スマホの勢いに押されるカメラ市場において、唯一、元気なカテゴリーが「レンズ交換式のミラーレス一眼」だ。この記事では、ミラーレス一眼と従来の一眼レフとの違いを解説し、ミラーレスを発売している6社のラインアップと特徴を紹介していこう。
ミラーレス一眼は一眼レフとどこが違う?
スマホのカメラの勢いに押され、やや低迷ぎみのデジカメ市場。コンパクトデジカメはもちろん、レンズ交換式の一眼レフも苦戦を強いられている。その中で、前年度より順調に売り上げを伸ばす人気を見せているのが、ミラーレス一眼だ。
一眼レフとミラーレス一眼では、ボディ内の構造が異なる。一眼レフは、レンズを通して入ってくる光をボディ内のミラーに反射させて光学式のファインダーに像を投影するという、銀塩時代から続く構造。撮影時はミラーを可動させて撮像センサーに記録する。
一方、ミラーレス一眼は、撮像センサーの像をEVF(電子ビューファインダー)に表示させ、そのまま撮影する。ミラーやファインダーなどの光学構造を必要としないぶん、ボディを小型・軽量に作れる。また、EVFや背面モニターには撮像センサーの像が直接表示されるので、明るさや色調を確認しながら撮影することができる。さらに、水準器やバッテリー残量などの情報表示も可能だ。
ミラーレス一眼が登場してから約10年。現在は、ほとんどのカメラメーカーから発売され、エントリーからハイエンドまで機種のラインアップも豊富になってきた。デジカメの買い替えを考えている人は、ぜひミラーレス一眼に注目してほしい。
ポイントミラー構造を省いたことでボディの小型・軽量化を実現
一眼レフは構造上、ボディ内にミラーや光学ファインダーなどを必ず配置しなければならない。その点、ミラーレス一眼は、これらの機構を省くことができるので、ボディサイズは薄くなり、重量も軽くすることができる。
一眼レフ
キヤノン・EOS Kiss X9i
ミラーレス一眼
キヤノン・EOS Kiss M
解説/岡田清孝(カメラマン)
ミラーレス一眼は、どんなメーカーが出している?
現在、多くのメーカーからミラーレス一眼が発売されているが、最初に発売されたのは2008年のパナソニックのLUMIX DMC-G1である。翌年にはオリンパスもPEN E-P1を発売。どちらも4/3型の撮像センサーを採用するマイクロフォーサーズ規格の製品である。
パナソニックやソニーは、デジタルになって本格的にカメラ業界に参入したメーカーだが、ミラーレス一眼では、この新規参入メーカーの躍進が目立つ。最近、注目度が高まっている35ミリ判フルサイズ(以降、フルサイズ)のミラーレス一眼は、ソニーのα7シリーズが先鞭をつけてリードしてきた。
もちろん、フィルム時代からの既存カメラメーカーもミラーレス一眼を発売している。ただし、採用する撮像センサーの大きさは、メーカーやシリーズで異なる。
富士フイルムやキヤノンは、APS-Cサイズの製品を発売してきた。だが、富士フイルムは2017年からフルサイズよりも大きい中判フォーマットの製品も発売。キヤノンは昨年10月にフルサイズのEOS Rを発売した。
ニコンも昨年9月にZ7を発売し、フルサイズミラーレス市場に参入。そして、マイクロフォーサーズ陣営のパナソニックからも、新たにフルサイズのS1シリーズが登場している。
各社のミラーレス一眼の主なラインアップと特徴
オリンパス
OM-Dシリーズ 4モデル
PENシリーズ 2モデル
EVFを内蔵する一眼レフふうのOM-Dシリーズは、比較的カメラに詳しくて本格的に撮る人向けのモデル。スマートな小型・軽量ボディのPENシリーズは、旅先や日常スナップなどで気軽に使うのに適している。
キヤノン
Rシリーズ 2モデル
Mシリーズ 4モデル
フルサイズ対応のRシリーズでは、機能が充実した中級機のEOS Rと、リーズナブルで扱いやすいEOS RPを発売。APS-CサイズのEOS Mシリーズは、EVFの有無の違いはあるが、いずれも小型軽量で気軽に使える。
ソニー
フルサイズ 9モデル
APS-C 3モデル
フルサイズのα7シリーズは、スタンダード、高画素、高感度性能重視の3タイプがそろう。α9は連写性能が別格。APS-Cモデルも、小型・軽量設計ボディだが、AF性能や動体追従に優れる実力派。
ニコン
Zシリーズ 2モデル
昨年後半から、フルサイズのZシリーズを展開。Z7は4575万画素の高画素タイプで、本格的な風景撮影などに最適。2450万画素のスタンダードタイプのZ6は、バランスの取れたオールラウンドモデル。
パナソニック
Sシリーズ 2モデル
Gシリーズ 6モデル
フルサイズのSシリーズは、高剛性ボディや高精細ファインダーを生かし、本格的な静止画や4K/60p動画撮影に向く。4/3型のGシリーズは、高性能モデルから機動性の高い小型・軽量モデルまで幅広く展開。
富士フイルム
GFXシリーズ 2モデル
Xシリーズ 6モデル
フルサイズを超える中判フォーマットのGFXシリーズを擁するほか、APS-CのXシリーズでは、ボディ内手ブレ補正搭載のX-H1、高機能なX-T3やX-T30、シンプルで扱いやすいX-A5など、幅広い選択肢を用意。
解説/吉森信哉(フォトグラファー)