ドラム式洗濯機の売り場で最近よく目にするのが「お湯洗い」の表示。売る側は、積極的にドラム式洗濯機のメリットとしてこの「お湯洗い」を打ち出しています。日本標準といわれる縦型洗濯機では見ない光景です。欧米の標準が「ドラム式」、日本は「縦型」と違いが生まれたのは、洗濯物を「お湯」で洗うか「水」で洗うかに原因がありました。

欧米で「ドラム式」洗濯機が一般的なのはなぜ?

ドラム式は、1960年頃、欧米で生まれた方式です。それまでは、日本も、海外も、かくはん方式という、かくはん棒が、洗濯槽の中に設けられた洗濯機を使っていました。

日本の場合、そのかくはん棒がなくても、同様の洗い方ができるタテ型を、三洋電機が開発、今に至ります。水流をコントロール、洗濯物を洗濯槽に擦りつけるように水でコントロールします。一方、欧米では、その洗濯槽(ドラム)を横倒しにし、上から下へ、叩きつけるような洗い方をします。

このドラム式が、欧米の標準たり得たのは、「使用する『水』が少ないから」と言われています。今、『水』と書きましたが、正確には『お湯』。欧米は、水ではなくお湯で洗うのが当たり前なのです。

画像: 欧米ではお湯で洗うのが一般的。

欧米ではお湯で洗うのが一般的。

「お湯」で洗うメリット

日常的な汚れは3種類

洗濯という行為は、衣類に付いた汚れを、水に移動させることです。このため水は汚れますが、衣類はキレイになるというわけです。この汚れですが、大きくは4種類あります。汗など水に溶ける「水溶性の汚れ」。皮脂など「油性の汚れ」。そして土の粒子が繊維の間に入る「泥汚れ」。そして血液など「特殊な汚れ」です。ただ、日常的な汚れとしては、「水溶性の汚れ」「油性の汚れ」「泥汚れ」を考えてもらえば良いでしょう。

問題なのは、この内の「油性の汚れ」です。ほおっておくと黄ばみの原因にもなります。衣類ケアの大きなポイントは、この「油性の汚れ」をどうやって衣類から剥がし、水に溶け込ませるのかです。

話は変わりますが、お皿を洗うとき、油がべっとりついた皿をどうやって洗っていますか?一番手っ取り早いのは、お湯をぶっかけることです。熱湯でなくてもいいです。お風呂の温度である40℃前後で十分。油はトロトロと排水溝に流れていきます。

お湯で落ちる理由は簡単です。これらは、牛、ブタ、鶏の体内にあった時は、液状だったわけですから。要するに、動物由来の油は、その動物の体温で液化するわけです。これは人も同じです。40℃で、汚れがおちるのは、人間の体温が36℃だからです。

「ドラム式は汚れが落ちにくい」は間違い!

「泥汚れ」に弱いが「油汚れ」には強い

欧米の主力であるドラム式洗濯機を、よく物知り顔で、「汚れがおちにくい」と言う人がいます。しかし、考えてみてください。洋服の本場の彼らが、汚れがおちないものを使うでしょうか?あり得ませんね。それは、彼らがお湯で洗うことを前提としているからです。

では、日本でそんな勘違いされたのは何故か?

原因は「標準コース」にあります。標準コースは、“日本で「使いやすい」コース”です。ボタン一つで、洗濯物(木綿、混紡など)の量に合わせて、「水道水」を入れてくれます。後、洗剤の量を計り、自動で「洗濯」「すすぎ」「脱水」してくれます。

時間も比較的短いですし、何より安上がりなコースです。しかし、洗濯に求められる「油性の汚れ」をおとすことから見るとどうでしょうか?不利ですね。水道水の年平均温度は、東京の場合、16℃前後。要するに冷たいのです。

油は固化の状態ですし、洗剤の界面活性剤をサポートする「酵素」なども働きが悪いです。酵素は元々生き物の体内にあるものですから、活性化させるには、その生物の体温が必要なわけです。

水道水で汚れをおとそうとすると、水量を多くして、衣類から汚れをこそぐように洗います。これが縦型の特徴なのです。このため、水量を使います。つまり、縦型は「水溶性汚れ」「泥汚れ」にはイイのですが、「油性汚れ」にはイマイチなのです。

逆に、お湯洗いを前提とするドラム式は、使用するお湯の量は少なめ、しかしお湯なので、「油性汚れ」に強い。逆に「泥汚れ」には弱いです。

画像: ドラム式は「油汚れ」に強く、「泥汚れ」に弱い。

ドラム式は「油汚れ」に強く、「泥汚れ」に弱い。

欧米と日本の洗濯機普及の差は、社会的背景を考えると納得できるような気がします。当時の日本は、未舗装の道が多く「泥汚れ」は避けて通れません。逆に、欧米は、舗装済。どんどんモータリゼーションを発達させていきます。「油性汚れ」に集中できるわけです。

日本で、ドラム式が汚れをおとす力が弱いとされたのは、日本の「標準コース」で比べられたからです。つまり、お湯でなく「水で洗った時の比較」をしたわけです。
アウェイのスポーツ選手と同じで、力を出しきれなかったということですね。

「水洗い」にもまだまだ可能性がある!

ちなみに今、東芝が盛んに売り出している「ウルトラファインバブル」。こちらは、水道水の中に強制的にバブルを発生させて作り上げた水を使いますが、通常の水道水より、15%洗浄力が上がっています。水を使う場合でも、まだいろいろなやり方があるということです。

画像: 東芝 洗濯機「ウルトラファインバブル洗浄W(ダブル) ZABOON(ザブーン)」商品紹介 1/6 youtu.be

東芝 洗濯機「ウルトラファインバブル洗浄W(ダブル) ZABOON(ザブーン)」商品紹介 1/6

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画像1: 【ドラム式洗濯機のデメリット】縦型より汚れが落ちにくい説は誤解だった!?
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まとめ

「部屋干し」前提なら、お湯洗いができるドラム式がおすすめ!

今、ドラム式が、再度脚光を浴び始めているのは、洗濯環境が変わったと言うよりは、乾燥環境が変わったからだと言う方が正しいかもしれません。
外干しより、「部屋干し」が当たり前になりつつあるからです。
その部屋干しの大敵はニオイ。ニオイの原因は、洗濯物が乾ききる前にモラクセラ菌が繁殖するからです。え?「だから乾燥機を使えばいいってことだろう」って?そんな野暮なことは言いません。

60℃のお湯洗いを使えば良いのです。

いわゆる消毒と同じで、モラクセラ菌は死にます。日本の「標準コース」では感じられない無臭の洗濯物ができあがります。手に取った瞬間に、洗濯物の様子が違うのが分かる位、ハッキリとした差があります。こうすると菌がいないのですから、臭いません。

ちなみに、世界的な高級洗濯機のミーレ社の洗濯機の場合、コットン(木綿)は、30〜90℃までの温度設定ができます。(標準は60℃)

画像2: 【ドラム式洗濯機のデメリット】縦型より汚れが落ちにくい説は誤解だった!?
ミーレ
洗濯乾燥機
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電気代がかかるのでは…と思う人もいますが、多くの場合、ドラム式はタテ型の1/2以下の水量で洗えます。となると、水代が浮く分、電気代にお金を掛けられるわけです。

後は、自宅の洗濯パン(設置)と財布の中身とご相談。消費前の値上げ前に大型家電。ドラム式洗濯機等はいかがでしょうか?

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーを繋ぐ商品企画コンサルティング「ポップアップ・プランニング・オフィス」代表。米・食味鑑定士の資格を所有。大手メーカーでオーディオ・ビデオ関連の開発に携わる。趣味は東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。

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