「ダイエットテープ」は、高麗手指鍼の考え方に基づき、引き締めたい体の部分に相関する手の各部位にテープを貼るというものです。テープを貼っている間は筋肉が緊張し、はがすと緩みます。このオンとオフのメリハリが「筋肉を使った」のと同じ効果を生み出します。【解説】宮本勝啓(はりきゅう泰山堂院長・鍼灸師)
解説者のプロフィール
宮本勝啓(みやもと・かつひろ)
はりきゅう泰山堂院長。鍼灸師・整体師。38歳から高麗手指鍼の治療に携わり、それをベースにしたセルフケア法として指握り健康法を指導。その後、指握り健康法の持続性を追求した「薬指テープ」や、「ダイエットテープ」などのテープ療法を考案。
テープを貼ってはがすと運動したのと同じ効果!
人は誰しも、年齢とともに筋力が衰えます。筋力が衰えると、体をまっすぐ支えることができなくなり、だんだん姿勢が悪くなります。体は曲げるときに使われる屈筋側に傾くので、多くの人は年を取ると、前かがみの姿勢になっていくのです。
前かがみの姿勢になると、呼吸がしにくくなったり、内臓が圧迫されて各臓器が機能しにくくなったりします。また、体がゆがんでいると代謝が悪くなるため、太りやすくもなります。
加えて、筋力が弱って体を動かさなくなることで、肥満や体の衰えがますます加速します。すると、関節の痛みや生活習慣病など、さまざまな不調や病気が現れてくるのです。
ですから、痛みや病気を防ぐためには、筋肉を動かし、肥満を解消することがとても大切です。もちろん、肥満を解消することは、若々しく健康な見た目を保つことにもつながります。
とはいえ、食事を制限したり、運動を行ったりするダイエット法は、なかなか長続きしないもの。たとえがんばって一時的にやせられたとしても、すぐにリバウンドしてしまうケースが少なくありません。
そこで、今回は手にテープを貼るだけで、筋肉に働きかけて体を引き締めることのできるダイエット法を紹介します。その名も「ダイエットテープ」です。
まず、ダイエットテープの理論の基になっている高麗手指鍼について、説明しましょう。
高麗手指鍼とは、韓国の柳泰佑氏が考案した鍼治療の手法で、人間の全身が、手に投影されていると考えます。
大きく分けて、手のひら側が体の前面、手の甲側が背面に当たります。
そして、手のひら側で説明すると、中指の指先から第1関節までが顔、第2関節までが首、第2関節から指のつけ根までが胸、手のひらが腹に対応します。
残りの指は、右手の場合、親指が左足、人差し指が左腕、薬指が右腕、小指が右足です。左手の場合、親指が右足、人差し指が右腕、薬指が左腕、小指が左足です。
高麗手指鍼では、この相関関係に基づき、手に鍼を打って、対応する体の部位を関節的に刺激し、治療を行います。私は30年以上、この療法を専門として、多くの人の治療に当たってきました。
手と体は驚くほど相関していて、手に鍼を打つと、対応する体の部位にすぐさま反応が現れます。そして、私は鍼の効果を持続させるため、患者さん自身で手にテープを貼ってもらうセルフケアをお勧めしているのですが、それでも十分に効果が得られています。
そこで、テープを使ったセルフケアを応用し考案したのが、ダイエットテープです。
例えば、手の指の1ヵ所に少しきつめにテープを巻けば、その部分に対応する体の部分を引き締めることができます。やや上に引き上げるようにテープを貼れば、対応する体の部分をリフトアップさせることもできるのです。
テープを貼るのは、1ヵ所につき、1日1時間です。テープを貼っている間は、筋肉が緊張した状態になります。そして、1時間経ってテープをはがすと、筋肉の緊張が緩みます。
このオンとオフのメリハリが、「筋肉を使った」すなわち「運動をした」のと同じ効果を生み出します。これによって代謝がアップし、毎日続けることで、ダイエット効果が得られるのです。
筋肉を使って筋力がついてくると、体を支えることができるようになるので、前かがみの姿勢も改善します。その結果、代謝はますますよくなります。呼吸もしやすくなり、圧迫されていた内臓が解放されて、各臓器の働きもよくなるでしょう。
やせてキレイになるとともに、健康にもなれるというわけです。
二重あごが消えた!お尻のたるみが取れた!
「ダイエットテープ」は、とても簡単ですが、その効果には私も驚いています。1ヵ月でウエストが10cm前後やせた人は少なくありません。二重あごが消えた人、ほおや二の腕、お尻のたるみが取れた人、バストアップした人も複数いらっしゃいます。また、ほとんどの人が、姿勢がよくなり、ネコ背が改善しています。
高麗手指鍼では、上記のように、全身が手の各部と相関します。つまり、おなかを引き締めたいなら手のひら、お尻をアップしたいなら手の甲(小指の第3関節から手首の手前)にテープを貼ります。
同様に顔・首・胸・背中は中指に、二の腕は薬指に、ふくらはぎ・太ももなら小指です(詳しくは下記貼り方参照)。
片手で全身を網羅できますが、両手にテープを貼ったほうが、左右のバランスを取りやすくなります。
ですから、左右とも親指と人差し指は使わず、右手・右足への刺激は右手の薬指と小指、左手・左足への刺激は左手の薬指と小指を使用します。
顔・首・胸・背中への刺激は、両手の中指で行ってください。
締まった状態を脳が記憶しダイエット効果を維持
用意するテープ
ダイエットテープには、伸縮性のあるテープ(キネシオテープなど)を使用します。薬局やスポーツ用品店、インターネットなどで購入できます。おなか(上腹部・下腹部)やせには、50mm幅のテープを使いますが、それ以外の部位は25mm幅で対応できます。
貼り方のポイント
テープは、効かせたい部分に圧をかけるように、引っ張りながら貼ります。このとき、皮膚がピンと張った状態でテープを貼ると、より深層部まで刺激することができます。
手のひら側にテープを貼るときはしっかりと手を広げ、手の甲側にテープを貼るときは軽く手を握って、皮膚を伸ばした状態で貼るとよいでしょう。
テープを貼る時間
テープを貼る時間は、1ヵ所につき、1日1時間です。長く貼り続けると筋肉が緊張し、こわばってしまうので注意してください。
間違っても、テープを貼ったまま寝たりしてはいけません。筋肉を緊張させたあと、緩ませることが、代謝アップには重要です。
1日1時間を、毎日、最低でも3週間、できれば1ヵ月は続けてください。続けることで、引き締まった状態を脳が記憶し、ダイエット効果が維持できるようになります。
もちろんテープをやめて、食べ過ぎたり、体を動かさなかったりしていれば、また太るかもしれません。それでもリバウンドはしにくいはずです。体が軽くなれば、自然と活動量も増えるでしょう。
今まで痛みなどがあって体を動かしにくかった人も、やせて負担が減れば、痛みが解消して動かしやすくなります。
ひざなどに痛みのある人が、運動療法ができるようになるための第一歩としても、このダイエットテープはお勧めです。
テープを貼る際の注意
テープを貼る際は、汗や水分をよくふき取ってから貼ると、はがれにくくなります。
肌の弱い人は、かぶれに注意してください。テープをはがすときは、一度ぬらしてから、端からゆっくりはがすと、皮膚を傷めにくいでしょう。
また、複数箇所を引き締めたい場合でも、同時に貼るのは2ヵ所までにしてください。貼る場所が重複するので、おなかやせとお尻やせを同時に行うことはできません。3ヵ所以上引き締めたいときは、時間をずらして行うとよいでしょう。
一度にいろいろなところの筋肉を緊張させると、体への負担が大きくなって、疲れてしまいます。
では、次項からの図解を参考に、やせたい部位に対応するテープを貼ってみましょう。
「ダイエットテープ」部位別の貼り方
- 上腹部やせ
- 下腹部やせ
- ヒップアップ
- バストアップ
- 顔のリフトアップ
- 首のたるみ・二重あご改善
- 背中やせ
- 二の腕やせ
- 太ももやせ
- ふくらはぎやせ
※右手で説明しますが、左手も同様に貼ります。
❶ 上腹部やせ
【用意するテープ】
50mm幅のテープを、手のひらの真ん中から手の甲の真ん中までの長さ(右の写真参考)に切る。それを2本用意する。
【貼り方】
❶手のひら側にくるテープのはく離紙をはがし、小指側の側面で、小指のつけ根から手首のシワまでの天地中央に、テープの左右中央部分を貼って、しっかり固定する。
❷テープを手のひらの親指側に引っ張り、きつく貼る。
※このとき手のひらはできるだけピンと開いた状態で、テープを貼っていく。
❸残りのはく離紙をはがし、手の甲側にテープを引っ張りながら貼る。
❹反対の手も同様に貼る。
❷ 下腹部やせ
【用意するテープ】
50mm幅のテープを、手のひらの真ん中から手の甲の真ん中までの長さ(右の写真参考)に切る。それを2本用意する。
【貼り方】
❶手のひら側にくるテープのはく離紙をはがし、小指側の側面で、手首のシワにテープの下端がくるように、テープの左右中央部分を貼って、しっかり固定する。
❷テープを手のひらの親指の先に向かって、少しずつ引っ張っては貼り、引っ張っては貼りしながら、斜めにきつく貼る。
※このとき手のひらはできるだけピンと開いた状態で、テープを貼っていく。
❸残りのはく離紙をはがし、手の甲側は軽く押さえる程度に貼る。
❹反対の手も同様に貼る。
❸ ヒップアップ
【用意するテープ】
25mm幅のテープを、4cmの長さに切る。それを2本用意する。
【貼り方】
❶はく離紙を縦1cm分ぐらいはがし、手の甲側・小指の第3関節(握りこぶしをつくったときに浮き出る骨)にテープの先端を貼り、しっかり固定する。
❷残りのはく離紙をはがし、テープを手首に向かって引っ張りながら、小指の骨に沿ってきつく貼る。
※このとき握りこぶしをつくり、手の甲がピンと張った状態で行う。
❸反対の手も同様に貼る。
❹ バストアップ
【用意するテープ】
25mm幅のテープを4cmの長さに切る。それを2本用意する。
【貼り方】
❶はく離紙を縦1cm分ぐらいはがし、指の腹側にテープがくるように、中指のつけ根・薬指側の側面に、テープを斜めに貼り、しっかり固定する。
❷残りのはく離紙をはがし、テープを中指の第2関節(人差し指側)に向かって引っ張りながら、引き上げるように貼る。
❸第2関節を越えたらテープは引っ張らず、指に自然に沿わせて貼る。
❹反対の手も同様に貼る。
❺ 顔のリフトアップ
【用意するテープ】
25mm幅のテープを3cmの長さに切る。さらに、幅が半分になるようにハサミを入れて、2本にする。
【貼り方】
❶はく離紙を縦1cm分ぐらいはがし、手のひら側・中指の第1関節の中央に、テープの先端を人差し指側に向けて斜めに貼り、しっかり固定する。
❷残りのはく離紙をはがし、テープを指先に向かって引っ張りながら、中指の側面(薬指側)に貼る。
※中指の第1関節の中央があごの先、そこから指先に向かう中指の側面が顔の輪郭だとイメージして引き上げる。
❸指先まできたら、中指の爪にテープを軽く押さえてとめる。
❹反対の手も同様に貼る。
❻ 首のたるみ・二重あご改善
【用意するテープ】
25mm幅のテープを3cmの長さに切る。さらに、幅が半分になるようにハサミを入れて、2本にする。
【貼り方】
❶はく離紙を縦1cm分ぐらいはがし、手のひら側・中指の第1関節の下に、テープの先端を人差し指側に向けて斜めに貼り、しっかり固定する。
❷残りのはく離紙をはがし、テープを指先の方向に向かって引っ張りながら、中指の側面(薬指側)に貼る。
❸テープの上端は、自然に指に沿わせて貼る。
❹反対の手も同様に貼る。
❼ 背中やせ
【用意するテープ】
25mm幅のテープを4cmの長さに切る。それを2本用意する。
❶はく離紙を縦半分まではがし、手の甲側・中指の第2関節からつけ根までの間に、テープが左右対称になるように横に貼り、しっかり固定する。
❷テープを引っ張りながら、中指の側面(薬指側)に巻きつけるように貼る。手のひら側はテープを引っ張らず、自然に指に沿わせて貼る。
※テープを引っ張るときは、まず下半分を引っ張って貼り、次に上半分を引っ張って貼ると、均一に圧をかけて貼ることができる。
❸残りのはく離紙をはがし、(2)と同じ要領で人差し指側の中指の側面にも貼る。
❹反対の手も同様に貼る。
❽ 二の腕やせ
【用意するテープ】
25mm幅のテープを4cmの長さに切る。それを2本用意する。
❶はく離紙を縦半分まではがし、手の甲側・薬指の第2関節からつけ根までの間に、テープが左右対称になるように横に貼り、しっかり固定する。
❷テープを引っ張りながら、薬指の側面(小指側)に巻きつけるように貼る。手のひら側はテープを引っ張らず、自然に指に沿わせて貼る。
※テープを引っ張るときは、まず下半分を引っ張って貼り、次に上半分を引っ張って貼ると、均一に圧をかけて貼ることができる。
❸残りのはく離紙をはがし、(2)と同じ要領で中指側の薬指の側面にも貼る。
❹反対の手も同様に貼る。
❾ 太ももやせ
【用意するテープ】
25mm幅のテープを4cmの長さに切る。それを2本用意する。
※テープの幅は、小指の第2関節からつけ根までの長さにする。25mm以下の人は、テープの幅をその長さに調整する。
❶はく離紙を縦半分まではがし、手の甲側・小指の第2関節とつけ根の間に、テープが左右対称になるように横に貼り、固定する。
❷テープを引っ張りながら、小指の側面(外側)に巻きつけるように貼る。手のひら側はテープを引っ張らず、自然に指に沿わせて貼る。
❸残りのはく離紙をはがし、(2)と同じ要領で薬指側の小指の側面にも貼る。
❹反対の手も同様に貼る。
❿ ふくらはぎやせ
【用意するテープ】
25mm幅のテープを4cmの長さに切る。それを2本用意する。
※テープの幅は、小指の第1関節から第2関節までの長さにする。25mm以下の人は、テープの幅をその長さに調整する。
❶はく離紙を縦半分まではがし、手の甲側・小指の第1関節と第2関節の間に、テープが左右対称になるように横に貼り、固定する。
❷テープを引っ張りながら、小指の側面(外側)に巻きつけるように貼る。手のひら側はテープを引っ張らず、自然に指に沿わせて貼る。
❸残りのはく離紙をはがし、(2)と同じ要領で薬指側の小指の側面にも貼る。
❹反対の手も同様に貼る。