ミラーレス一眼はソニー・α7/9シリーズの独擅場となっていた。しかしニコンもキヤノンもその状況を黙って見ていたわけではない。ほぼ同じタイミングでフルサイズのミラーレス一眼を相次いで発表した。
新マウント採用で一眼レフの両雄がソニーを追撃!
ニコンとキヤノンといえば、人気、実力ともカメラメーカーの双璧だ。古くから何かにつけ比較され、メーカーどうしも切磋琢磨し、日本のカメラ史に名を残してきた。
だが、ミラーレス一眼に関していえば、それは当てはまらない。どちらもこれまで本気度がいま一つ伝わってこない印象で、特に、ハイアマチュアやプロに支持されやすいフルサイズクラスは、両社とも手付かずの状態となっており、ソニー・α7/9シリーズの独擅場となっていた。
しかし、ニコンもキヤノンも、その状況を黙って見ていたわけではない。今回、奇しくもほぼ同じタイミングでフルサイズのミラーレス一眼を相次いで発表した。
ニコン
Z7
実売価格例:51万3000円(24-70 レンズキット)
●操作系のレイアウトは一眼レフに近い
ニコン
Z6
実売価格例:34万8300円(24-70 レンズキット)
●4本の新マウントレンズが登場
先に発表を行ったのがニコン。有効4575万画素の「Z7」、有効2450万画素の「Z6」という二本立て。後発のキヤノンは、有効3030万画素の「EOS R」の一本勝負。いずれも、このジャンルに対する両社の意気込みを大いに感じさせるモデルに仕上がった。
それを端的に表しているのが新規格のマウントだ。ニコンは「Zマウント」で内径55ミリ、フランジバック16ミリ。キヤノン「RFマウント」は内径54ミリ、フランジバック20ミリとする。いずれも内径はミラーレスとしては大きく、そのメリットは、光学設計上、写りをより追求でき、大口径の交換レンズが作りやすいことにある。ソニーα7シリーズのEマウントは内径46ミリなので、アドバンテージといっていい。
実際、ニコンからは大口径レンズのあかしともいえる「Noct銘「NIKKOR Z 58ミリ f/0.95 S Noct」の発売が来年予定されているし、キヤノンからもカメラと同時に発表されたRFレンズの中に「RF28-70ミリ F2 L USM」という度肝を抜くような開放F値の標準ズームがラインアップされている。また、そのほかのNIKKOR Zレンズ、RFレンズについても、従来より描写特性が向上している。
AFと電子ビューファインダー(EVF)に注力している点も、両社共通。AFは、一眼レフよりもミラーレス一眼のほうが弱いといわれることが多く、また、EVFも、一眼レフの光学ファインダーに比べ、見え具合では劣る。これらの弱点をどちらも重点的に改善してきている。
キヤノン
EOS R
実売価格例:25万6500円(ボディ)
●マルチファンクションバーを採用
●マウントアダプターは4種類!
●RFレンズはコントロールリング付き
もちろん共通点ばかりではなく、違いも多い。操作系は両社の一眼レフの伝統を引き継いだものだし、センサーシフト方式の手ブレ補正機構は、Z7/Z6には搭載されたが、EOS Rには非搭載。マウントアダプターは、ニコンは1種類、キヤノンは4種類を用意する。
これで、ニコン、キヤノン、ソニーの三つどもえとなったフルサイズミラーレス。レンズの展開も含め、ますます目が離せなくなりそうだ。
●ニコンとキヤノンの仕様比較
解説/大浦タケシ(フォトグラファー)
※価格は記事制作時のものです。