクのなかのスジ部分を切断していくのですが、切れ味が鋭いため、スジの部分の抵抗を感じることもほとんどなく、スジの部分が引っ張られたり、ぼろぼろになることもなく、まさに刺身を引くことができます。気持ちいい。

 

結果、筆者は自分が切った刺身のサクが「魚肉片」ではなく、これは刺身なのでは? と思えるレベルになったはじめての瞬間に立ち会うことができたのです。ちょっと感動。

 

「そぎ切り」切ることが楽しすぎて、ちょっとヤバい気持ちになる

カツオをそぎ切りにしているところ。刺身のサクの中に刃が入っていく感触が気持ちいい。ひと太刀ですっぱりと切れるので断面がとても美しいのです。

 

平造りで刺身のサクを切ってみたところ、思った以上に気持ちよく切れたことに気をよくした筆者は、さらに包丁の切れ味を必要としそうなそぎ切りに挑戦してみました。本来はヒラメなどの身の締まった白身魚向きの切り方だといいますが、お高いので失敗しても被害の少ない、今回もブリとカツオでテストします。

 

そぎ切りは平造りとは違い、右側が少し上にくるように斜めに置いた刺身のサクを左側からそぐように切るのです。包丁の刃をねかせて、刺身のサクを抑えた左指の下に包丁を通して、切りとっていきます。このときも包丁の根元から刺身のサクに入れて、刃先までを使ってひと太刀で切り分けるのがポイントだそうです。

 

実際に「剣謙心 柳刃包丁」でそぎ切りに挑戦してみると、最初は包丁をどの程度ねかせるといいかのがわからず、また自分の左手の指でおさえた刺身のサクの下を柳刃包丁の鋭い刃が通っていくので、少し恐る恐るになったりと、なかなか難しいのです。

▲切るという作業自体が気持ちよくなってくるほどよく切れます。また、厚さをそろえるのは難しいものの、調整はさほど難しくありません。

 

しかし、それまでの包丁を使っているときのような、切れないから無駄な力が入るといったことがありません。包丁の刃はなんの抵抗もなく刺身のサクに入っていき、刃の根元から先に向かって引くと固定した角度で刺身を切りとってくれます。これがまあ気持ちいい。

 

どのくらいの厚さで、どのくらいの角度で切るといった奥深さはあるのですが、潰れたり、ひきつれたりすることもなく、サクから刺身が切り出されていきます。このそぎ切りを向こう側が透けるくらい薄く切ったものが薄造りになるそうですが、切る動作が気持ちよすぎて、必要以上に薄く切ってみたり、厚さや角度を変えてみたりと、切るという動作に没頭してしまいます。

 

このただ切る気持ちよさのためだけに刺身のサクを、さらに購入したくなるくらい楽しいのです。ちょっと辻斬りっぽいヤバい気持ちになってしまいました。仕上がりはかなり美しく、気持ちよくおいしくいただけたわけです。

 

刺身好きなら思い切って本格的な柳刃包丁を買うのはあり!

合計で1,000円分ほど購入したカツオとブリのサクを切り分けて、皿に盛り付けてみました。ご覧のとおりの大ボリュームで、コストパフォーマンスも高いです。

 

コストパフォーマンスの悪い刺身パックを買い続けるよりも柳刃包丁が正解か

最近スーパーで刺身の盛り合わせパックを購入すると「よくこれだけ薄く切ったな」と感心するような刺身が3枚4種類程度入って1,000円とかするわけです。それでも筆者はキレイに切ることができないから、盛り付けや手間賃と考えていたのですが、円安と物価高の影響か、ますます刺身の盛り合わせパックの内容は貧弱になっていく印象。

 

これに耐えきれなくなって、刺身のサクを切るために「剣謙心 柳刃包丁」を導入したのですが、切れ味や仕上がりは完全に予想以上。「道具は大切だな」と改めて思ったわけです。そして、刺身のサクは実際に切ってみると予想以上に多くの枚数の刺身がとれることもしばしばです。刺身の盛り合わせパックに比べると刺身のサクはかなりコストパフォーマンスが高い。

 

ですが、本格的な和包丁の柳刃包丁は、思った以上に高い。今回筆者が使用した「剣謙心 柳刃包丁 240mm」で26,400円です。とはいえ、実際に「剣謙心 柳刃包丁」で刺身を切りはじめると切ること自体が楽しくなるのもありますが、コストパフォーマンスの悪い刺身の盛り合わせパックを買い続けるよりも、本格的な柳刃包丁を導入してサクを切って刺身を作るほうが結局リーズナブルなのではないかと思えるのです。

 

筆者はなかなか柳刃包丁の導入を決断できませんでしたが、刺身の盛り合わせパックのコストパフォーマンスの悪さに不満があり、刺身が好きという方なら、できるだけ早くマイ柳刃包丁+刺身のサクに切り替えるほうが幸せになれるかもしれません。

 

ぜひ1度検討してみてはどうでしょうか。「なんか切りたい!」という、ちょっと辻斬りみたいなヤバい感覚もきっと理解いただけるかと思います。

 

 

剣謙心公式サイト(https://www.tsurugi-kenshin.com/)

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

剣謙心 柳刃包丁 240mm 朴柄 TDY-240PS2
価格:26,400円(税込、送料別) (2024/8/22時点)

 

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齋藤千歳(フォトグラファーライター)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9㎡の仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。北海道の美しい風景や魅力を発信できればと活動中。

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