果実としての梅は、医学的に見ても、高い健康効果があります。クエン酸は、乳酸を減らし血液を弱アルカリ性に近づけることで、体質改善に寄与します。カリウムやカルシウムなどのミネラルも豊富で、強い抗菌・抗ウイルス作用も有名です。【解説】明星智洋(江戸川病院腫瘍血液内科副部長・一般社団法人梅酒研究会代表理事)

解説者のプロフィール

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明星智洋(みょうじょう・ともひろ)
江戸川病院腫瘍血液内科副部長。一般社団法人梅酒研究会代表理事。2001年熊本大学医学部卒業後、岡山大学医学部附属病院、呉共済病院、虎の門病院、がん研有明病院を経て、09年より江戸川病院に着任。一方、梅酒好きが高じて04年に梅酒研究会を設立。梅酒品評会主催や梅酒開発に携わり、国内外への梅酒文化普及のため、精力的に活動中。

梅は血液を弱アルカリ性に近づける

私の専門は、腫瘍血液内科です。ガン薬物療法専門医として日々患者さんに向き合い、治療を行っています。

そんなガンの専門医が、なぜ「梅こうじ」の話題に登場するのか、不思議に思われるかたもいるでしょう。実は、私は一般社団法人である「梅酒研究会」の設立者でもあるのです。

日本が誇る梅酒文化を国内外に広めるべく、医師と梅酒研究会の代表理事という、二足のわらじを履いて活動しています。

医師になったのも、梅酒にかかわるようになったのも、きっかけは祖母でした。

私は祖母を、膵臓ガンで亡くしました。高校生のころです。大好きだった祖母を奪ったガンをどうすれば撲滅できるのか。そんな悔しさが、医師を目指す原動力となり、医師になった暁には「ガン治療に一生を捧げよう」と心に誓いました。

そしてこの祖母が毎年作っていたのが、梅酒だったのです。

私は初心を忘れないよう、大学の医学部に入ってから毎年、梅酒を漬けてきました。かれこれ20年ほど漬け続けるうちに、すっかり梅酒の魅力にハマったというわけです。

果実としての梅は、医学的に見ても、高い健康効果があります。梅に豊富な成分といえば、なんといってもクエン酸です。

私たちの体内には、クエン酸サイクル(TCA回路)と呼ばれる、代謝にかかわるしくみがあります。このしくみが円滑に回ることで、乳酸を減らしたりエネルギー源として再利用したりできます。

クエン酸は、このしくみの働きを促進するので、疲労回復に効果的です。よく、「疲れ取りには酸っぱい物が効く」といわれるのは、そうしたわけです。

また、正常な血液の酸性度は弱アルカリ性を示しますが、体内に乳酸が多くなると血液が酸性に近づきます。乳酸がたまると体に変調を来し、さまざまな病気の引き金にもなりえます。

梅は、血液を弱アルカリ性に近づけることで、体質改善に寄与します。その酸っぱさから酸性と思われがちですが、実は、アルカリ性の食品なのです

こうした梅の酸味は、唾液分泌を促して、胃腸を活性化します。食欲増進効果があるので、夏バテ対策にもなるでしょう。

日本人の体質に合った優れた健康機能食!

梅には、カリウムカルシウムなどのミネラルも豊富です。

高血圧の原因の一つに、塩分のとり過ぎが挙げられますが、カリウムは、血液中の余分な塩分(ナトリウム)の尿中への排出を促します。

また、梅に含まれる成分が、アンギオテンシンⅡという、血圧上昇に関係する物質の働きを抑えるとした研究報告があります。このため、梅はダブルの作用で、高血圧や動脈硬化の予防・改善に効果的といえます。

一方でカルシウムは、骨粗鬆症予防に役立つのはもちろん、イライラを鎮める作用があり、精神安定に効果を発揮します。

梅といえば強い抗菌・抗ウイルス作用も有名です。梅に含まれる成分が、インフルエンザウイルスを90%抑制するという研究が2010年に発表されています。お弁当に梅干しを入れると食中毒予防になりますが、昔の人は、こうした効果を経験的に知っていたのでしょう。

加えて、梅の成分は、私の専門分野であるガンの予防にも、いい効果を及ぼします。

胃ガンの原因の一つに、ヘリコバクターピロリ菌の存在があります。胃から除菌するには、もちろん治療が必要ですが、梅のポリフェノールの一種であるシリンガレシノールという成分は、このピロリ菌の運動能力を阻害することが、研究でわかっているのです。

つい、梅に肩入れしてしまいましたが、今回、梅と組み合わせるこうじにも、見逃せない健康効果があります。

こうじとは、米などの周りにこうじ菌を付着させ、培養した物を指します。こうじ菌はカビの一種ですが、みそやしょうゆ、みりんや酢、日本酒など、日本の発酵食文化には欠かせません。

こうじは微生物ですから、腸内環境の改善に大変有用です。それだけではなく、血圧を下げたり、血糖値の上昇を抑制したり、脂質代謝を改善したり、といった機能があることが、さまざまな研究で判明しています。

梅は、梅干しなどの伝統食としても、日本の食文化に根づいています。梅とこうじを組み合わせた梅こうじは、日本人の体質に合った、優れた健康機能食といえるでしょう。

《梅こうじは健康機能食!》
高血圧や動脈硬化を予防・改善
血糖値の上昇を抑制
脂質代謝を改善
血液を弱アルカリ性にして体質改善
唾液分泌を促し胃腸を活性化

 
骨を強化し骨粗鬆症を予防
インフルエンザウイルスを抑制
抗菌作用で食中毒予防
ピロリ菌を撃退し胃がん予防
微生物が腸内環境を改善

画像: この記事は『壮快』2019年7月号に掲載されています。

この記事は『壮快』2019年7月号に掲載されています。

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