【足指のばし(ゆびのば体操)のやり方】体の痛みは足指の変形が関係する!今井一彰医師がポイントを解説

美容・ヘルスケア

慢性痛の場合、その多くは痛む部位ではなく、足指の変形に原因があります。足指の変形は、外反母趾、内反小趾、浮き指、かがみ指、寝指です。足指のばしをすると、体が本来の力を発揮できるようになり、踏ん張る力や背筋力、握力、ジャンプ力、柔軟性がアップします。【解説】今井一彰(みらいクリニック院長)

解説者のプロフィール

今井一彰(いまい・かずあき)
みらいクリニック院長。内科医。日本東洋医学会漢方専門医。日本病巣疾患研究会副理事長。全身の痛みや不調は足指が原因であることを発見し、足元からの健康づくり「足育」を提唱。「薬に頼らず、一生歩ける足づくり」をモットーに、足を専門に診る「痛みと姿勢の外来」を設ける。全国各地で「ゆびのば体操」を広げる講演や「フットコーディネーションセミナー」を実施。その取り組みはテレビや新聞でも多数取り上げられている。著書の『足腰が20歳若返る 足指のばし』(かんき出版)はベストセラーとなっている。
https://mirai-iryou.com/yubinoba/

しっかり伸びた足指は全身を支える土台

当院の「痛みと姿勢の外来」には、足腰に痛みを抱えるかたが、県の内外から訪ねて来られます。何年も痛みが続いている患者さんが多く、「薬や注射で治療してもよくなりません」と嘆いておられます。

そんな痛みに悩む皆さんに指導しているのが、私が考案した足指を伸ばして広げる「足指のばし(ゆびのば体操)」です。

ひざや腰、股関節、肩などの体の痛みには、足指の変形が密接にかかわっているのです。

足指は全身を支える土台です。足指がしっかり伸び、開いていることで地面との接地面積が広くなり、安定した姿勢を保つことができます。しかし、足指が硬く縮んだり、変形したりすると、姿勢がゆがみ、さまざまな痛みや不調が生じます。

足指の変形には、かがみ指、浮き指、内反小趾などさまざまな種類があります。指同士の間にすき間がなく、くっついているのも、足指がゆがんだ状態です。足指を伸ばし、指の間のスペースを回復することが重要です。

内科医の私がなぜ足指を診るのか

私は整形外科医ではなく、内科医です。その私が足指を診るようになったのは、19歳のときバレーボールで足首を捻挫し、両ひざを痛めた経験があるからです。手術をしましたが、ひざの痛みは解消しませんでした。

19歳の若さで、なぜひざを痛めたのか?当時は原因を追及しませんでした。しかし、医師になって患者さんを診るようになってから、足に合わない靴や靴下で足を締めつけたことで、足指が変形し、ひざの故障を招いたことを発見しました。

“身に着けていた靴や靴下が、体を壊している!”

そう気づいてから、患者さんに靴や靴下の選び方をアドバイスするとともに、自分で足指をケアする足指のばしを指導するようになりました。

慢性痛の多くは足指が原因

ひざや腰に痛みがあると、痛む部位に原因があると思いがちです。骨折などケガであれば、痛む部位に原因が見つかります。しかし、慢性痛の場合、その多くは痛む部位ではなく、足指の変形に原因があります。

実際、足腰の痛みを訴える患者さんの足指を診ると、例外なく足の指になんらかの変形が認められ、変形を改善することで皆さん、痛みから解放されていきます。

痛みを改善する第一歩は、自分の足を観察することから始まります。足指の変形は、外反母趾、内反小趾、浮き指、かがみ指、寝指です。下のイラストを見ながら、ご自分の足指をチェックしてみてください。

《主な足指の変形》

【外反母趾】
親指が小指側に曲がった状態

【内反小趾】
小指が親指側に曲がった状態

【かがみ指】
指が曲がってかがんだ状態
【寝指】
指が横を向いて寝たような状態

【浮き指】
指が地面に着かず、浮いている状態

理想的な足指は、指がまっすぐ伸び、小指も親指も開いている状態です。体を支える土台として、足が本来持つ力を十分に使うことができます。土台がしっかりしていれば、その上の姿勢は安定し、全身の筋肉がバランスよく働きます。

一方、足指に変形があると、土台がぐらついてまっすぐに立てず、体のバランスがくずれている状態です。足指の変形を改善しないと、歩行障害や体に痛みを生じるおそれがあります。

小指の変形には要注意!

足指の中で、特に注意したいのが小指の変形の内反小趾です。外反母趾をはじめとする足指の変形は、小指が引き金になっているからです。小指の変形は痛みが出にくいのですが、その悪影響は全身に及びます。

当院でも、来院される患者さんの9割に内反小趾が見られます。私が足を悪くしたのも、内反小趾が原因でした。

足の小指は、体が左右に揺れるのを防ぐストッパーの役割です。小指が変形すると、足がしっかり地面に着きません。その結果、立ったとき足元がぐらぐらして、足を踏ん張ることができず、スムーズに歩けなくなったり、ころびやすくなったりします。

小指のストッパーが効かないと、ひざが外側に傾き、ひざとひざの間が開いてO脚になっていきます。すると股関節も外側に開き、骨盤がゆがみます。

こうして骨格のバランスがくずれることで、ひざ痛や腰痛、股関節痛が生じます。下半身のバランスの乱れは上半身にも及び、肩こりや頭痛、顎関節症などさまざまな不調が起こりやすくなります。

もちろんほかの指の変形も、見逃せません。浮き指、かがみ指になると、立ったときにかかとに重心がかかります。かかと重心はひざや腰、足裏などの痛み、O脚、ネコ背などを引き起こし転倒の危険性を高めます。

足指を観察して一つでも変形があれば、足指のばしでセルフケアを行いましょう。足を締めつける靴下や靴を脱いだ後、足指をメンテナンスすることで、さまざまな不調を予防・改善することができます。

足指が伸びると本来の力を発揮できる

《理想的な足指》指がまっすぐに伸びて、指の間が開いている

写真モデルを担当する朱香さんの足指

「痛みと姿勢の外来」を担当する石田力さんの足指

足指のばしをすると、瞬時に体は激変します。足元が安定するので、体が本来の力を発揮できるようになり、踏ん張る力や背筋力、握力、ジャンプ力、柔軟性がアップします。

例えば、平均年齢64歳の女性を対象に、足指のばしの前後で運動機能の変化を調べました。すると、イスから立ち上がる回数は、平均17→21回に、もも上げの回数は、平均117→152回へと大幅に増えました。その場で、運動機能の向上が認められたのです。

足指のばし(ゆびのば体操)は全身の不調に効く

いちばんのポイントは優しくゆっくり

足指のばし(ゆびのば体操)の詳しいやり方は、下項をご覧ください。ここでは、ポイントを説明しましょう。

●足指はふんわり握る
足指を握るときは、手の指の力を抜いて、ふんわり優しく握ります。イメージとしては、「卵
を握るように優しく」です。

●優しくゆっくり伸ばす
伸ばすときは、優しくゆっくり行ってください。「これで効くのかな?」と疑うくらいのソフトな力加減で曲げて、ゆっくり伸ばしましょう。縮んだ筋肉が自然にほぐれ、指が伸びていきます。

伸ばすとき、「1・2・3・4・5」と数えるとゆっくり行うことができます。

ふだん足の指を使っていない人は、指の筋肉が硬くなり、関節も固まっています。無理に指を伸ばそうとすると、筋肉や関節に負担がかかって痛みが出ます。

痛みを感じると、体は筋肉を縮めて身を守ろうとします(伸張反射)。筋肉が余計硬くなってしまい、逆効果になります。

●小指を入念に
内反小趾が気になる人は、足の小指を、手の薬指と小指ではさんでやると、小指をしっかり伸ばすことができます。

●足が組めない人は床を使って
股関節やひざの痛みなどで、足を組めないかたは、イスに座った状態で、足指を床に押し付けて、足指を曲げたりそらしたりできます。

足指のばしをすると、一瞬で体は安定して全身がよみがえります。ただ、これは持続せず、元に戻るのも早いのです。ですから、足指のばしは歯磨きをするのと同じように、毎日続けてください。元気で長生きするための秘訣は「足指」です。

足指のばし(ゆびのば体操)のやり方

姿勢:イスか床に座り、片方の足を、もう片方の足の太ももの上に乗せて行う。

【足指の正しい握り方】
足指が手の指から出ないくらいに組み、足指の根元には隙間をあけて優しく握る。

手の指を足指の間に入れる
足指の間に、反対側の手の指を入れ、ふんわりと優しく握る。

足指を甲側に曲げて、5秒間キープ
足の甲側に30度ほど優しく曲げて、足の裏側を伸ばすように、5秒間保つ。手首の動きではななく、ひじごと動かすのがコツ。

足指を足裏側に曲げて、5秒間キープ
足の裏側に優しく曲げて、足の甲側を伸ばすように、5秒間保つ。わきを閉じるようにするのがコツ。

※(2)と(3)を交互にくり返し、10~30往復したら、もう片方の足も 同様に行う。これを1日1~2回行う(歯磨きをするように)。

手首の動きで曲げない

手の指を足指の根元まで差し込まない!

強い力で90度以上曲げない

こんな場合は、こんなやり方でもOK!

足の小指を入念に伸ばす場合

小指をしっかり伸ばす場合は、足の小指を手の薬指と小指ではさめるように、握りを1つずつ小指側にずらして、足指のばしを行う。

握りを1つずつ小指側にずらす▶︎足の小指を手の薬指と小指ではさむ

足が組めない場合

股関節が硬かったり、関節を痛めたりして足を組めない場合は、床につま先を優しく押しつけて、足指のばしを行う。

足の裏側を伸ばす

足の甲側を伸ばす

足指の間を1ヵ所ずつ、もう一方の足で広げる

指に痛みがある場合

リウマチなどで指に痛みがあると、指を曲げたりするのが難しくなる。その場合は、「手で足の指をやわらかく包み、指を温める」をくり返す。筋肉をほぐすのに役立つ。

この記事は『安心』2019年8月号に掲載されています。

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