【ボールペン】ブレずに疲れにくい『ブレン』と不安定でも濃く書ける『ブレンU』の書き心地【開発秘話&レビュー】

レビュー

「微妙にブレるペン先が筆記疲れを呼ぶ」ことに着目し、2018年に誕生したブレない『ブレン』はどのように誕生したのだろうか。そして今年、新開発「S油性インク」により、不安定な状況でもしっかり濃く書ける『ブレンU(ユー)』も仲間入り。もともと文房具好きで、書き心地フェチの傾向のある筆者が試してみました。

高品質なボールペンがあふれる中、筆記作業をもっと快適にするには?〜『ブレン』誕生秘話

ボールペンの内部から聞こえたかすかな音

2015年、ゼブラの開発室。小さなテーブルの上にズラリと並べられた、およそ30本の一般的な油性ボールペン。すでにボールペンのアイディアは出尽くしていた状況だった。当時の担当メンバーは3名。持てる時間をすべて使って、それぞれがひたすら書き続けて確認したという。

 

たくさんのボールペン製品があふれる時代、書きやすさとは何か。これ以上どんな新しい価値を提供できるのか?

 

すべてのボールペンで文字や線、厚さの違う紙などパターンを変えて、ひたすら書いていく。するとそのうちの1人が気づいた。

 

「ペンの内部から小さな音がする」

 

全員が確認したその音。内部から音が発生しているということは、つまりそこに振動があるということだ。その揺れの部分こそがブレであり、振動が指に伝わることで、書きにくさや疲れを生んでいるという仮説が生まれた。

 

・ボールペンの芯を上部で固定する試作品を作った→「書きやすい」

・ペン先と上部と両方を固定する試作品を作った→「とても書きやすい!」

数量限定で製品化もされたことのある、内部構造が見えるスケルトンタイプ

そこから「振動制御」というコンセプトが生まれ、以下の3つの工夫を取り入れることとなった。

1.中芯をペン先のパーツで固定

2.金属製のオモリをグリップ内部に入れ、重心を下げる

3.ペン内部の各パーツ の隙間をなくし、ペン内部のブレを防ぐ

他にも、中芯チューブの外径を太くしたブレンの専用芯を新たに作り、内部でのしなりを減らすなどの工夫もなされたという。そして2018年、ブレないストレスフリーなボールペン『ブレン』が誕生した。

ゼブラ『ブレン』シリーズは累計販売本数5,000万本を突破するヒット商品に

(0.5mm/0.7mm・税込165円・2018年12月12日発売)

もちろん筆者を含む一般ユーザーは研究者ではないので、書きにくい理由を、振動の制御がされていないからペン先がブレているからなどと、具体的に気づくはずはない。その謎をゼブラが解いた。

 

ユーザーも「振動制御」された『ブレン』を実際に使ってみると、その書き心地の良さに驚く。事務職などで机の上で長時間筆記する人が使っても疲れにくい。そもそもそれが高級ボールペンではなく、100円台の普及価格帯のペンでできるのは驚きだ。

その結果、2018年の発売以来『ブレン』は現在、累計販売本数5,000万本を突破する大人気シリーズとなった。もともと日本のボールペンは安くて高機能ということで、世界中でも驚かれる品質を誇る。その中でも『ブレン』に込められている技術は破格のものだと思う。

『ブレン』の書き心地を体験 〜ただ書き続けたくなる筆記の快感

では実際に『ブレン』体験をしてみよう。軽量ながら重心が下にあって筆記角度が定めやすく、エマルジョンインクのなめらかさですらすら書ける。狙ったところにスッとペン先が行く感じ。これが妙に書きやすい。あらためてすごさを実感した。これだったら役所関係で何度も同じ住所氏名を書かされたとしても、楽しく書ける。イラストも描きやすそうだ。

 

油性ボールペンでぬめぬめ書きやすすぎるとインクがダマになって手が盛大に汚れたりするが、ほどよい粘度ですぐ乾くように調整されているのも『ブレン』の良いところ。ほんと、羊の皮を被ったオオカミだ。

ブレによる不安定さから、書かれるものの不安定さにアプローチ!〜『ブレンU』誕生秘話

『ブレンU』は「サッと書き」に特化

ボールペン内部に隙間があり、中芯のホールド加減が不安定なところを解消する「振動制御」を実現して誕生した元祖『ブレン』。そこに仲間入りしたのが、油性ボールペン『ブレンU(ユー)』(0.5mm/0.7mm・税込242円・2024年8月29日発売)だ。これは『ブレン』とは異なった、不安定な状況でもしっかり濃く書くことをコンセプトに誕生した、新たな選択肢である。

【開発者インタビュー】

開発を担当したゼブラ プロダクト&マーケティング本部の瀬川美帆氏

不安定な状況というのは、「付箋にメモをする時」、「打ち合わせ中のメモ」、「立ったまま手帳にスケジュールを記入する時」などの、机に紙を置いた状態ではなく、不安定な書き方を余儀なくされる状況である。確かにデスク上で書きやすいボールペンと、手帳に書きやすいペンは違うことは筆者もうすうす感づいていたような気はする。

 

「『ブレンU』の発端は、『ブレン』発売前の2017年から研究していた、軽い力でも濃く書ける新開発の「S油性インク」に商品化のめどがついたタイミングで始まりました。そこでそのインクを人気の高い『ブレン』に搭載しようということになり、このインクの性能を最も活かせるのはどんなシーンや書き方かの模索が始まりました」

 

風船に書く、金魚すくいのポイにも書いて特質を把握していった瀬川氏

その中で気づいたのは、下がフワフワして固定できない状況でも、『ブレン』の低い重心でこの「S油性インク」を合わせると、軽い力でしっかり濃く書けるということだった。

 

「でもそんなシチュエーションって、意外と多いと気づきました。接客時の伝票、立ったままのメモ帳書き、急いでメモをサッと書きしたい人など。誰もがイスに座ってテーブルの上で書くわけではありません。そんな不安定な状況での使用に『ブレンU』はとても適しているのです」

筆記具メーカー・ゼブラの人気定番商品「マッキー」や「サラサ」などがずらり

 

『ブレンU』の書き心地を試す〜力を抜けば抜くほどするする書ける!

新開発「S油性インク」の実力

『ブレンU』の特徴は何となくわかったので、実際に使ってみたい。もってみると、ブレンよりもっと下に重心があるように感じる。実際に立ったままメモ帳に書いたり、冷蔵庫に貼った付箋に書いたりしてみた。

不安定な場所でしっかり書ける

不安定な状況で筆圧をかけると書きにくい。メモ帳が落ちる。なるほど。では『ブレンU』の重さ以外はかからないように撫でるように書いてみた。そうしたら、しっかり濃く書ける! これは不思議。なぞるようなフェザータッチで、しっかり書けるのだ。これは面白い。

 

ちなみに安定した状況で書く場合は、筆圧をかけない方が疲れるので、「ブレン」の方がおすすめかも。ここまでしっかり用途が分かれているとは思わなかった。

『ブレンU』はクリップも変更されている

(写真左から)ブレン/ブレンU/参考用タプリクリップ

『ブレン』のクリップは開閉機構のない樹脂製。机の上で集中して使うことを想定しているため、あまり大きく開かないようになっている。一方『ブレンU』のクリップは、参考用「タプリクリップ」同様にスプリング搭載の開閉機構付きで、さらに金属製で丈夫で厚手のジャケットのポケットなどにしっかり差すのに適した構造を持っている。

本来の目的とは違うため、真似しないように! 破損の原因になります

(本来の目的ではない)指を挟んでみるとわかるが、『ブレン』は無理やりでないと挟まらないし、その結果多少変形してしまった。参考用「タプリクリップ」は余裕の挟み具合だが、多少滑りやすい。『ブレンU』は樹脂製でつまみやすいけれども、金属の特製も併せ持ち、一番きちっとホールドしてくれる印象だ。ポケットからも最も落ちにくいと思う。

デスクで使うなら『ブレン』、持ち歩くなら『ブレンU』と使い分けも

同じ『ブレン』でも、適した用途はかなり違う『ブレンU』。新たな選択肢として、持ち歩きや不安定な場所での筆記用に胸ポケットに差しておいて、機動力たっぷりに使うのが適していると思った。筆者的にはボールペンなのに撫でるように書くことができる感覚には、他にも用途がありそうで、ちょっとワクワクした。

 

製品サンプル提供●ゼブラ

公式サイト

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