月曜断食は、食べる楽しみを失うことなく、最小限のストレスで体を変えることができます。食事のポイントは胃を空にしてから眠ること。「これで合っているのかな?」と迷ったときは、自己流に解釈せず、基本のルールを守ることが成功の秘訣です。【解説】関口賢(関口鍼灸治療院総院長)
解説者のプロフィール
関口賢(せきぐち・まさる)
関口鍼灸治療院総院長。1985年、千葉県生まれ。サッカーの名門・市立船橋高校でサッカー漬けの日々を送り、2007年、東京メディカル・スポーツ専門学校鍼灸師科卒業。中国式鍼治療専門店ハリー(HURRI)の王尉青先生に憧れ、弟子入り。2010年、関口鍼灸治療院HEAL the WORLDを銀座に開業。歌手・モデル・タレントなどのボディマネジメント・ダイエットアドバイザーや、プロサッカー選手、プロゴルファーのトレーナーとしても活躍。著書に『月曜断食』(文藝春秋)がある。
基本のルールを守れば必ずやせられる
別記事:「月曜断食」とは→
月曜断食を週1回、1カ月間続ければ、治療院での3日間断食+4週間の回復メニューの実践と同等の効果があります。
「月曜断食」7つの基本ルール
❶月曜日は、朝・昼・夜を抜いて、24時間何も食べない(水は飲む)
❷ 特に火曜日の朝は、ヨーグルト+果物、またはスムージーを取っている(それ以外のものを食べていない)
❸食事は、咀嚼したときにこぶし1〜2つ分になる量を守っている
❹食べ過ぎた日の翌日は、夜断食を実践している
❺夜のお酒は缶チューハイなら1缶、ワインなら1〜2杯、ウォッカ、ジンはできるだけ生のフルーツを絞り、飲むのは1杯程度にとどめている
❻一日に1.5〜2Lのお水を飲んでいる
❼夜は12時までに眠っている
月曜断食は、食べる楽しみを失うことなく、最小限のストレスで体を変えることができます。ただし、1週目はキツさを感じるかたもいます。それは、心も体も慣れていないときに起こる当然の感覚です。
2週目、3週目からは空腹の心地よさを感じることができます。自己流の解釈をせず、基本のルールを守って月曜断食を行ってください。
❶月曜日の乗り切り方
不食日は水だけを飲んで過ごし、水分摂取の目安は1.5〜2Lです。
ふらつきや激しい頭痛があるとき、どうしても空腹に耐えられそうにないときは、スポーツドリンクを噛むようにして2口ほど飲みましょう。
また、前日の食べ過ぎが不食日の食欲を刺激するため、日曜の夜の食事を軽めにするのもお勧めです。
不食日を楽に過ごすためには、きちんと眠ることもたいせつ。睡眠をしっかりとれば、自律神経が安定しますが、寝不足だとイライラしがち。
日曜の夜は軽いものを早めに食べ終えて、早く寝ると、月曜の空腹感やイライラを手放せます。
❷ふだんの朝食のコツ
朝は空腹の状態で目覚め、寝ている間によく働いてくれた胃腸が喜ぶ栄養素を送り込みます。それが、旬の果物とヨーグルトで、ビタミン類と酵素、乳酸菌を取ることができます。
果物は、2分の1個が目安。甘みが強いものより柑橘系がベター。ヨーグルトは、無糖で、小分けのパックを1個か、コーヒーカップ1杯程度の量を取ってください。
どうしても食べ足りず、朝食メニューを増やしたいと思ったときは、納豆やキムチ、漬物などの発酵食品、温かい野菜スープやみそ汁がお勧めです。
❸食べる量の目安
胃の大きさはこぶし1〜2個分ですが、筋肉でできているので食べた分だけ大きくなります。
これまでに肥大した胃を元に戻し、適性な食事量で満足できる体に戻していくため、1回の食事量は、咀嚼したときにこぶし2つ分までです。これは火曜〜日曜までの統一ルールです。
ハンバーグセットをご飯まで残さずに食べたらこぶし3〜4個分、ラーメン1杯でスープを残してこぶし3個分のイメージです。
厳密さを求めるよりも、「咀嚼したときにこぶし1〜2つ分でおさまる量」を意識することが大事です。
❹食べ過ぎたときの調整法
食事会などで食べ過ぎてしまったときは、翌日の朝と昼はこれまでどおりのメニューを続け、夕食を抜いて、「夜断食」を行いましょう。
食べ過ぎたら、早い段階でそれを”なかった”ことにすればOK。ダイエットは100%を目指すと苦しくなってしまいます。完璧主義にならず、失敗は取り返せると考えて、安心して、月曜断食を続けてください。
❺お酒の選び方
月曜断食では、月曜日以外のアルコールの摂取はOKです。帰宅後の一杯を楽しみに仕事をがんばっている人にとって、お酒まで断つのは相当ストレスで、ダイエットが続かなくなってしまうからです。
ただし、飲むお酒の種類には注意してください。
米が原料の日本酒、麦が原料のビールは”飲む炭水化物”なので、できればワインか、焼酎、ウォッカ、ジンなどの蒸留酒を選びましょう。
量は、ワインならば、グラス1〜2杯程度に。甘口のワインには糖質が多く含まれるので、辛口を選んでください。缶酎ハイならば、1缶。
ウォッカやジン、焼酎を何かで割るときは、ジュースよりもレモンやグレープフルーツを絞って、ひと手間を惜しまないことです。
また、お酒を飲んだ翌日こそ、水をしっかり飲んで、体の代謝を上げるようにしてください。
❻水の選び方・飲み方
月曜の不食日は、一日1.5〜2Lのお水を飲みます。
コーヒー、紅茶、緑茶などのカフェインを含む飲み物は、胃酸が生じやすくなって、かえって空腹感を覚えやすくなるので、水だけを飲んでください。
炭酸水は胃にガスがたまって、断食で小さくなろうとしている胃のじゃまをするのでNGです。水の種類は、硬水よりも軟水を、常温か白湯で飲むのがお勧めです。
❼成長ホルモンを活性化する
人は寝ている間に体の修復・回復を行うので、睡眠中にやせます。どんないい食生活をしていても、しっかり眠れていないとやせません。
理想は、成長ホルモンが活性化し、胃腸の働きも活発になる夜10時に眠ることですが、なかなか難しい人は、遅くとも12時(深夜0時)までには眠るようにしましょう。
体の修復・回復の機能を活性化させるのは、空腹で眠ることもたいせつなので、夕食は寝る2時間前までに済ませてください。
昼は炭水化物を抜いておかずのみを食べる
火曜〜金曜日の「良食」日は、一日の中で空腹の時間を長く取れるように考え、体にとって必要な栄養素を厳選し、食と体の快適で良好な関係を見直します。
食べ物が胃に滞留している時間は、野菜(イモ類は除く)は1〜2時間、肉・魚・卵などのたんぱく質は4〜6時間、白米・麺類・パン・イモ類などの炭水化物は6〜8時間です。
月曜断食では、胃の中を空っぽにして眠りにつくことが目標なので、逆算すると食べていい時間が見えてくるでしょう。
最初4週間のベーシックメニューでは、昼は胃に長く滞在する炭水化物(主食)を抜いて、おかずのみを食べます。揚げ物は、衣に小麦粉(炭水化物)が使われているので、食べ過ぎに注意してください。
外食のかたは、ご飯なしでも注文できるお店をリストアップしておくといいでしょう。お弁当やコンビニを利用するかたは、「鶏の照り焼きとホウレンソウのゴマ和え」といった主菜・副菜のバランスがよく取れるものを選んでください。
ご参考までに、昼にお勧めのメニュー例を挙げておきましょう。
・白菜と豚肉の重ね蒸し
・白身魚のホイル蒸し
・野菜チキンロール
・ささみのサラダ
・牛すじ煮込み
・マグロのカルパッチョ
また、季節に沿った食べ方を意識することも大事です。
脂肪を使い切りたい夏は、夏野菜をたっぷりとります。食欲の秋は、必要以上に食べないように意識することです。
冬は、寒さを乗り切るために体は脂肪をためこもうとして体重が増えやすいので、ショウガやネギなど体を温める食材を選ぶようにします。春は、発酵食品など腸が喜ぶ食事で免疫力をアップします。
メニューの参考にしてください。
夜は胃に負担をかけない野菜料理のみ
最初4週間の良食日の夕食は、消化が早く、胃に負担をかけない野菜料理を食べます。魚や肉などのたんぱく質は取りません。
野菜スープ、サラダ、おひたし、蒸し野菜、ラタトゥイユなど、野菜だけでもレパートリーはたくさんあります。できるだけオイルは使わない工夫をし、炒め物、素揚げ、天ぷらは避けましょう。
大根以外の根菜(ニンジン、レンコンなど)、イモ類(ジャガイモ、サトイモ、サツマイモなど)は糖度が高いので避けてください。
スープのだしは、添加物や化学調味料を使っていない、質のいいものを選ぶようにしましょう。
野菜スープは、インスタントのものも販売されていますが、自分で野菜を買ってきて調理するほうが栄養価は優れています。ひと手間かけたもののほうが、体が必要とする栄養素をとれて、体にいい循環が起こり、やせやすくなるのです。
しかし、どうしても食事作りがめんどうという人は、コンビニではなくスーパーへ行きましょう。最近は、カット済みの野菜や、洗うだけで使えるモヤシも売られているので、切ったり、調理したりする手間が省けます。
調理済みの総菜は、添加物が多く含まれていたり、味付けが濃かったりするので、作る”ひと手間”を惜しまず、質のよい食事になるように心がけましょう。
夜にお勧めのメニュー例を挙げると、次のようになります。
・ブロッコリーの豆乳スープ
・ナスとトマトのラタトゥイユ
・蒸し野菜
・小松菜とキノコの煮びたし
・トマトとズッキーニのオーブン焼
「胃を空にして眠りに就く」ことが目標!
●そのために「食べ物の胃の滞留時間」を考える
・野菜(イモ類は除く)…1〜2時間
・肉・魚・卵などのたんぱく質…4〜6時間
・白米・麺類・パン・イモ類など炭水化物…6〜8時間
●そのための「昼はおかずのみ」「夜は野菜のみ」
・最初の4週間は、炭水化物(主食)を食べない。
・昼を外食で済ます人は、主食なしで注文できるお店を選ぶ。
・なるべく調理する“ひと手間”を惜しまない。