筋肉や骨を刺激することによって、〝骨ホルモン〟と呼ばれる「オステオカルシン」や、筋肉から分泌される「マイオカイン」の分泌が促されます。うれしいことに、これらのホルモンは、いずれもインスリンの分泌を促したり、その機能を高めたりする効果があります。【解説】周東寛(南越谷健身会クリニック院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

周東寛(しゅうとう・ひろし)
南越谷健身会クリニック院長。南越谷健身会クリニック院長。医学博士。専門はガンとアレルギー。食事療法や運動療法を指導するとともに、自ら実践。心身医学療法なども加え、トータルヘルスの確立に注力している。テレビや新聞、雑誌などのメディアでも活躍。『医師がすすめる! 酢タマネギ薬食術』(村上祥子氏と共著。マキノ出版)など、著書多数。

痛気持ちいいくらいの強さでたたく!

私は、これまで、患者さんの糖尿病改善のために、さまざまな健康法を提案してきました。なかでも、最近、大きな成果を上げているのが「骨たたき」です。

これは、その名のとおり、腕や足などの骨をたたく方法です。

たたくだけで、ほんとうに健康効果があるのか、疑問に思うかたもいるかもしれません。しかし実際に、この健康法で血糖値が下がった患者さんが、たくさんいるのです。

骨たたきは、握りこぶしで、全身を痛気持ちいい強さでたたいていきます。

まず左の胸、心臓の辺りからたたき始めます。左腕の内側を、上から下へ向かってたたきましょう。同様に左腕の外側、続いて右腕も、内側と外側をたたきます。

特に、関節の部分は重点的にたたきましょう。関節液が正常化して、関節の疲れがとれます。

足は、股関節辺りから、太もも、ふくらはぎ、足首までたたきましょう。手と同様に、内側と外側、それから足の裏もたたきましょう。

こうして全身の1巡を1回として、できれば、1日3回くらい全身をたたきましょう。いつ行ってもかまいません。

骨たたきのやり方

画像1: 血糖値を下げるホルモンを分泌 インスリンの働きを高める「骨たたき」のやり方

左胸からスタートし、左腕の先まで、1ヵ所につき、数回ずつたたく。数cmずつずらしながら、手の平までリズミカルにたたいていく。右側も同様に行う。

画像2: 血糖値を下げるホルモンを分泌 インスリンの働きを高める「骨たたき」のやり方

①と同じ要領で、左足の付け根から左足の裏までをたたく。右側も同様に行う。

痛気持ちいいくらいの、やや強めの強さでたたく。
1日3回を目安にたたく。

インスリンの働きを高める物質が分泌!

それでは、なぜ、この方法が血糖値を下げる効果をもたらすのでしょうか。それは、西洋医学と、東洋医学の両面から説明することができます。

まず、西洋医学の面からお話ししましょう。全身をたたくと、血流が促されます。そうすると、血管壁にたまりがちな、血液中のゴミともいえる、プラーク(血管内壁の脂肪の塊)をはがす効果が期待できます。

プラークがたまってしまうと、動脈硬化につながるおそれがあります。動脈硬化は、糖尿病が引き起こす合併症の一つです。その予防に、骨たたきはお勧めです。

さらに注目したいのは、最新の医学研究で明らかになってきた筋肉や骨の働きです。筋肉や骨を刺激することによって、健康維持に役立つ物質が分泌されることがわかってきています。

その一つが、骨を作る骨芽細胞から分泌される、「オステオカルシン」という物質です。オステオカルシンは、通称「骨ホルモン」と呼ばれ、骨密度を高めて、丈夫な骨を作る働きをします。骨たたきは骨粗鬆症対策にも有効なのです。

また、オステオカルシンは、「アディポネクチン」という物質の分泌も促します。これは、メタボを改善したり、動脈硬化を予防したりする働きがあります。メタボが解消されれば、糖尿病にもいい影響を与えることは、いうまでもありません。

もう一つが、筋肉から分泌される、「マイオカイン」というホルモンです。マイオカインは、筋肉が分泌するホルモンの総称で、30種類以上が確認されています。

マイオカインには、傷ついた筋肉を修復する作用があります。それだけではなく、血流にのって全身に運ばれ、多くの病気を食い止めることも近年わかってきています。

なによりうれしいことに、これらのホルモンは、いずれもインスリンの分泌を促したり、その機能を高めたりする効果があります。そのため、骨たたきは、糖尿病の予防・改善に有効なのです。

一方、東洋医学的には、全身をたたくことで、経絡が刺激されます。経絡とは、生命エネルギーの一種である「気」の通り道です。ツボとツボを結ぶように私たちの体に張り巡らされています。そこへの刺激は、全身の各臓器に伝わり、細胞を活性化させます。

特に重要なのは、左腕です。

左腕は心臓に近く、刺激によって、血液循環を促す効果が特に高い部位です。心経や心包経といった、心臓の働きと直結する経絡も通っています。そこを刺激すれば、すい臓に運ばれる酸素や栄養素が増えることにより、インスリンの分泌も促されます。

全身をたたくのはめんどうだと感じるかたは、腕だけでもたたくといいでしょう。腕だけであれば、場所を選びません。

この骨たたきは、全身をたたくだけという、いたってシンプル、かつ、簡単な方法です。血糖値が気になるかたは、ぜひお試しください。

画像: この記事は『壮快』2019年10月号に掲載されています。

この記事は『壮快』2019年10月号に掲載されています。

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