筋肉を緊張させるのも、痛みを感知するのも、すべては脳が行っていることです。ですから、脳をリセットして、それらをなかったことにすれば、筋肉の緊張は緩み、痛みもなくなります。親指トントンは、いわば脳のリセット法です。【解説】宮本勝啓(はりきゅう泰山堂院長・鍼灸師)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

宮本勝啓(みやもと・かつひろ)
はりきゅう泰山堂院長。鍼灸師・整体師。38歳から高麗手指鍼の治療に携わり、それをベースにしたセルフケア法として指握り健康法を指導。その後、指握り健康法の持続性を追求した「薬指テープ」や、「ダイエットテープ」などのテープ療法、痛みの緩和によく効く「親指トントン」などを考案。

「親指トントン」のやり方

鍼灸師である私のもとには、いろんな症状でお悩みの人が来られます。私はその人たちに鍼灸治療を行うとともに、自宅に帰ったあとの対処法として、セルフケアの方法を教えています。そのなかから、痛みに効果的な〝秘技〟を、皆さんに公開しましょう。

それは、「親指トントン」というセルフケア法です。最初にやり方から説明します。

まず、痛みのある場所に、片方の手を当ててください。右手でも左手でも、当てやすいほうでけっこうです。

画像: 【目】

【目】

画像: 【肩】

【肩】

画像: 【腰】

【腰】

画像: 【ひざ】

【ひざ】

その状態で、反対の手の親指と人差し指の腹どうしを、くっつけては離し、くっつけては離しをくり返します。

画像: 【肩こり・腰痛】脳をリセットして痛みを和らげる「親指トントン」のやり方

【注意】親指と人差し指を、ギュッと強く押しつける必要はありません。力を入れ過ぎると筋肉が緊張して、効果が出るのに時間がかかります。指の腹と腹が触れ合えば、それで十分です。

指先ではなく、指の腹どうしを密着させることを意識して、あまり速くなり過ぎないようにしてください。トントンと指で一定のリズムをとるイメージで行います。1秒かけてくっつけて離すくらいにするとよいでしょう。

これを、痛みが軽減して楽になるまで続けます。

痛みを感知する脳をトントンでリセット

こんな簡単なことで痛みが取れるとは、にわかには信じられないかもしれません。しかし、試していただければ、きっとわかります。これだけで、ほんとうに痛みが軽くなるのです。

では、なぜ痛みのある部分に手を当てて、親指と人差し指をトントンとするだけで、痛みが和らぐのでしょうか。

痛みの大半は、筋肉の緊張から起こっています。体のゆがみや無理な姿勢など、なんらかの原因で筋肉が緊張し、それが許容範囲を超えると、痛みが発生するのです。

一方で、筋肉を緊張させるのも、痛みを感知するのも、すべては脳が行っていることです。ですから、脳をリセットして、それらをなかったことにすれば、筋肉の緊張は緩み、痛みもなくなります。

親指トントンは、いわば脳のリセット法です。手の指の腹は、脳に直結している部分です。なかでも脳との関連を占める割合が多いのが、親指と人差し指です。

この2本の指の腹と腹をくっつけたとき、脳のスイッチがオンになります。離したとき、脳のスイッチがオフになります。これをくり返すことで、脳がリセットされるのです。

反対の手を痛い部分に当てるのは、脳の意識をそこへ向けて、リセットする場所を指示するためです。

画像: 腱鞘炎の治療に親指トントンを用いる宮本先生

腱鞘炎の治療に親指トントンを用いる宮本先生

ごく軽い症状であれば、親指と人差し指を3回トントンとするだけで、痛みが取れるケースもあります。普通は、平均30回くらいで楽になることが多いようです。

慢性的な痛みや、炎症などで重症な場合は、100〜200回くらい行う必要があります。また、そのような痛みは、いったん軽減しても、またぶり返すことが多くあります。

それでも、痛みが出るたびに親指トントンを行えば、徐々に少ない回数で痛みが和らぐようになり、ぶり返す頻度も少なくなるはずです。あきらめずに続けてください。

体のゆがみから痛みが生じている場合、例えば、ひざ痛が親指トントンでよくなっても、次は足首や股関節が痛くなったり、その次は腰が痛くなったりと、痛みがどんどん移動することがあります。その場合も、痛いところをそのつど、親指トントンでケアしていけば、やがてゆがみ自体が改善します。

親指トントンは、痛みはもちろん、筋肉の緊張から起こっている症状に有効です。ひざ痛、足首痛、股関節痛、腰痛、肩・首・背中の痛み、手の痛み、頭痛、眼精疲労、ドライアイなど、患部に手を当てることができれば、あらゆる部位の痛み、症状にも活用できます。

親指トントンは、実践すればきちんと効果が現れます。皆さんも、痛みで悩んでいるところがあれば、まずは試してください。その不思議な効果に、きっと驚くことでしょう。

画像: この記事は『壮快』2019年9月号に掲載されています。

この記事は『壮快』2019年9月号に掲載されています。

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