ドラム式の基本は、衣類を持ち上げて落とす「たたき洗い」だが、最近はドラムの動きを細かく制御できるようになり、さまざまな洗い方ができるようになっている。またドラム式は縦型に比べて衣類乾燥が得意といえるが、温度や風量などの工夫により、さらにシワや縮みが抑えられるようになった。

目指せ!家電選びの達人
今回の家電は「ドラム式洗濯乾燥機」

洗濯物を入れてボタンを押せば、乾燥まで一手に引き受けてくれるドラム式洗濯乾燥機。洗濯物を干す煩わしさから解放されるため、「もう手放せない」という愛用者も多い。洗濯や乾燥の質が上がり、利用価値は年々上昇。今回は、最新5機種を対象に進化の程を追ってみた。

画像1: 【ドラム式洗濯機】最新5機種の特徴を比較!価格に見合った進化に注目

監修者のプロフィール

中村剛
「TVチャンピオン」スーパー家電通選手権で優勝の実績を持つ家電の達人。家電製品総合アドバイザー、消費生活アドバイザー。東京電力「くらしのラボ」所長。現在、暮らしに役立つ情報を動画(Facebook)で配信中。

洗濯性能

■温水洗浄のほか、各社がさまざまに取り組む

欧米で主流だったドラム式洗濯乾燥機を、日本でも扱い始めたのが1990年代後半。環境や文化の違いから、仕組みや構造を日本向けに改良する必要があり、2000年代に入ると、さまざまな製品が登場した。

ドラム式を普及させる一つのきっかけを作ったのが、三洋電機(当時)の「トップオープンドラム」。これは、ドラム式ながら縦型洗濯機のように、衣類を上から出し入れできる構造で、工夫しだいで日本でもドラム式が使える可能性を提示した。

また、松下電器(=ナショナル。当時)では、衣類の出し入れを考慮した「ななめドラム式」を発売し、ドラム式の知名度をより広めたという経緯がある。約20年がたった今では、ユーザー視点での改良を重ねて、洗いも乾燥も使い勝手も、質が大幅に向上している。

一時は「高嶺の花」と思われることも多かったが、現在は、実用性が伴う家電として、しっかりと生活を支えているドラム式洗濯乾燥機。具体的にどう進化しているのか、見ていこう。

「ドラム式洗濯乾燥機」のポイント
洗浄能力衣類を上から落とす”たたき洗い”のため、洗浄力は縦型よりも弱めだが、洗浄モードにはさまざまな工夫がある。
乾燥能力洗濯槽内で衣類に風が通りやすく、質のいい乾燥が可能。除湿しながら温風を送るヒートポンプ式は熱効率もいい。
使い勝手扉が手前に開くので、大きな洗濯物が入れやすいが、スペースに余裕がないと衣類の出し入れが困難な場合も。
コスト少ない水で洗濯が可能。ヒートポンプ式なら、乾燥時のコストも抑えられる。価格は、縦型モデルより比較的高価。

まずは、洗濯性能。ドラム式の基本は、衣類を持ち上げて落とす「たたき洗い」だが、最近は、ドラムの動きを細かく制御できるようになり、「こすり洗い」や「押し洗い」など、さまざまな洗い方ができるようになっている。

中でもLGは、「もみ洗い」や「おどり洗い」など、6種類のモーションを搭載。衣類の汚れによってそれらを組み合わせ、最適な洗浄を行っている。

また、洗浄力アップで注目されているのが、40℃前後のお湯で洗剤の効果を高める「温水洗浄」だ。

洗剤に含まれる酵素を活性化させ、たんぱく質や皮脂汚れを落としやすくする機能で、黄ばみやニオイの除去に大きな効果がある。ドラム式は洗濯に使う水が少ないため、お湯も短時間で温められ、温水洗浄と相性がいい。今回の5モデルも、こぞって採用している。

機種ごとのアプローチとしては、東芝がナノサイズの気泡「ウルトラファインバブル」で洗剤の浸透力を強化しているほか、パナソニックは7本のシャワー、シャープはミストによる高圧洗浄で、洗浄力アップを図っている。

また、日立AIを導入。汚れや水温をセンシングし、洗い方や時間を洗濯機が判断するため、設定に悩まず使えるのが便利だ。

乾燥性能

■衣類のダメージを抑える工夫が多彩に登場

「乾燥機能」の違い
ヒートポンプ式
エアコンでも採用されている方式で、空気中から大きな熱エネルギーを集めて利用するため、消費電力量が少ない。乾燥温度が65℃前後と低めで、衣類の傷みや縮みを防止する。
ヒートリサイクル式
日立が採用している方式で、動作中のモーターなどから発生する熱を回収し、乾燥時の温風に再利用する。消費電力量が抑えられるため、省エネ性が高い。
ハイブリッド式
シャープが採用。ヒートポンプ乾燥の最初と最後の工程に、ヒーター熱をプラス。乾燥スタート時の立ち上がりの速さと、仕上がりのふんわり感を実現する。
ヒーター式
ヒーターで温風を作って乾燥させる方式で、ドライヤーで衣類を乾かすイメージ。上記の方式よりも電気代はかかるが、仕組みがシンプルなため、本体価格は比較的安い傾向がある。

ドラム式洗濯乾燥機は、縦型洗濯乾燥機に比べて衣類乾燥が得意といえるが、温度や風量などの工夫により、さらにシワや縮みが抑えられるようになった。

乾燥機能で注目なのは、日立の「風アイロン」。時速300キロの風で、衣類のシワを伸ばしてきれいに仕上げる人気機能だ。最近のモデルでは、出かける前のシャツのシワ伸ばしをする「スチームアイロンコース」を追加し、機能を充実させている。

LG東芝は、低温乾燥に力を入れ、縮みや傷みを防止。東芝は、ラメプリントの入った衣類もきれいに仕上げるなど、特殊加工にも対応しているのが特徴だ。

シャープは、ヒートポンプ&サポートヒーターのハイブリッド乾燥方式を採用し、効率的に乾燥させることで、仕上げの質と省エネ性を両立させている。

ユニークなのはパナソニックで、タオルの仕上げにこだわった「タオル専用コース」を搭載。適度な水分を含んだ状態で乾かすことで、肌ざわりがよく、吸水性に富んだタオルに仕上げるという。

このように、最近はさまざまな洗濯コースが搭載されているが、今後は、スマホと連係させることで、アプリからコースをダウンロードして追加していけるようになりそうだ。また、アプリによっては、自分でコースを組み立てることもでき、より自由度の高い対応が可能になっている。

このほか、スマホアプリを使うと、外出先から操作ができたり、天気予報や洗濯アドバイスなどの情報を受けたりといったことができる。なお、今回の5機種は、すべてスマホとの連係が可能だ。

その他のトレンド機能

■洗剤自動投入採用機が増。メンテナンス性も向上

もう一つ、多くの機種が取り入れているトレンド機能が、「洗剤自動投入」だ。

洗剤や柔軟剤をタンクに入れておくと、洗濯物の量に合わせて最適量を自動投入する便利機能で、シャープ以外のモデルが採用している。各社とも、タンクの容量や注ぎ口を大きくしたり、ハンドルをつけたりするなど、使いやすさを売りにしている。

また、従来と比べて顕著なのが、どのメーカーも、メンテナンス性が向上していることだ。洗濯槽を洗浄する自動掃除機能はもちろん、乾燥ダクトや熱交換器も自動で水洗いするモデルもある。

手入れがめんどうな乾燥フィルターのホコリも、取りやすいよう工夫されている。例えば、東芝では、レバーを押せば、ブレードが綿ボコリをかき出す仕組みを採用。シャープは、自動でホコリを集め、除去しやすくしている。

こういった細部にまで進化が見られるあたりに、製品としての成熟が感じられる。洗濯物を入れてスイッチを押せば、適量の洗剤を自動投入して洗浄と乾燥を行い、メンテナンスまでしっかりやってくれる。

試行錯誤から始まったドラム式洗濯乾燥機も、最終ステージにかなり近づいている印象だ。

各モデルの特徴

シャープ
ES-W112
実売価格例:34万7930円

画像: ●消費電力量(洗濯~乾燥)/約600Wh ●運転音(最大)/約39dB ●サイズ/幅640mm×高さ1104mm×奥行き728mm ●重量/82kg

●消費電力量(洗濯~乾燥)/約600Wh ●運転音(最大)/約39dB ●サイズ/幅640mm×高さ1104mm×奥行き728mm ●重量/82kg

ヒートポンプとヒーターのハイブリッド乾燥を搭載
ヒートポンプとサポートヒーターのハイブリッド乾燥、超音波ウォッシャー、プラズマクラスターコースなど、オリジナル機能を数多く搭載。独自のシステムで、静音化も実現している。

●マイクロ高圧洗浄
独自のシャワーノズルから微細な水滴を高圧噴射。泥などのがんこな汚れを弾き飛ばして、しっかり洗浄する。

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●COCORO WASH
AIoTクラウドサービス。スマホとの連係で、天気予報や洗い方アドバイスなどの情報を提供する。ほかの家電と連係できるのも特徴。

●乾燥フィルター自動お掃除
乾燥終了後、乾燥フィルターのホコリをブレードでかき取って自動掃除。常にきれいな状態を保つことで、乾燥効率の低下を防ぐ。

画像3: 【ドラム式洗濯機】最新5機種の特徴を比較!価格に見合った進化に注目

●超音波ウォッシャー
毎秒3万8000回の超音波振動で汚れを落とすペン型アイテムを搭載。洗濯前に襟汚れやシミを予洗いすれば、洗濯効率がアップ。

東芝
TW-127X8
実売価格例:34万4120円

画像: ●消費電力量(洗濯~乾燥/標準)/約1150Wh ●運転音(最大)/約49dB ●サイズ/幅645mm×高さ1060mm×奥行き750mm ●重量/90kg

●消費電力量(洗濯~乾燥/標準)/約1150Wh ●運転音(最大)/約49dB ●サイズ/幅645mm×高さ1060mm×奥行き750mm ●重量/90kg

「ウルトラファインバブル」+ 温水洗浄で黄ばみを抑制
「ウルトラファインバブル」の効果をプラスした温水洗浄で、衣類の黄ばみを抑制。また、洗いとすすぎに抗菌水を使うことで、洗濯のたびに衣類を抗菌し、雑菌の繁殖を防ぐ。

画像4: 【ドラム式洗濯機】最新5機種の特徴を比較!価格に見合った進化に注目

●抗菌ウルトラファインバブル洗浄W
温めた洗剤成分をまとったナノサイズの気泡「ウルトラファインバブル」が繊維の奥に浸透。汚れをはがして、ニオイや黄ばみを予防する。

●Ag+抗菌水
Ag+抗菌ビーズから溶け出した抗菌成分が、繊維のすき間に入り込んで浸透。洗濯のたびに抗菌して衣類の雑菌繁殖を防ぎ、ニオイの発生を抑える。

画像5: 【ドラム式洗濯機】最新5機種の特徴を比較!価格に見合った進化に注目

●液体洗剤・柔軟剤自動投入
洗剤や柔軟剤が注ぎやすい、投入口の大きなタンクを採用。タンクや自動投入の経路をお手入れするコースも搭載した。

●低振動・低騒音設計
音の原因となるギアやベルトを使用しない、直結型のDDモーターを採用。振動吸収クッションで、衣類の偏りによる騒音も抑えた。

パナソニック
NA-VX900A
実売価格例:41万5800円

画像: ●消費電力量(洗濯~乾燥/標準)/約890Wh ●運転音(最大)/約46dB ●サイズ/幅600mm×高さ1009mm×奥行き722mm ●重量/79kg

●消費電力量(洗濯~乾燥/標準)/約890Wh ●運転音(最大)/約46dB ●サイズ/幅600mm×高さ1009mm×奥行き722mm ●重量/79kg

タオル専用コースや60℃の槽洗浄など使い勝手も向上
かがまずに衣類が取り出せる、斜めドラム式。タオルソムリエ監修のタオル専用コースや、60℃の温水スチームによるドラム洗浄、ナノイー搭載などで、ワンランク上の使い勝手を目指す。

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●泡洗浄W/温水泡洗浄W
酵素が活性化する温度まで洗剤液を温め、泡にすることで洗浄力と浸透力をアップ。普段着からおしゃれ着まで、黄ばみをしっかり落とす。

●液体洗剤・柔軟剤自動投入
洗濯物の量に合わせ、洗剤や柔軟剤の最適量を自動投入。液を入れ過ぎがないため、洗剤カスが出づらく清潔。

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●約60℃槽カビクリーン
ドラム槽内に温水スチームを充満させ、黒カビを抑制。洗浄剤を使わずに、菌の数を1%以下まで減少させる。

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●わが家流プラス
洗い方や乾かし方をカスタマイズしたオリジナルの洗濯コースを、アプリに複数保存が可能。家族間での共有もできる。

画像9: 【ドラム式洗濯機】最新5機種の特徴を比較!価格に見合った進化に注目

人気の「Cuble」シリーズから新製品が登場!
パナソニック NA-VG2400
実売価格例:34万9800円(12月上旬発売)

デザイン性の高さで人気のパナソニック・Cubleシリーズから新製品が登場する。乾燥には、低温のヒーター方式を採用し、衣類のシワや縮みに対応。そのほかは、同社のVX900Aと同等の機能を持ったハイスペックモデルとなっている。

日立
BD-SX110E
実売価格例:33万1850円

画像: ●消費電力量(洗濯~乾燥)/約850Wh ●運転音(最大)/約48dB ●サイズ/幅630mm×高さ1065mm×奥行き715mm ●重量/80kg

●消費電力量(洗濯~乾燥)/約850Wh ●運転音(最大)/約48dB ●サイズ/幅630mm×高さ1065mm×奥行き715mm ●重量/80kg

洗剤自動投入や「AIお洗濯」で快適さを提供
時速300キロの高速風による「風アイロン」でシワを伸ばして乾燥。洗剤自動投入や、AIが汚れに合わせて洗濯時間を自動調整する「AIお洗濯」で、さらなる快適化を提供する。

●AIお洗濯
複数のセンサーが、洗剤の種類や布質・汚れの量・水の硬度などの情報を収集。洗い方や運転時間を自動制御する。

画像10: 【ドラム式洗濯機】最新5機種の特徴を比較!価格に見合った進化に注目

●液体洗剤・柔軟剤自動投入
洗濯のたびに自動で適量を投入するので、入れ過ぎが防げる。タンクは洗剤1000ミリリットル、柔軟剤700ミリリットル。

画像11: 【ドラム式洗濯機】最新5機種の特徴を比較!価格に見合った進化に注目

●洗濯コンシェルジュ
洗濯サポートアプリ。洗濯物が乾きやすい時間を知らせるアドバイス機能や、ユーザーの好みを学習する「わがや流AI」コースを搭載。

●風アイロン
ジェットファンモーターが生み出す、時速300キロの高速風でシワを伸ばしながら乾燥。外出前にシャツのシワ取りを行うスチームアイロン機能も便利。

LG
LG SIGNATURE DUALWash
実売価格例:49万4640円

画像: 【メイン】●消費電力量(洗濯~乾燥/標準)/約951Wh ●運転音(最大)/約47dB ●サイズ/幅600mm×高さ850mm×奥行き730mm ●重量/94.5kg 【ミニ】●消費電力量(洗濯)/約40Wh ●運転音(最大)/約39dB ●サイズ/幅600mm×高さ365mm×奥行き730mm ●重量/43kg

【メイン】●消費電力量(洗濯~乾燥/標準)/約951Wh ●運転音(最大)/約47dB ●サイズ/幅600mm×高さ850mm×奥行き730mm ●重量/94.5kg
【ミニ】●消費電力量(洗濯)/約40Wh ●運転音(最大)/約39dB ●サイズ/幅600mm×高さ365mm×奥行き730mm ●重量/43kg

引き出し型のミニ洗濯機を備える二層式
メインドラムの下に引き出し型のミニ洗濯機を備える、二層ドラム式洗濯乾燥機。二つのドラムは、別々のコースで同時運転が可能。通常の衣類と下着類など、分け洗いに役立つ。

画像12: 【ドラム式洗濯機】最新5機種の特徴を比較!価格に見合った進化に注目

●ミニ洗濯機
メイン洗濯乾燥機の下に、容量2キロのミニ洗濯機を設置。白いシャツと色物の衣類など、二層で同時に分け洗いすることができる。

●6モーション洗浄
「たたき」「もみ」「押し」「ゆらし」「こすり」「おどり」という6つの洗濯モーションを用意。コースに合わせ、最適な組み合わせで洗える。

●洗剤・柔軟剤自動投入
約20回分の洗剤と柔軟剤が入る専用ケースを装備し、洗濯物の量に応じて自動投入。補充を知らせるアラーム付き。

画像13: 【ドラム式洗濯機】最新5機種の特徴を比較!価格に見合った進化に注目

●サークル型操作パネル
メイン洗濯機はタッチパネルで直感的に操作できる。使用頻度の高いコースの登録や、オリジナルのコースの設定も可能。

まとめ

さまざまな技術を詰め込んだドラム式洗濯乾燥機。当然、価格も高くなるが、そのぶん洗濯に割いていた手間や時間が節約でき、忙しい家庭に有効だ。

環境や防犯上の理由で洗濯物が外干しできない状況でも役立つほか、天気や時間に左右されずに洗濯ができることで、ライフスタイルに合わせやすい面もある。

ただし、本体サイズが大きいので、設置場所や搬入経路の事前確認は必須といえる。

※価格は記事作成時のものです。
取材・執筆/諏訪圭伊子(フリーライター)

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