新型車は急速に安全度を高めているが、従来車のユーザーをフォローするための後付けの安全装備も、各社から登場して注目を集めている。後付けシステムの装着については、例えば東京都では費用の9割を補助するなど、自治体ごとに促進の動きも出てきている。
後付け費用の9割を補助する自治体も
車両の安全度の目安となるJNCAPの「予防安全性能アセスメント」の評価対象項目が増え、2020年には自動ブレーキを搭載することが義務付けられるなど、新型車は急速に安全度を高めているが、一方で、その流れから取り残されているのが、発売から年月を経過している従来車だ。
そんな従来車のユーザーをフォローするための後付けの安全装備が、各社から登場して注目を集めている。後付けシステムの装着については、例えば東京都では費用の9割を補助するなど、自治体ごとに促進の動きも出てきている。
現在、自動車メーカーでこの後付けシステムを提供しているのはトヨタとダイハツ。いずれも過去に発売したすべての車種を対象としているわけではないが、アクセルをワイヤーで開閉する旧車以外を対象に、少しずつ対応車種を増やしている段階だ。
トヨタが発売しているのは「踏み間違い加速抑制システム」。ドライバーが誤ってアクセルを踏み込むと、前後パンパー内に組み込んだ計4個の超音波センサーが障害物を検知して、ブザーとランプで警告。さらに、強くアクセルを踏み込んだ場合は、エンジンの出力を抑えて加速を抑制する。
センシングできるのは前方/後方の約3メートル以内にある壁などの障害物が対象で、障害物がないときは反応しない。また、後退時には時速約5キロ以内に抑制する機能も備える。取り付け可能車種は2019年8月13日現在、アクアなど8車種で、価格は5万1000円(税別・取り付け費用別)となる。
トヨタ
踏み間違い加速抑制システム
実売価格例:5万1000円(税別・取り付け費用別)
一方、ダイハツが発売しているのは、ペダル踏み間違い時加速抑制装置「つくつく防止」。センシングはトヨタと同様、前後のパンパーに組み込んだ4つの超音波センサーによって行われる。
動作条件は時速約10キロ以下で、壁などの障害物が約3メートル以内のとき、アクセルペダルを強く踏んだ際に作動する。対象車種はタントなど8車種。価格は3万2000円(税別・取り付け費用別)となっている。
ダイハツ
つくつく防止
実売価格例:3万2000円(税別・取り付け費用別)
障害物がない場合も踏み間違いに対応
トヨタやダイハツのシステムは、壁などの障害物があるのが動作条件になるが、障害物がない状態でもペダルの踏み間違いに対応できるシステムがある。オートバックスが販売している「ペダルの見張り番II」だ。
アクセルの踏み込み量を常に監視し、短時間で急激なアクセルの踏み込みを検知すると、踏み込み量を電子的に抑制。エンジンの回転が上がるのを防止する。ブレーキ制御は行わないが、AT車のクリープ現象と同じぐらいの速度でゆっくり走る。
センシング感度は5段階で調節することが可能で、急な坂道や右折などで急加速が必要なときは、一時的に機能をオフにできるスイッチが用意されている。
アクセルのコントロールを電子式で行う車種であれば取り付けが可能で、2019年8月13日現在で210車種に対応。価格は取り付け費用込みで4万円(税別)となる。
オートバックス(データシステム)
ペダルの見張り番II
実売価格例:4万円(税別・取り付け費用込み)
一方、イエローハットをはじめとするカー用品店や一部クルマディーラーでも販売しているのが「誤発進防止システム2」。
電子的にコントロールするアクセルを急激に踏み込むと、警告音を発するのはほかと同じだが、それでも踏み込みを中止しない場合は、強制的にギアをニュートラルに切り替えて速度を抑制する。回転式スイッチでオン/オフも可能だ。
さらに、製造元のサン自動車工業では、アクセル開度をワイヤーで制御する旧車にも取り付けられるタイプも販売中。その場合はニュートラルに切り替えるのではなく、エンジンをオフにして対応する。価格はいずれも3万円(税別・取り付け費用別)となる。
サン自動車工業
誤発進防止システム2
実売価格例:3万円(税別・取り付け費用別)
解説/会田肇 (自動車評論家)