「目の温パック」で目を温めると目の周囲の血流が促され、毛様体筋の緊張がほぐれて目のピント調節力が高まります。また、目の奥の血流をよくするので、視神経に栄養や酸素が届き、緑内障の予防や進行防止に役立ちます。【解説】平松類(二本松眼科病院医師)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

平松類(ひらまつ・るい)
二本松眼科勤務。医学博士。愛知県田原市生まれ、筑波大学附属駒場高校・昭和大学医学部卒業。彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長等を経て現在二本松眼科病院(東京都江戸川区)にて治療を行う。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などメディア取材に積極的に応じ多くの講演もこなす。

近視や老眼の原因は「ピント調節力」の低下

私たちの目は、見る物までの距離に応じて、自動的にピントが合うようにできています。

この調節力は、目の中でレンズの役割をする水晶体と、水晶体の厚みを調節する毛様体筋という小さな筋肉が担っています。

遠くを見るときは、毛様体筋がゆるんで水晶体が薄くなり、近くを見るときは、毛様体筋が収縮して水晶体が厚くなって、ピントを調節しているのです。

このピント調節力が低下することで起こるのが、近視や老眼です。

近視は、調節範囲が近くに固定されてしまうため、遠くが見づらくなります。一方、老眼は、老化などで毛様体筋の力が衰え、水晶体を厚くできなくなり、近くが見づらくなります。

また、最近は若い人で、スマートフォンなどの使いすぎで目を酷使したために毛様体筋が弱り、老眼のようにピントが合いにくくなる「スマホ老眼」も増えています。

近視・老眼の予防や進行防止に「目の温パック」が役立つ

眼底血流の低下で視神経が弱る

近視と老眼は、症状だけ見れば逆のようですが、ピント合わせ能力が落ちるのが原因なので、メカニズムは共通しています。このピント調節力の向上に大いに役立つセルフケアが、「目の温パック」です。

目を温めると、目の周囲の血流が促され、毛様体筋の緊張がほぐれて、目のピント調節力が高まります。したがって、温パックを習慣づけることで、近視や老眼の予防や進行防止に役立つというわけです。

そのほか、目の温パックは、緑内障の対策にも有効です。緑内障は、目の奥にある視神経が障害され、少しずつ視野が狭くなったり、見えない部分ができたりする病気です。

視神経が障害される原因の一つに、眼底血流の低下があります。血行が悪いと、視神経に栄養や酸素が届きにくくなり、視神経が弱ってしまうのです。

目の温パックは、目の奥の血流をよくするので、緑内障の予防や進行防止に役立ちます。

緑内障の前段階で、まだ薬剤などによる治療にまでは進んでおらず、定期的な視野検査で経過観察中といった人には、セルフケアとして、ぜひ行っていただきたいと思います。

目の温パックで涙の質を向上する

マイボーム腺からの脂分の分泌をスムーズにする

目の温パックは、血流だけでなく、涙の質を改善する効果もあります。

涙は、水分だけでなく、適度な脂分も含んでいます。それによって、涙が目の表面に均一にとどまり、乾かないようになっています。

その脂分を分泌しているのが、上下のまぶたの縁に点々と並んでいるマイボーム腺という器官です。

マイボーム腺の出口は、非常に小さく詰まりやすいのですが、脂なので温めると溶けて出やすくなります。目の温パックを行うと、必要な脂分が補充され、涙の質がよくなるのです。

涙の質が悪くなりやすいことも、緑内障の悪化に関係しています。また、緑内障になると、継続的に目薬を使用する必要があり、目の表面が荒れやすくなります。

それをカバーするためにも、目の温パックでマイボーム腺からの脂分の分泌をスムーズにするのがお勧めです。

ちなみに、マイボーム腺からの脂分の分泌が悪いと、ドライアイも起こりやすくなります。ドライアイになると、目が疲れて緊張状態が続き、老眼や近視が助長されてしまいます。

それでは、目の温パックのやり方を紹介しましょう。

「目の温パック」のやり方

ホットタオルの温パック

画像1: 「目の温パック」のやり方

タオルを2枚用意する。
40℃程度のお湯につけて絞るか、水で濡らして電子レンジで約30秒温める。電子レンジで加温する場合は、熱しすぎに注意し、やけどをしないように十分注意する。
ホットタオルが熱すぎない温度(40℃前後)になったら、目を閉じてまぶたの上に載せる。
ホットタオルが冷めてきたら、もう1枚のタオルに替え、合計で5分ほど温める。
これを朝と夜の2回行ってください。
入浴中に行うと、タオルを温め直しやすく、簡単にできます。

さらに目の温パックを行ってから、まぶたを軽くマッサージすると、よりいっそう効果的です。

まぶたさすり

画像2: 「目の温パック」のやり方

目を閉じて、人さし指を上まぶたの目じり寄りに当て、上から下に3回軽くさする。まぶたの中央、目頭寄りも同様に3回さする。眼球を押さないこと。
目を閉じたまま、下まぶたを下から上に3ヵ所を3回ずつ軽くさする。
反対側の目も同様に行う。

実用視力の向上も期待できる

また、目元とともに、首すじを温めるのもお勧めです。

首や肩のこりがひどくなるほど、実用視力(検査でわかる視力とは別の、生活の中での見え方)が低下します。首すじを温めて首・肩のこりが予防・解消できれば、実用視力の向上も期待できます。

さらに首すじを温めると、睡眠の効率がよくなるという研究報告もあります。睡眠と目の機能は密接に関係しており、睡眠不足や眠りが浅い状態だと、目が充血して物が見えづらくなったり、ドライアイを起こしやすくなったりするのです。

ぜひお試しください。

画像: この記事は『安心』2019年2月号に掲載されています。

この記事は『安心』2019年2月号に掲載されています。

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