便秘の人には【温野菜ダイエット】がおすすめ!医師が「キャベツ」 を推奨する理由

美容・ヘルスケア

慢性便秘や肥満の人に私が勧めているのが、食べてやせる「温野菜ダイエット」です。ヒトの体液は、肉を多く食べて野菜不足になると血液がドロドロになっていきます。野菜をしっかりとり、ドロドロ血液が改善すれば、血圧や血糖値の降下も十分期待できます。【解説】森田博義(赤羽病院副院長)

解説者のプロフィール

森田博義(もりた・ひろよし)
赤羽病院副院長。1976年、新潟大学医学部卒業。国立国際医療センター医長、東京逓信病院第一外科医長、横浜逓信病院院長を経て現職。医学博士。日本外科学会指導医・専門医。日本消化器外科学会指導医・専門医。日本大腸肛門病学会指導医・専門医。専門分野は大腸肛門外科。『大腸(直腸)・肛門・痔の病気 これで安心』(小学館)、『おしりの健康』(朝日新書)など、著書多数。

最初にしっかり食べれば満腹中枢が満たされる!

私は、大腸の専門医として、日々、診療に当たっています。患者さんを診ていると、食の欧米化によって腸内環境が乱れ、病気を患う人が多いと感じています。

日本人に最も多い便秘は、弛緩性便秘です。これは、腸の蠕動運動(便を送り出す動き)が悪くなることで便が腸内に長くとどまり、水分が奪われてかたい便になるタイプの便秘です。

弛緩性便秘の人は往々にして偏食で、野菜をあまり食べない傾向にあります。そこで、慢性便秘や肥満の人に私が勧めているのが、食べてやせる「温野菜ダイエット」です。その名のとおり、湯通ししたり、ゆでたりした野菜を、食事の最初に食べます。

肥満も便秘も、野菜の摂取不足が要因の一つです。そこで、生野菜ではなく温野菜にすると、かさが減ってたくさん食べられる、という利点が生まれます。

その温野菜ダイエットの軸になる食材が、キャベツです。キャベツは一年中手に入り、価格も比較的安定しています。

湯通ししたりゆでたりすると、切り口がなめらかになり、キャベツのアクも抜けて食べやすくなります。生キャベツが苦手な人でも、湯通ししたキャベツなら、無理なく食べられるでしょう。

肥満の人は、もともと大食漢で胃が大きいため、ある程度の量を食べないと満腹中枢が満足しません。ですから、どんなダイエットを試みても、挫折するのです。

そこで、最初にキャベツをしっかり食べて、胃をある程度満たしてから、通常の食事をとるのです。すると、キャベツで満たされている分、おかずやご飯の量を確実に減らせます。特に、主食を減らすことが大切なので、ご飯までいきつかずに満腹感を得られれば理想的です。

加熱したキャベツは、調味料をかけたりスープにしたりするなど、好みの味つけにして食べてください。食べごたえを求めるなら、サッと湯通ししたキャベツのほうが、程よく歯ごたえが残っていいかもしれません。

野菜のなかで制ガン作用が2番めに強い!

キャベツには、優秀な成分がたくさん含まれています。

まず、ビタミン類です。特に「ビタミンACE」と呼ばれるビタミンAやC、Eは、老化や病気の元凶物質である活性酸素を除去する作用が強いほか、免疫力を高めて、ガン細胞を攻撃する働きもあります。

また、キャベツに含まれるキャベジンは、別名ビタミンUとも呼ばれ、胃酸過多を抑制する作用があります。この成分は、現在でも、胃炎や胃潰瘍の薬として使われています。

食物繊維も豊富です。食物繊維は、不要なコレステロールを吸着して排出するほか、腸内で善玉菌のエサになる働きもあります。

食物繊維は、熱を加えると繊維が短く切れて、分子量も小さくなります。腸内細菌にとっては、この状態のほうが有効なので、善玉菌も増えやすくなります。こうして、腸内環境が整うことで、便通がスムーズになるのです。

キャベツには、強い制ガン作用もあります。米国立がん研究所(NCI)の研究によると、数ある野菜のなかでも、キャベツは、ニンニクに次いで2番めに制ガン作用が強いことが報告されています。

それをもたらす代表的な成分が、イソチオシアネートです。これは、植物由来の天然の機能性成分・ファイトケミカルの一種で、有害物質や発ガン物質を無毒化する作用があります。

キャベツはガンを撃退する成分も豊富!

キャベツを含む野菜全般は、アルカリ性を示すミネラルが多く、アルカリ性食品の部類に入ります。

通常、ヒトの体液は、pH(水素イオン濃度指数)7.35とほぼ中性ですが、肉を多く食べて野菜不足になると酸性に傾き、血液がドロドロになっていきます。

ドロドロの血液は、動脈硬化や高血圧、糖尿病といった病気の進行を助長させ、心筋梗塞や脳梗塞につながる可能性があります。

ですから、野菜をしっかりとり、体液の㏗を中性に維持する必要があるのです。ドロドロ血液が改善すれば、血圧や血糖値の降下も十分期待できます。

厚生労働省は、一日の野菜の目標摂取量を350gとしています。生でそれだけの野菜をとるのは容易ではありませんが、湯通ししたりゆでたりすれば、かさが最大で5分の1程度に減るため、それほど難しいことではないでしょう。

なお、腸に炎症のある人は、なるべくキャベツを煮て食べたほうが安心です。繊維がしっかり残っていると、腸の粘膜を刺激し、炎症が悪化するおそれがあります。

ぜひ皆さんも、生ではなく、加熱したキャベツを積極的に食べて、便秘や生活習慣病対策に役立ててください。

別記事:”無限”キャベツ絶品レシピ→

この記事は『壮快』2019年7月号に掲載されています。

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