【食物繊維が豊富】サキベジ効果で食べ過ぎ予防!電子レンジで作る「蒸し大豆」のレシピ

美容・ヘルスケア

近年は、糖尿病や高血圧、認知症などの病気が、脂質、糖質などを多く含む高カロリー食の「食べすぎ」によって起こることがわかってきました。これらの病気は食べすぎの習慣をなくせばその多くが予防できると考えられます。蒸し大豆はサキベジ効果にプラスして腹持ちがよいため食べすぎを防ぎます。【解説】内場廉(長野市国保大岡診療所所長)

解説者のプロフィール

内場廉(うちば・きよし)
米大学病院麻酔科に入局。いくつかの病院勤務を経て2000年より長野市国保大岡診療所所長。東邦大学医学部、信州大学教育学部非常勤講師。自身も40代後半の時に糖尿病を指摘され、数多くの合併症を経験したことがきっかけとなり「3つの習慣」を実践して糖尿病を安定的にコントロールしている。ここ10年は動脈硬化と血圧の研究に取り組む傍ら、NPO法人「寝たきりを半分に減らす」の理事を務め、年間50を超える講演も実施。

食物繊維が豊富でサキベジに適している

私は長野県長野市大岡地区で診療所の所長をしながら、地域、県内、そして全国のみなさんに10年以上「サキベジ」を勧めています。

サキベジとは「先にベジタブル」を略した造語で、食事の最初にたっぷりの野菜を食べる習慣のことです。生活習慣病の予防にうってつけで、実践した人は、やせたり血糖値が下がったりするなどのよい効果が出ています。

2015年には、一般社団法人「サキベジ推進協議会」を設立。講演活動のほか、野菜料理のレシピを考案し、地元のテレビやインターネットで公開しています。

今回ご紹介する「蒸し大豆」もサキベジレシピの一つです。

そんな私も、実は30~40代のころは超肥満の高血糖でした。体重はピーク時で148kg(身長は181cm)。40代半ばでインスリン治療を始めています。

それでも血糖値は200㎎/㎗超(正常値は110㎎/㎗未満)、ヘモグロビンA1cは11.1%(過去1~2ヵ月の血糖値がわかる数値で、正常値は6.5%未満)という状態でした。

しかし、学会の講演を参考にしてサキベジを始めたところ、開始時、120kg以上あった体重はわずか半年で83kgに激減。現在は75kg前後です。

血糖値は9ヵ月で85㎎/㎗に、ヘモグロビンA1cは4.9%まで下がり、インスリン注射や経口薬が不要となりました。

以上のような改善効果の多くは野菜の「食物繊維」によるものです。蒸し大豆にも豊富な食物繊維が含まれているので、食前に食べれば、野菜と同様、次の効果が期待できます。

(1)時間の効果(食事がゆっくりになる)
食事を始めてから満腹中枢が反応するまでの時間は、およそ10~20分と言われています。蒸し大豆を食前に食べれば、その分も食事時間に加算され、高カロリーの食事をとる前に満腹感が得られます。

(2)量の効果(余計なものを食べなくなる)
先に蒸し大豆を食べると、ほかの食品を食べる量が減ります。生活習慣病の要因となる脂質や糖質の多い食品の摂取量が抑えられるわけです。

(3)バリアの効果(栄養の吸収がゆっくりになる)
先に食物繊維を多くとると、あとからとる脂質や糖質の吸収を遅らせることができます。また、食後の血糖値の急上昇も防げます。

腹持ちがよくて食べすぎを防ぐ

近年は、糖尿病や高血圧、認知症などの病気が、脂質、糖質などを多く含む、高カロリー食の「食べすぎ」によって起こることがわかってきました。

また、糖尿病の人は、そうでない人よりもがんになりやすいこともわかってきています。認知症は、食後に血糖値が急上昇する食後高血糖と関連があるという報告もあります。

以上からもわかるように、これらの病気は、食べすぎの習慣をなくせば、その多くが予防できると考えられます。

蒸し大豆は、前述のサキベジ効果にプラスして、腹持ちがよいため、食べすぎを防ぎます。

また、蒸し大豆に含まれる食物繊維は、腸内細菌のエサとなったり、便のカサを増したりする、整腸作用もあるのです。

私の作る蒸し大豆は、長時間水に浸したり、蒸し器で数十分蒸す必要がありません。乾燥大豆を電子レンジで熱して、熱湯を注ぐだけの超簡単な調理法です(作り方は下記参照)。

乾燥大豆はレンジで5分加熱すると高温に達し、膨張した内部の空気が押し出されます。その直後に熱湯を注ぐと、大豆は一気に水分を吸い込みます。そのため、一晩水につける手間をかけなくても、カチカチの乾燥大豆が柔らかくなるのです。

しかも、いったんレンジで加熱して炒り豆状態にすることで、香ばしさも生まれます。塩などで味を付けなくても、うま味がしっかり出るのです。

ちなみにこの「内場流蒸し大豆」は時間がたつごとに味はマイルドで、食感が軟らかくなっていきます。食べるたびに味わいに変化があるのが魅力です。

蒸し大豆は、そのまま食べてもおいしいですが、みそ汁やサラダの具にしてもおいしいです。納豆に加えれば、納豆と蒸し大豆の風味が同時に味わえてお勧めです。

私は長年、地域の健康診断事業にかかわっていますが、問題のある数値が出る人は若いころから食生活が偏っている傾向にあります。

高齢者だけでなく、子どもたちが将来、生活習慣病に陥るのを防ぐためにも、高カロリー食を食べすぎないことを、「躾」として伝えていく必要があります。蒸し大豆はその助けにもなるはずです。

「食べすぎ」から体を守るために蒸し大豆を食べる内場先生

たった10分でおいしい!「サキベジ流 蒸し大豆」の作り方

【必要なもの】
乾燥大豆…1合半(約150g)
磁器のどんぶり
(内場先生のお勧めは中華どんぶり)
ざる ラップ スプーン

【作り方】
乾燥大豆を、洗ったり、水に浸したりせず、そのままどんぶりに入れて600Wの電子レンジで3~4分加熱する。同時進行でお湯を沸かす

3~4分たったら電子レンジを開けて大豆が焦げないように混ぜ、さらに1分加熱(合計5分)

どんぶりを取り出したらすぐに熱湯を大豆が浸る程度かける。たっぷりお湯を注ぎ、沸き立つのが収まったらゆっくり混ぜる

1~3分待ってお湯を切る。栄養成分の出たお湯を飲んでもよい

出来上がったら冷蔵庫で保存。5日ほどで食べきる

この記事は『安心』2019年1月号に掲載されています。

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特選街web編集部

1979年に創刊された老舗商品情報誌「特選街」(マキノ出版)を起源とし、のちにウェブマガジン「特選街web」として生活に役立つ商品情報を発信。2023年6月よりブティック社が運営を引き継ぎ、同年7月に新編集部でリスタート。

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