腰痛を改善する「カエル体操」とは “気持ちいい”と感じる動きをすることがポイント

美容・ヘルスケア

カエル体操は、腰部脊柱管狭窄症、腰部椎間板ヘルニア、座骨神経痛などによく効く動きです。カエル体操の動きは「赤ちゃんが寝ているときにしている足の動き」をマネしたものです。「つらい動きは避けて、気持ちいいと感じる動きをする」ことが、ゆがんでしまった体を正すポイントです。足、腰の痛みやしびれに耐えられない人は、ぜひ試してみてください。【解説】中村光太郎(カラダスイッチ医学研究所CEO・介護福祉士・理学療法士)

解説者のプロフィール

中村光太郎(なかむら・こうたろう)
介護福祉士。理学療法士。カラダスイッチ医学研究所CEOとして、整体院JITAN BODYを経営。約10分という「時短治療」が話題で、8,000人以上の予約待ちとなっている。バスケットボール男子・Bリーグ2部東地区に所属する「パスラボ山形ワイヴァンズ」の故障予防専属トレーナーとしても活躍している。

病院で治らなかった片頭痛が消えた

私は今から10年くらい前に、高齢者施設で介護福祉士として働いていました。

そのころ、多くの利用者が、「腰が痛い」「足が痛い」「首が痛い」と、あちこちの痛みを訴えていました。みんなの痛みをなんとかしてあげたくても、何もできない。そんな自分が嫌で、理学療法士(医学的リハビリテーションを支援する専門職)になる決意をしました。

熱心に勉強をして理学療法士の資格を取得して、病院で働き始めたのですが、やはり理想と現実は異なります。

医学的に正しいとされている方法で手術後の運動能力の回復や、脳卒中によるマヒなどを取り除くリハビリテーションをしても、よくならない患者さんがたいへん多かったのです。

四苦八苦していると、私自身がひどい片頭痛に悩まされるようになってしまいました。病院で治療を受けてもいっこうによくなりません。そのとき私は、現代医学の限界を感じました。

なんとか治したいと、東洋医学をはじめとしたさまざまな治療法を学んだ中で、「操体法」に出合いました。操体法とは、医師の橋本敬三氏(1897~1993年)が創始した動きや指圧を用いる療法です。

これは、人間にとって自然な本来の体の動きをすることで、骨格や筋肉(運動系)のゆがみを修正することを主眼にしています。この方法を学び、まず自分に試してみると、片頭痛が消えました。

この体験から、改めて自分で体を動かして治すことの大切さに気づきました。そこで、誰もが自分で実践できるように、簡単なセルフケアを研究するようになりました。

今回、紹介する「カエル体操」もその一つです。うつぶせに寝て、平泳ぎのときのように足を動かすだけと簡単ですが、「足(下肢)のしびれを伴う腰痛」の改善にたいへん役立ちます。

カエル体操は、腰部脊柱管狭窄症、腰部椎間板ヘルニア、座骨神経痛などによく効く動きです。診断名はともかく、とにかく、足、腰の痛みやしびれに耐えられない人は、ぜひ試してみてください。

《カエル体操で改善が見込める症状》
腰部脊柱管狭窄症 腰部椎間板ヘルニア 座骨神経痛 腰椎椎間板症 スポーツなど激しい動きによる腰痛 ぎっくり腰 原因不明の腰の痛みやしびれ

気持ちよく動くことが効果を引き出すポイント

詳しいやり方は下記で紹介しますが、カエル体操の動きは「赤ちゃんが寝ているときにしている足の動き」をマネしたものです。

赤ちゃんのころは、誰も体のゆがみや痛みに悩まされていません。ところが、年齢を重ねるにつれ、しだいに体にゆがみが生じ、痛いところが出てきます。そういうところをマッサージされると気持ちよく感じますが、ちょっと考えてみてください。

子どもの頃にマッサージをされてもくすぐったいだけで、何が気持ちいいのかわからなかったはずです。その理由はシンプルです。それは、子どもは、自然な体の動かし方ができているため、体はゆがまず、こりや痛みも生じないからです。

ここで大事なのは、「つらい動きは避けて、気持ちいいと感じる動きをする」ことです。実はそれこそが、ゆがんでしまった体を正す動作のポイントだったのです。

理学療法士としてリハビリテーションを指導していた頃は、患者さんがなんらかの動作で痛みを感じても、がまんしてやってもらわなければと思っていました。

ですが、そもそも、体はその動きを「したくない」「悪化させる」という理由で、あえて痛みを出していることに気づきました。そして編み出したのがカエル体操を含めた私のセルフケアです。

とはいえ、体をまったく動かさずにいれば、症状は悪くなるばかり。必要以上の過度な安静は体の衰え、寝たきりを招く要因と、数々の医学的研究から証明されています。必要なことは、体を動かしながら「気持ちよさ」を探すことだったのです。

このカエル体操を実践してもらうと、人によってはその場ですぐに効果が現れ、症状が改善します。来るときは足を引きずっていたのに、帰るときにはスタスタと歩けるようになったかたもいました。

赤ちゃんのときにしていたような、自然で気持ちいい体の動きをすると、その刺激が細胞にダイレクトに響いて、体がもともと持っている治癒力が引き出されるのではないかと私は考えています。

ただし通常は、症状が改善するまで継続的に取り組んでいただく必要があると思います。例えば、カエル体操を行っても、狭くなっている脊柱管が広くなったりはしないはずです。

しかし、カエル体操を続けるうちに体のゆがみが修正されて、筋肉のバランスが正常に戻れば、脊柱管の中の神経への圧迫が取れる可能性はあります。神経が圧迫されて症状を起こしているのですから、要はそれがなくなればいいわけです。

よけいな負担をかけずに、体がらくに動かせるように再調整するカエル体操に、ぜひ取り組んでみてください。

足腰の痛みとしびれを改善する!「カエル体操」のやり方

カエル体操は、まず左右の足で動かしやすいほうを確認して、片側だけを上下に動かす簡単な体操です。脊柱管狭窄症に限らず、腰と足の痛みやしびれに効果的なので、一度試してみましょう。

(1)最初にチェック

・うつぶせに寝て、両手を頭の横に置く。顔は下か正面に向ける。

・左ひざをできるだけ直角に曲げ、左足のかかとをお尻に引き寄せる。

・右足でも同じ動きをして、左右のどちらの足が動かしやすいかを確認する。

(2)左右で動かしやすいほうの足を上げる

・右左どちらか「動かしやすいほうの足」だけを10回、上げ下げで1セット。

・足を引き上げる高さ(ひざの位置)は、痛くなく、らくにできるところまでにする。無理して高く上げないこと。

・1日3セットが目安の回数

この記事は『安心』2019年6月号に掲載されています。

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