【腸内環境改善】酢と納豆の組み合わせが効果的。食べるメリットと効能を医師が解説!

美容・ヘルスケア

食物繊維ともう一つ、納豆に含まれるセレンという成分には、体内の重金属を排出する働きがあります。体内の有害重金属を除去すれば、病気のリスクが減るとともに、栄養の吸収率がアップするため、体の機能回復・若返りも期待できます。【解説】星子尚美(星子クリニック院長)

解説者のプロフィール

星子尚美(ほしこ・なおみ)
星子クリニック院長。東京女子医科大学医学部卒業、熊本大学医学部大学院修了。医学博士。高濃度ビタミンC点滴療法専門医、アンチエイジング統合医療認定医など、さまざまな資格を取得。「がんでは死なない・死なせない」をモットーに治療に当たる。著書に『「平熱37℃」で病気知らずの体をつくる』(幻冬舎)など。

薬効の高い食品を同時にとれる効率的な食べ方

私のクリニックでは、病気を治すだけでなく、病気にならない体づくりも提唱しています。その一つが、理想的な腸内環境づくりです。腸をよくする食事の指導を行い、食のセミナーなども開催しています。

現代病、特に高血圧や動脈硬化、糖尿病といった生活習慣病や、アレルギー性疾患、ガンなども、食事と生活を変えることで、予防や改善が可能です。だからこそ、毎日どのような物を食べるかが重要なのです。

体によい食べ物のなかでも、特に毎日とってほしいのが納豆です。私が患者さんに渡している「腸内リセットによい食材」という食事の指針表でも、「善玉菌が豊富な食材」として、納豆をトップに掲げています。

私自身、納豆は、ご飯にかけたり、ノリで巻いたりして、毎日朝晩食べています。最近、納豆に酢を加えた「酢納豆」が話題になっています。

酢と納豆という薬効の高い食品を同時にとれる、非常に効率的な食べ方です。私も、油揚げに納豆を詰めて軽く焼き、ポン酢をかける酢納豆がお気に入りです。

まず、納豆の働きとして特筆すべきは、腸内環境を整える作用です。納豆の食物繊維は、腸内の善
玉菌のエサとなり、酪酸という物質を作り出します。酪酸は、大腸上皮細胞の栄養源となり、大腸の新陳代謝や腸のバリア機能を高めます。

腸のバリア機能が低下すると、腸内での栄養吸収が妨げられたり、有害物質を排出できなくなったりします。その結果、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患や、糖尿病やガン、うつ病などの病気を引き起こします。

納豆をとることで腸粘膜が丈夫になり、こうした病気を予防することにつながるのです。

食物繊維には、水溶性と不溶性があり、その比率は1対2が理想とされています。納豆の食物繊維は、まさにこの黄金比。水溶性食物繊維は腸内の善玉菌を増やし、不溶性食物繊維は腸の内壁を刺激して、ぜん動運動(内容物を先に送る動き)を促進します。

美肌&若返り効果も期待できる!

そしてもう一つ、納豆に含まれる「セレン」という成分には、体内の重金属を排出する働きがあります。

環境汚染や農薬、食品添加物に含まれる有害な重金属は、体内に徐々にたまり、さまざまな病気の原因となります。

納豆によって体内の有害重金属を除去すれば、病気のリスクが減るとともに、栄養の吸収率がアップするため、体の機能回復・若返りも期待できます。

このほか納豆には、血栓(血の塊)を溶かす効果で知られるナットウキナーゼという酵素や、認知症や糖尿病の改善に役立つレシチンという脂質も多く含まれます。

栄養面でも、「畑の肉」といわれるほど良質な植物性たんぱく質が多く、マグネシウムなどのミネラルも豊富です。さらに、粘膜の強化に欠かせないビタミンE、B1、B2が豊富なので、美肌効果も期待できます。

さらに、昨今話題の「エクオール」の産生能力を高める作用も、見逃せません。

エクオールとは、大豆イソフラボンが腸内細菌で代謝された結果、生まれる物質です。女性ホルモンのエストロゲンと似た働きがあり、更年期障害の改善や骨粗の予防、メタボ改善などの効果が報告されています。

男性でも、体内でエクオールを作れる人ほど、前立腺肥大や前立腺ガンのリスクが低いという研究があります。

エクオールを体内で作れるのは、日本人の約43%という調査結果がありますが、最近の研究では、大豆食品をほぼ毎日食べる人は、そうでない人に比べ、エクオールの産生能力が高いことがわかりました。

エクオールの産生は、腸内環境の影響を強く受けるため、腸内で常に善玉菌が優勢である必要があります。食物繊維が多く、腸の健康を保つ納豆は、エクオールの産生能力を高める食品といえます。

酢もまた、薬効が高い食品です。納豆と共通しますが、酢にも、血流や代謝の促進、腸の活性化のほか、細胞の老化を防ぐ抗酸化作用があります。

さらに酢の主成分である酢酸やクエン酸、アミノ酸などが、内臓脂肪の減少や疲労物質の排出を促すことが、研究で明らかになっています。

酢を納豆に加えることで旨みが増すため、無理なく減塩できるという利点もあります。

酢と納豆を組み合わせることで、腸内環境を整える効果も、よりいっそう高まります。生活習慣病やアレルギー性疾患、老化や更年期障害の予防・改善に、ぜひ、酢納豆を毎日召し上がってください。

酢と納豆で腸内環境が整う!

この記事は『壮快』2019年2月号に掲載されています。

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特選街web編集部

1979年に創刊された老舗商品情報誌「特選街」(マキノ出版)を起源とし、のちにウェブマガジン「特選街web」として生活に役立つ商品情報を発信。2023年6月よりブティック社が運営を引き継ぎ、同年7月に新編集部でリスタート。

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