(2020年12月2日更新)現代人にとって、パソコンやスマホは生活に欠かせないものになっています。さらに昨今のコロナ禍で、モニターを見る時間が増えた人も多いのではないでしょうか。「スマホ老眼」という言葉がよく聞かれるように、近くばかりを見る生活が続くと、目の不調が現れることが少なくありません。子供や若者の目のコンディション低下も、問題になっています。自力で視力低下を予防・改善できる方法はあるのでしょうか。ほんべ眼科院長の本部千博医師と、Y’sサイエンスクリニック広尾理事長の林田康隆医師に、お話を伺いました。

スマホ老眼とは?

現代人は「近く」ばかり見過ぎている

パソコンやスマホが生活に欠かせない現代人は、近くばかりを見る生活になりがちです。実際、近年急激にスマートフォンの利用者と利用時間が増えているというデータがあります。

画像: 総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」 www.soumu.go.jp

総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」

www.soumu.go.jp

また、最近では「スマホ老眼」という言葉もよく耳にします。スマホ老眼とはその名の通り、スマートフォンを見続けることで目のピント調節力が低下して起こるトラブルのことです。実年齢が若くても、老眼と同じように、「近くの物がぼやける」「目がかすむ、疲れる」といった症状が起こるのです。

筆者も最近、視力低下(見えづらさ)を実感。そこで、iPhoneのスクリーンタイム機能で、デバイスの使用時間を確認してみました。

画像: スマホ老眼とは?

1日当たり4時間近く見ているとは……。これでは目が疲れるはずです。近くばかり見つめていると、目の中でどのようなことが起こるのでしょうか。また、疲れ目やスマホ老眼は改善できるのでしょうか。ほんべ眼科院長の本部千博先生に伺いました。

①解説者のプロフィール

画像: ①解説者のプロフィール

本部千博(ほんべ・かずひろ)

ほんべ眼科院長。ほんべ視力健康研究所所長。1985年、岐阜大学医学部卒業。協立総合病院で研修後、内科医として勤務。1989年、岐阜大学医学部眼科教室に入局。2005年より現職。「近視・老眼は治せる」をモットーに、独自の視力回復法や生活指導によって、近視予防や老眼防止などに成果を挙げている。
▼ほんべクリニック眼科(公式サイト)

近視や老眼の原因は?

スマホやパソコンの画面など、近くばかりをじっと見つめていると、目の水晶体を調節する毛様体筋が疲れ切ってこわばってきます。長時間立ちっぱなしでいると、足の筋肉が疲れて動きにくくなるのと同じです。毛様体筋がこわばると水晶体の厚さを調節できず、ピントが合わなくなります。これが、近眼や老眼などの視力低下を引き起こす背景です。

画像: 近視や老眼の原因は?

毛様体筋が疲弊しているときには、眼球の向きを上下左右に自由に動かす6本の筋肉群(総称は外眼筋)もこわばっています。毛様体筋や外眼筋がこり固まると、目の血流が悪くなり、酸欠状態が引き起こされます。さらに、毛様体筋から分泌される「房水」の循環も悪くなります。房水は、眼圧を保つとともに、角膜や水晶体の栄養補給の役目を果たす重要な体液で、不足するとさまざまな不調につながります。

このように、「近くばかりをじっと見つめる」という行為は、疲れ目だけでなく、近視や老眼、目の充血、ドライアイなどの諸症状を引き起こしやすくなるのです。

視力が低下したらメガネは必要?

視力はさまざまな要因で変動する

目の不調を感じ、眼科を受診して視力が下がっていたら、すぐにメガネを作るかたも多いでしょう。

でも、ちょっと待ってください。視力は、体調や体のリズム、気分、姿勢、天候などに左右され、一定ではありません。健康診断などで視力が低下したという結果が出ても、慌ててメガネを作る必要はありません。切実に困ったことがない限り、少しの間は様子を見るといいでしょう。

メガネをかけると、視力は落ちたまま固定されます。それどころか、メガネに慣れることで、視力はさらに落ちていくこともあるのです。メガネをかけると周囲がはっきり見えるので、目の本来的な機能が回復したと勘違いしてしまい、本来持っている「見ようとする力」が失われ、かえって近視や老眼の進行が進んでしまうケースもあるのです。

では、どうすれば「見ようとする力」を維持・回復できるのでしょうか。

「目のスクワット」で良い状態をキープ

実は私も中学生のとき、右目の視力が0.3になったことがありました。眼科の医師から、「すぐメガネを作りましょう」と言われましたが、まず自分なりの改善策を考えました。

まず、遠くの風景を見るようにしたり、寝ながらの読書をやめたり、勉強机の照明を明るくしたり、目を休ませる時間を作ったり、といったことです。当時はわかりませんでしたが、今から考えると「見ようとする力」を養生し、復活させる生活習慣を実践したのです。その結果、視力は1.0まで回復しました。私のケースは、おそらく一時的にピント調節力が下がって視力が低下する「仮性近視」だったのでしょう。

現在も当時の習慣を継続していますが、さらに加齢による視力低下を防ぐために毎日行っているのが、「目のスクワット」という目のトレーニングです。そして、私が今でも老眼知らずの状態をキープしているのは、このトレーニングのおかげといえるでしょう。

足を屈伸することで筋肉を伸縮させるクワットは、足腰の筋肉強化に効果の高いトレーニングです。スクワットを習慣化することで、ひざ痛や腰痛を予防・改善できるという話を聞いたことがあるでしょう。同様に、目においても、目の筋肉を鍛えることで、視力低下の予防や改善に効果があるのです。

では、視力回復に役立つ「目のスクワット」のやり方をご紹介しましょう。

▼「目のスクワット」のやり方

右手の親指を立てて、顔から30~40cmのところに置く。
親指の爪に目のピントを合わせる。

画像1: ▼「目のスクワット」のやり方

部屋の最も遠くにある観葉植物やカレンダー、もしくは窓の外に見えるビルなどに目のピントを合わせる。
①と②を1日5分程度くり返す。

画像2: ▼「目のスクワット」のやり方

「目のスクワット」のポイント

メガネやコンタクトを着けたまま行ってよい。
遠近両用メガネを使っている人や、近距離用と遠距離用の2つのメガネを持っている人は、遠距離用のもので行う。
1日の実践時間が合計5分になればOK。何回かに分けて行ってもよい。

仕事の合間に職場で実践できる

「目のスクワット」は、特別な道具や広い場所は不要です。パソコン作業の合間などに、職場のデスクにいながら行うことができます。例えば、午前中に1分、昼休みに1分、午後に1分、終業時に1分など、短時間でいいので、仕事の合間に組み込んでみてはいかがでしょうか。

画像: 編集部員も実践!まずは、親指の爪にピントを合わせて…

編集部員も実践!まずは、親指の爪にピントを合わせて…

画像: 遠くの置物にピントを合わせる。簡単です!

遠くの置物にピントを合わせる。簡単です!

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