【さとう式リンパケア】耳に輪ゴムをかけるだけで小顔を作る「耳輪ゴム」のやり方

美容・ヘルスケア

敏感な人であれば、輪ゴムをかけただけで、10分ほどで口角が上がり、頬が締まり、目がパッチリと開くといったリフトアップ効果が、その場で得られます。全身の筋肉の過度な緊張が取れるため、血液・体液の循環も改善し、冷え症やむくみ、不眠症、頭痛などの改善にもつながります。【解説】佐藤青児(月見歯科クリニック院長・メディカサトウ主宰)

解説者のプロフィール

佐藤青児(さとう・せいじ)
月見歯科クリニック院長・メディカサトウ主宰。愛知学院大学歯学部卒業。さとう式リンパケアを考案し、歯科治療の傍ら、さとう式を広めるための講習会や、インストラクターの養成を全国で精力的に展開中。著書に『輪ゴム一本で体の不調が改善する!』(晶文社)など多数。

筋肉をゆるめたいなら強い刺激は逆効果

あご(顎関節)や耳の周りの筋肉の緊張をゆるめること。これが、健康と美容の極意です。

たったこれだけで、スッと顔のむくみが取れ、頬が引き締まり、目のパッチリした小顔になり、ほうれい線が消えます。

美容効果だけではありません。顎関節症だけでなく頭痛や耳鳴り、肩こり、腰痛など、全身の不調が改善した人が続出しています。

歯科医として、顎関節症を起こす原因となる、あごや耳周辺の筋肉の緊張を効果的にゆるめる方法を考える中で、試行錯誤を重ねて開発したのが「さとう式リンパケア」です。過緊張を起こした筋肉を、ごく弱い力でゆるめるメソッドです。

筋肉の緊張を取ってゆるめるためには、マッサージやストレッチなどで、ある程度の圧力を筋肉にかける必要がある、と思われがちです。

しかし、脳の神経は、筋肉への強い刺激を感じると、その刺激に対応するために、筋肉を緊張させる性質を持っています。

つまり、筋肉への強い圧力は、筋肉をゆるめるどころか、かえって緊張させてしまいます。筋肉を緊張させずにゆるめるためには、ごく弱い力で刺激を与えることが重要なのです。

今回ご紹介する「耳輪ゴム」は、「さとう式リンパケア」の手法の一つです。耳の付け根に輪ゴムをかけるだけという、その手軽さと効果の高さから、とても人気があります。

耳の周りの筋肉は全身のバランスを整える起点

耳に輪ゴムをかけると、耳たぶがほんの少しだけ持ち上がります。このごく弱い刺激が、緊張したあごや耳の周りの筋肉をゆるめるのに、うってつけなのです。

耳の周りの筋肉は、全身の「屈筋」の起点です。屈筋とは、関節を曲げるときに縮む筋肉のことで、関節を伸ばすときに縮む「伸筋」と対になって働いています。

屈筋は、耳の上にある側頭筋、耳の下側のエラ(下顎角)につく咬筋といった耳の周囲の筋肉から、舌骨上・下筋(首の前側)、大胸筋(胸)、大腰筋(胴の深部)、ハムストリングス(太もも裏)、腓腹筋(ふくらはぎ)へとつながる一つのラインを構成しています。

屈筋と伸筋の力のバランスが取れていればよいのですが、屈筋が過緊張を起こすと、その力に対抗するために伸筋に大きな負担がかかります。

屈筋と伸筋のバランスがくずれると、私たちの体を支えている四つの腔がつぶれます。

四つの腔とは、口腔(口腔上部)、首腔(口腔下部)、胸腔(胸の空間)、腹腔(おなかの空間)のこと。

つぶれたペットボトルがまっすぐに立たないように、人間の体も、四つの腔が十分なスペースを保っていないと、バランスをくずしてしまうのです。

胸腔がつぶれれば、ネコ背や巻き肩になり、腹腔がつぶれれば、骨盤が傾きます。その状態で、無理にまっすぐに立とうとすれば、痛みやこりなどの不調が生じます。

この四つの腔の起点が口腔です。耳輪ゴムで、あごや耳の周りの屈筋の緊張を取ってゆるめることで、全身の屈筋の緊張も連動してゆるんできます。

すると縮こまっていた屈筋群がハリを取り戻し、伸筋を助けて、全身の腔をしっかりと膨らませられるようになるのです。

さて、ここまで理論を説明してきましたが、論より証拠。実際に耳に輪ゴムをかけてみるのが、一番効果を体感しやすいでしょう。

耳が締めつけられるほど、強く輪ゴムをかける必要はありません。かけたときに、「耳たぶが、ほんの少し上がっているかな」程度でOKです。

一般に、女性であれば16号(内径38mm)、男性であれば18号(内径44.5mm)のサイズの輪ゴムが適しています。

このサイズだと、耳への締めつけ感はほとんどありません。ゆるすぎると感じるかもしれませんが、この「ごく弱い刺激」が、効果のポイントなのです。

「耳輪ゴム」のやり方

【用意するもの】
輪ゴム2本
※サイズは、女性は16号(内径38mm)、男性は18号(内径44.5mm)が目安。
※通常の太さの輪ゴムを使うこと。幅が太いタイプの輪ゴムは不可。

【やり方】
耳のつけ根に輪ゴムをかける。

耳たぶがほんの少し上がるくらいでOK

ここまで耳たぶが上がるのはダメ

【ポイント】
輪ゴムをかけたとき、締めつけ感がなく、「ややゆるいかな」と感じる程度であれば、輪ゴムのサイズが合っている。耳たぶがほんの少しだけ上がっているかどうか、鏡で確認するとよい。
初めは1回につき5~10分ほど輪ゴムをかける。1日に何回行ってもよい。
慣れてきたら、輪ゴムをずっとかけたままにしていてもよいが、その場合は輪ゴムよりも、デンタルフロスなどのひもを使うほうがお勧め。寝ている間もかけたままでよいが、耳に違和感や締めつけ感などが生じたら、すぐ外すこと。
基本は両方の耳に輪ゴムをかけるが、最初は左右どちらかの耳にだけ輪ゴムをかけて、顔や体の変化を確かめてみると効果を実感しやすい。

耳に合う輪ゴムがない場合

【デンタルフロスを使う】
耳に合う輪ゴムがない場合は、細めのひもなどで代用できる。ひもを使っても、効果が落ちることはない。デンタルフロス(ワックスタイプ)を使うと、すべりがよく、サイズの調整がしやすいのでお勧め。デンタルフロスは薬局などで購入できる。

【やり方】
デンタルフロスを25cmほど引き出して切り取り、以下の結び方で輪を作る。同じものをもう1つ作る。

(1)図のようにフロスを交差させて輪を作る

(2)(1)の部分を、図のように輪の中に通す

(3)フロスの端を押さえながら結び目を締める

(4)出来上がり。フロスの端を引っ張ると、輪の大きさが調整できる

耳に輪をかけ、デンタルフロスの端を引っ張って、サイズを調整する。

【ワイヤータイを使う】
中心に針金が入った細いワイヤータイを使ってもよい。ワイヤータイは、パンの袋の口などを留めてあるものを再利用してもよいし、100円均一ショップなどでお菓子のラッピング用品として市販されている。

【やり方】
耳たぶがほんの少し上がる程度に、上下を曲げてサイズを調整し、耳にかける。ワイヤータイを通すのは耳の前でも裏でも、安定するほうでよい。耳の裏側を通すようにかけると目立ちにくい。

バストやヒップが上がりウエストはくびれる

敏感な人であれば、輪ゴムをかけただけで、あごや耳の周りの筋肉の緊張が取れてゆるんでくるのを感じられるはずです。

10分ほどで口角が上がり、頬が締まり、目がパッチリと開くといったリフトアップ効果が、その場で得られます。

肩こりがひどく、腕を動かしづらい方は、症状のある側の耳にだけ輪ゴムをかけて、腕を動かしてみてください。輪ゴムをかけた側の首や肩の筋肉がゆるんで、可動域が広がります。

また、耳輪ゴムを習慣的に続けていると、姿勢と体形が変わります。バストやヒップのラインが上がった、ウエストが締まった、腰痛が解消したという方も少なくありません。

全身の筋肉の過度な緊張が取れるため、血液・体液の循環も改善していきます。その結果、冷え症やむくみ、不眠症、頭痛などの改善にもつながります。

あごや耳の周りの筋肉の緊張が取れると、舌の位置が上がり、口腔の筋肉が正しく使われるようになります。

すると、飲み込み力が上がるので、高齢者の誤嚥を防いだり、滑舌がよくなったりという効果が得られます。あごが柔軟な子どもであれば、歯並びがよくなることもあります。

口呼吸が解消し、唾液の分泌もよくなるので、いびきやドライマウスの改善、歯周病予防、免疫力(病気に対する抵抗力)の向上も期待できるでしょう。

耳たぶが小さくて輪ゴムが外れやすかったり、10分以上続けてかけたりしたい人は、伸縮性のないデンタルフロスや、ワイヤータイなどでサイズを調整して使うのがお勧めです。

この記事は『安心』2019年9月号に掲載されています。

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