2018年はスマホのカメラの進化が目立った。今回は、現在の3強ともいえるアップルのiPhone XS、ファーウェイのMate20 Pro、googleのPixel3の3モデルで実際に撮影してその進化のスゴさを体感してみた。風景・夜景・料理で実写比較してみたら、それぞれのおすすめポイントがはっきりした。
三つのカメラを搭載するモデルも
昨年、2018年は、スマホのカメラの進化が著しい年だった。
iPhoneのフラッグシップモデル「XS/XS Max」は、広角レンズと望遠レンズを組み合わせて1200万画素のデュアルカメラを搭載。
スペックは前モデルのiPhone Xと同じだが、チップセットの性能が向上したことにより、「スマートHDR」が実現。暗い場所や逆光などでも、バランスのいい明るさの写真が撮れるようになった。また、自然な背景ボケを演出できるのもセールスポイントとしている。
Android陣営では、ファーウェイのカメラの性能に目をみはるものがあった。
昨年11月に発売された「Mate20 Pro」は、ライカの監修を受けたトリプルカメラを搭載。4000万画素(広角)+2000万画素(超広角)+800万画素(3倍ズーム)という充実した仕様だ。また、被写体に2.5センチまで近づける「スーパーマクロ」撮影、AIによる高度な被写体・シーン認識についても評価が高い。
Androidスマホでは、Googleが手がける「Pixel3/3XL」のカメラ性能も見逃せない。
アウトカメラはシングルレンズで1220万画素だが、一つの画素に二つのフォトダイオードを搭載する「デュアルピクセル」技術を搭載したことで、オートフォーカスが速く、効率よく光を取り込めるという特徴を持つ。
また、被写体が動いた場合に、シャッターを押す前後を含む数枚の画像が記録され、ベストショットを選べるという便利な機能もある。
インカメラが標準と広角のダブルレンズで、家族や友達と一緒のセルフィー写真が撮りやすいことも魅力だ。
今回は、現在の“3強”ともいえるiPhone XS、Mate20 Pro、Pixel3の3モデルで、同じ被写体を撮影して比べてみた。
夜景も手持ちでシャープに撮れた
結果は、下の作例を見ていただきたい。明るさや色に若干違いはあるものの、いずれもコンパクトデジカメに匹敵するか、それ以上の画質を実現している印象だ。
夜景は、いずれも手持ちで撮影したものだが、手ブレ補正機構によってシャープな画質で撮れた。
いずれの機種もディスプレイが大画面かつ高精細で、構図を決めやすく、撮影後の確認もしやすかったのも、デジカメに対するアドバンテージといえるだろう。
今回の3モデル、画質はそれぞれ好みがあるだろうが、簡単に撮れることを重視するならiPhone、画角のバリエーションを楽しみたいならMate20 Pro、自撮りもするならPixel3をおすすめしたい。
《 風 景 》
晴天の日に富士山を望む景色を撮影。Mate 20 Proは、「マスターAI」をオン(初期設定)にしたままで撮影。AIが青空や花を認識して、鮮やかな演出を行った。
Google Pixel3
フルオートの「カメラ」モードで撮影。他の2機種よりも、やや青みが濃く出て、スッキリとした印象。多くの人に好まれる色調だろう。
アップル iPhone XS
「写真」モードで撮影。他の2機種よりは、やや落ち着いた色になった。遠くに見える富士山もクッキリとらえることができた。
ファーウェイ Mate20 Pro
「写真」モードで撮影。AIによって「青空」と認識された。青空も菜の花も実際に見えるよりも若干鮮やかな色で写った。
《 夜 景 》
Mate 20 ProとPixel 3には夜景モードがあるので、それに設定して撮影した。数秒間に撮影した複数の画像が合成される仕組みになっている。
Google Pixel3
「その他」から「夜景モード」を選択して撮影。3秒ほどを要した。最も明るく撮れたが、夜空まで白っぽくなってしまうのは気になった。
アップル iPhone XS
iPhoneには夜景モードがないので、「写真」で撮影した。速いシャッタースピードながら明るく撮れて、夜空も暗く締まった。
ファーウェイ Mate20 Pro
「夜景」モードに設定して撮影。撮影完了まで4秒ほどかかるが、手ブレも補正されて明るくシャープな画質に仕上がった。
《 料 理 》
最近はSNSに料理の写真をアップする人が多いので、ラーメン店でも撮影してみた。どの機種もフルオートで3枚撮影し、それぞれ最も写りのいい写真を選んだ。
Google Pixel3
「カメラ」で撮影。実際よりもやや色が濃く写った。おいしそうかどうかは、見る人によって差があるかも。光沢は美しく描写された。
アップル iPhone XS
「写真」で撮影。3モデルの中では最も落ち着いた色調で、実際に近い色で撮れた。おいしそうには撮れたが、やや物足りない印象もある。
ファーウエイ Mate20 Pro
「写真」で撮影した。AIによって「フード」と認識された。赤みが強くなり、コントラストが強調された印象。背景も若干ボケた。
解説/村元正剛(ITライター)