スマホとパソコンが、標準機能では連係が限定される作りになっているのは、スマホのシステムやアプリが利用・管理するデータに変更が加えられ、動作ができなくなるのを防ぐためだと考えられる。そのため、スマホとパソコンとを連係させるためのアプリが存在するのだ。ネット経由でスマホ内のデータとパソコン内のデータを共有したり、Wi-Fiやデータ通信を使ってデータ(ファイル)をやり取りできるアプリなど、6つの便利なアプリを紹介しよう。
スマホとパソコンは連係させるのが難しい?
スマホやパソコンは、それぞれの標準機能では連係が限定される作りになっている。例えば、下の画面写真はiPhoneをWindowsパソコンにUSBケーブルで接続したときの画面だが、カメラとして認識され、写真しか表示されない。また、パソコンにAndroidスマホを接続すると、写真や音楽、動画などのデータが入っている場所しか表示されない。
これは、スマホのシステムやアプリが利用・管理するデータに変更が加えられ、動作ができなくなるのを防ぐためだと考えられる。
そのような現状もあり、スマホとパソコンとを連係させるためのアプリが多彩に存在する。
iPhoneの場合、「iTunes」というアプリで連係できる。また、「Dropbox」や「OneDrive」といったクラウドストレージサービスのアプリを使うと、ネット経由でスマホ内のデータとパソコン内のデータを共有することができるようになる。さらに、Wi-Fiやデータ通信を使ってデータ(ファイル)をやり取りできるアプリもあるので、それらを以下で紹介していこう。
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iOS……「App Store」で入手できるアプリ
Android……「Play ストア」で入手できるアプリ
Desktop……「窓の杜」「Vector」などで入手できるデスクトップアプリ
Store……「マイクロソフトストア」で入手できるストアアプリ
クラウド
データをクラウドに保存し、パソコンとスマホで共有できる
Dropbox
提供元●Dropbox
iOS/Android
Desktop/Store
データをクラウドに保存するサービスはいくつかあるが、「Dropbox」はその中でも老舗のサービスであり、無料で2Gバイトのデータの保存が可能。パソコン内またはスマホ内のファイルをクラウドストレージ(インターネット上の保管場所)で共有できるというのが基本的な機能。専用フォルダーでの同期や、スクリーンショットの自動保存もできる。スマホアプリでは、保存された文書の簡易ビューワー機能や、撮影した写真を自動で同期する機能がある。
便利な機能は多いが、無料で利用できるのが2Gバイトなので、だいぶ心もとない。また、最近、無料で利用できる機器が3台に制限されたため、利用する機器を厳選する必要がある。
パソコンのエクスプローラーでは、リンクしたフォルダーが「Dropbox」のアイコンで表示される。同期対象のフォルダーやファイルはアイコン左下にマークが付加され、同期済みになると緑のチェックが表示される。
スマホ画面にも、「Dropbox」で同期されているフォルダーやファイルが表示される。右上にある点の部分をタップすると、各種の操作が行える。
各種ファイルを共有可能。無料で使える容量が大きい
OneDrive
提供元●マイクロソフト
iOS/Android
Desktop/Store
こちらは、マイクロソフトが提供しているクラウドストレージサービスだ。このサービスで利用するアカウントはWindowsにログインするアカウントにひもづいているため、パソコンではサービスへのログインを意識する必要はない。また、異なるパソコンを利用する場合でも同じアカウントでログインしていれば、「OneDrive」に保存したデータは同じものが同期される。そのため、パソコンを変えたことを意識せずに使うことができる。接続台数の制限もなく、無料プランでの保存容量も5Gバイトと比較的多いため、写真や「ワード」「エクセル」などのファイルを保管するなら、このサービスだけでも十分だろう。
Windowsパソコンなら、「OneDrive」は標準機能。エクスプローラーでも最初から「OneDrive」のアイコンが表示される。画像、文書、電子メールの添付ファイル用のフォルダーは最初から用意されている。
スマホ画面では、「Dropbox」と同様に、共有しているフォルダーやファイルが表示される。画面下部にメニューが並べて表示されているため、直感的な操作が可能。カメラボタンをタップすれば、カメラが起動し、書類のスキャンも可能。
画像変換
iPhoneで撮影した写真をパソコンで表示させられる
CopyTrans HEIC for Windows
提供元●CopyTrans
Desktop
iPhoneのカメラで標準フォーマットとなっているHEICファイルを、Windowsパソコンで写真として表示できるようにするアプリだ。アプリをインストールすると、標準状態では認識不能だったHEICファイルが写真として認識されるほか、右クリックで表示されるメニューで、JPEGへと変換することも可能だ。
アプリとして使うのではなく、Windowsの標準機能の中に組み込まれるため、インストール後はHEICファイルかどうかを意識せずに使えるようになる。そのため、注意点があるとすれば、HEICのファイルだと認識しづらくなるため、他人に送るとき、JPEGへの変換を忘れがちになってしまうことだろう。
左右に並んでいる写真データは、iPhoneから取り込んだHEICファイル(左)と変換後のJPEGファイル(右)。このアプリを入れたためHEICのデータもサムネール画像が表示されているが、インストール前は真っ白なアイコンだった。
HEICのデータを右クリックすると、「JPEGに変換」というメニューが表示されるようになる。ここで変換操作をすれば、JPEG画像として扱えるようになる。
データ送信
スマホとパソコン間でファイルを直接転送できる
Send Anywhere
提供元●ESTmob
iOS/Android
Desktop/Store
スマホとパソコンの間で、ファイルを転送するアプリだ。機能をファイル転送に特化させているため、めんどうな設定が不要で、アップロードやダウンロードもかなり速い。送付先で長期保存する必要がないファイル(例えば、ちょっとした現状報告の動画ファイルなど)は、このアプリを利用して送れば、クラウドやスマホのストレージ容量を圧迫しないので便利だ。
転送データの容量は無制限とされているが、実際には、巨大なファイルだと送れないことがある(通信環境にもよる)。しかし、数十Gバイト程度のデータであれば、問題なく転送できることは筆者も確認済み。とはいえ、大きなデータは分割して送ったほうがいいだろう。
アプリの画面は、右半分が広告、左半分は転送ファイルをドラッグ&ドロップする領域と送信リストが表示されるだけという、とにかくシンプルな作りだ。
転送が終わると、48時間データが保存される。その間に送り先の人にQRコードなどから転送元を開いてもらい、データをダウンロードしてもらおう。48時間後には自動削除されるため、情報漏えいなどの心配も少ない。
無線接続
パソコンでスマホのリモート表示とファイル共有ができる
AirMore
提供元●AirMore
iOS/Android
スマホとパソコンをWi-Fi経由で接続できるアプリだ。パソコン側ではアプリのインストールは不要で、スマホに「AirMore」をインストールしてWi-Fiに接続するだけ。後はパソコン側のブラウザーで「AirMore」のサイトにアクセスすれば利用できる。スマホのストレージにある画像/音楽ファイルをパソコン側にコピーしたり、あるいはその逆も可能だ。
ブラウザーでこのようにスマホの画面を表示することができる。ケーブル接続が不要で手軽に使える。
遠隔操作
さまざまな形態の遠隔操作が可能な定番リモート操作アプリ
TeamViewer
提供元●TeamViewer
iOS/Android
Desktop/Store
老舗の定番リモート操作アプリ。Wi-Fi経由だけでなく、インターネット経由でも接続可能なため、外出先から自宅やオフィスのパソコンを操作できる。使い途としては、スマホやタブレットからパソコンの内蔵ストレージにあるデータを読み出したり、逆にデータを保存したりといったことが可能。つまり、クラウドに保存されていないデータを利用したいときに役立つ。
パソコン側にインストールしたアプリで遠隔操作の各種設定を行えば、スマホやタブレットからパソコンを操作することが可能になる。
解説/内川功一朗(ITライター)