写真を撮る道具として欠かせない存在となったスマホ。この記事ではスマホの最新モデルから注目機を選び、プロが実写テストを敢行しランキングを付け、“画質王”を決定した。ここではスタンダードタイプのスマホ(LG、シャープ、ファーウェイ)3機種の画質を比較した。
スマホ画質王選手権~スタンダードタイプ~
スマホ編では、「プレミアムタイプ」と「スタンダードタイプ」に分け、それぞれテストを行った。テスト項目として、「オート画質」「高感度画質」のほか、スマホらしい項目として「前面カメラ」の画質も加えている。さらに、「動画」と「使い勝手・操作性」を加えた全5項目でチェックし、合計得点で順位を決めた。テストは、各機種とも条件をそろえて撮影し、スマホ画面で見た画質に加えてパソコン画面でも検証。さらに、一部の写真はプリントまで行い、どのモデルが"画質王"の名にふさわしいかを見つけ出した。
- LG
- Android One X5
- シャープ
- AQUOS sense2
- ファーウェイ
- nova lite 3
LG Android One X5
実売価格例:4万7196円(実質負担額)
Androidのバージョンアップが2年間は保証される「Android One」シリーズの一台。ワイモバイルから発売されており、LG製の液晶パネルを採用している。カメラは前面・背面ともシングル。
オート画質
高感度画質
クラスを超えた美しさ。発色はナチュラルでディテールもシャープ
カメラを起動すると、画面のあちこちでAIによる被写体認識が行われ、「フルーツ」「人物」といった文字が浮かんでは消えていくさまがおもしろい。
画質は、クラスを超えた美しさで完全にプレミアムクラス水準。パソコンの画面で見ても、とてもシャープなディテール描写に加え、発色はナチュラルで透明感を感じさせる。ただし、スマホの画面で見ると全体に鮮やかすぎる印象で、もう少し派手さを抑えた表現のほうが、目が疲れないと感じた。
採点表
オート画質 | 9 |
---|---|
高感度画質 | 8 |
前面カメラ | 8 |
動画 | 7 |
使い勝手・操作性 | 7 |
合 計 | 39点 |
写真画質にはおおむね満足なのだが、動画は色がべったりと重たくなり、画面が汚れたような印象になる。
シャープ AQUOS sense2
実売価格例:3万2400円
安価ながらシャープ自慢のIGZO液晶を採用したエントリーモデル。おサイフケータイや長時間バッテリーなど、必要十分な機能や性能が盛り込まれ、買い得感あふれる一台となっている。
オート画質
高感度画質
AFのピント合わせは素早く、水準器も便利。画質は発色が薄め
AFによるピント合わせはなかなかに素早く、マニュアル撮影モード時には画面中央に水準器が表示されるので、建物などの撮影時にはとても便利だ。自動的に最適なフレーミングを施した写真を生成してくれる「インテリジェントフレーミング」など、機能も豊富。だが、カメラを起動すると、晴天の屋外ではどうにも画面が暗く、見えづらい。
画質は発色が薄めで、全体に色あせたかのような色再現。人の頬などちょっとした部分に白飛びが目立ち、ガラケー時代を連想させる。
採点表
オート画質 | 5 |
---|---|
高感度画質 | 6 |
前面カメラ | 7 |
動画 | 7 |
使い勝手・操作性 | 7 |
合 計 | 32点 |
カメラ以外の機能面では過不足なくまとまっているのだが、カメラ部分の画質は数世代前の印象だ。
ファーウェイ nova lite 3
実売価格例:2万4624円
入門モデルながら6.1型の狭額縁ディスプレイを採用したモデル。1300万画素のメインカメラに加え、被写界深度測定用の200万画素カメラを備えたデュアルカメラのシステムとなる。
オート画質
高感度画質
ディテールの再現は自然な印象でカメラはミドルクラスの実力
発色に少し寂しさを感じさせるが、ディテール再現は自然な印象。被写界深度測定用に200万画素のカメラを搭載するが、これを生かした背景をぼかす人物撮影では、髪の毛が背景と混じってボカされたりする場面が見られ、機能としてはいま一つと感じる。
画面オフ状態からでも、音量を下げるキーを連続押しするだけで写真が撮れる「ウルトラスナップショット」機能はとても便利で、ふとしたシャッターチャンスを逃さず撮影できるため好感が持てる。
採点表
オート画質 | 7 |
---|---|
高感度画質 | 7 |
前面カメラ | 6 |
動画 | 7 |
使い勝手・操作性 | 8 |
合 計 | 35点 |
エントリー機だが、カメラはミドルクラス並み。2基のカメラでの背景ぼかしは被写体と背景の切り分けが微妙。
採点結果
メーカー・製品名 | オート画質 | 高感度画質 | 前面カメラ | 動画 | 使い勝手・ 操作性 |
合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
LG Android One X5 |
9 | 8 | 8 | 7 | 7 | 39 |
シャープ AQUOS sense2 |
5 | 6 | 7 | 7 | 7 | 32 |
ファーウェイ nova lite 3 |
7 | 7 | 6 | 7 | 8 | 35 |
画質はプレミアムタイプに匹敵するAndroid Oneがトップ
実質4万円台という価格帯ながら、カメラ部の画質は断トツで、プレミアムタイプに匹敵するのは、Android One X5。すっきりと自然な発色が特徴で、濁りのない色再現は透明感を覚えるほど。細かく見ると、シャープさを強調するあまり、髪の毛の質感が硬く見えがちというマイナス面もあるが、全体に好印象。
今回のテストを通して感じたのは、プレミアム、スタンダードとも、海外メーカーのカメラ画質が優位だったこと。カメラ大国である日本だけに、スマホカメラでも今後の頑張りに期待したい。
スマホ(スタンダード)画質王
LG Android One X5
実売価格例:4万7196円
クラスを超えた美しい発色とシャープな再現の写真画質を持つ。ただ、本機の画面で見ると発色が派手になりすぎる。多くの場合「映え」ているので、これもありだが。
※価格は記事作成時のものです。
解説/吉村永(カメラマン) モデル/神谷玲奈(ソレイユ)