【自己治癒力を高める野菜スープの作り方】7種の野菜でミネラルバランスを整える「ヒポクラテススープ」とは

美容・ヘルスケア

ドイツ人医師のマックス・ゲルソン博士が考案した総合的な栄養・解毒療法「ゲルソン療法」。ゲルソン療法食の中心となるのが、ヒポクラテススープ(長生き野菜スープ)です。私自身、ヒポクラテススープで健康を取り戻すことができました。【解説】石黒栄紀(いしぐろクリニック院長)

解説者のプロフィール

石黒栄紀(いしぐろ・えいき)
いしぐろクリニック院長。富山県出身。金沢医科大学卒業。金沢大学附属病院、石川県立中央病院などの勤務を経て、1995年、石川県加賀市にいしぐろクリニックを開設。2015年、滞在型食事療法施設「治ゆの扉」をクリニックに併設。ゲルソン療法など、ガンの代替医療による治療を本格的に開始する。著書に『医師がすすめる長生き野菜スープ』(マキノ出版)がある。

自己治癒力を高めるスープ

「しつこいだるさが消えた」「疲れにくくなった」「肌がツルツルになった」「血糖値が正常になりインスリン(*)がいらなくなった」
(* 血糖値を下げるホルモンであるインスリンを、製剤として注射で外から補充する糖尿病の治療)

これらはすべて「ヒポクラテススープ(長生き野菜スープ)」を食生活に取り入れたかたの声です。古代ギリシャの医学者、ヒポクラテスが滋養食として用いたことから、この名前で呼ばれています。

私は進行ガンの患者さんをなんとか治したいと、多くの代替療法を試みました。やがて、ドイツ人医師のマックス・ゲルソン博士が考案した「ゲルソン療法」にたどり着きました。

ゲルソン療法は、世界じゅうでたくさんの人々を救ってきた総合的な栄養・解毒療法です。そのゲルソン療法食の中心となるのが、ヒポクラテススープです。

ヒポクラテススープの特徴は、消化・吸収がよく、栄養が豊富で、しかも「おいしい」ことです。

病気を抱えているかたは、例外なく胃腸の働きが低下し、消化力が落ちています。特にガン患者さんは治療の副作用で食欲もなく、体が極度の栄養不足に陥っているものです。

ヒポクラテススープは野菜をじっくり低温で長時間煮込み、裏ごしをして繊維質を取り除くので、消化によくなっています。胃腸に負担がかからず、点滴でしか栄養をとれなかった人でも飲むことができます。

そして、体に必要な栄養素、特にビタミン、ミネラルをバランスよく摂取でき、病気から回復するための自己治癒力を高めます。

当院では、糖尿病、高血圧、肥満などの生活習慣病、ガンやリウマチ、アレルギー性疾患などの治癒にスープを役立てています。

しかも、塩などの調味料をいっさい使いませんが、野菜のうまみがたっぷり溶け出して、スープを飲んだかたは「野菜だけでこんなにおいしいなんて!」と驚かれます。

進行ガンで心身ともに衰弱していた患者さんがスープを一気に飲み干し、「1週間ぶりの食事です。これで生きていけます」と涙を流されたこともあります。

材料は年じゅう手に入る7つの野菜

タマネギ

抗酸化作用のあるケルセチンや、代謝を円滑にするアリシン(アリインが変化)を含む

セロリ

香り成分のアピインは自律神経を整え、精神安定作用も。ピラジンには血液サラサラ効果がある

トマト

強力な抗酸化作用がある色素成分のリコピンは加熱で吸収率が上がるので、スープにぴったり

ニンニク

強い抗酸化作用を持つアリシン(アリインが変化)やエネルギー代謝を促すビタミンB1が豊富

長ネギ

白い部分に多い硫化アリルは、血液サラサラ効果、抗ガン作用も発揮。緑部分はβ-カロテンが豊富

ジャガイモ

カリウムやビタミンCが豊富。ジャガイモのビタミンCはデンプンに保護され、熱に強い

パセリ

色素成分のクロロフィルはコレステロールの上昇を抑える。香り成分のアピオールは消化を促進

作り方は7つの野菜を水だけでコトコト煮るだけ

【材料】(2人・2日分)
ジャガイモ……中または大2個
セロリの茎……2〜3本
長ネギ……中1本
タマネギ……中1個
トマト……小3〜4個
ニンニク……4〜5片
パセリ……少々

【作り方】
すべての野菜をよく洗い、一口大に切る。ジャガイモは皮をむかない。タマネギとニンニクは皮をむき、真ん中で切って中心部の芽の部分を取り除く。芽には毒性があるのでスープに入れないこと。

切った野菜をすべて鍋に入れ、野菜の3分の2が隠れるくらいまで水を注ぐ

蓋をして沸騰するまで強火で煮る。沸騰してきたら弱火にして、約2時間煮込む

煮込み終わったら、スープを冷ます

「健康食」として食べる場合は、冷ましたスープをミキサーなどを使用して滑らかにしてもかまわない。ただし、あまりなめらかにし過ぎないこと

「ガン治療食」として食べる場合は、スープをザルなどに入れて裏ごしする。ザルに残った皮や繊維などは捨てる

できあがり!

【 基本の飲み方 】

「長生き野菜スープ」は1日2回、昼と夜に飲みましょう。健康食として飲む場合は、1日1回だけでもOKです。

午前中は「排泄」の時間なので、朝食には消化の必要のない、すぐにエネルギーになるものを摂取し、昼から夜は「消化」「吸収」の時間と考え、体の材料になるものを摂取します。だから「長生き野菜スープ」は、昼と夜に飲むのがいいのです。

そのまま温めて飲んでもいいし、料理に使用してもおいしいです。1回に飲む量の目安は、スープカップ1杯程度(200〜240ml)です。保温ポットなどに入れて携行してもOKです。

【 保存方法 】

「長生き野菜スープ」は、2日(48時間)くらいなら冷蔵保存が可能です。密閉容器に移して、冷蔵庫に入れ、保管してください。

それ以上なら、冷凍庫で保管するといいでしょう。1食分ずつ小分けにしておくと便利です。

がん患者さんが「治療食」として食べる場合は、2日に1度スープを作るのが基本です。冷凍すると、野菜の細胞内の水の体積が増え、細胞破壊が起こって栄養価が落ちるためです。健康食ならいいのですが、治療食では冷凍はNGと考えてください。

加齢臭や水虫まで悩みが一掃された

私自身、ヒポクラテススープで健康を取り戻すことができました。

スープを飲む前、私は最大血圧が160mmHg、最小血圧が100mmHgあり、一時は降圧剤を服用していました(基準値は最大血圧が135mmHg未満、最小血圧が85mmHg未満)。スープを飲み始めて2カ月後、最大血圧が120mmHg、最小血圧が70mmHgと基準値内まで下がりました。

肥満も解消できました。血圧が正常になっていくのと同時に、78kgあった体重が62kgになりました。なんと、16kgもやせたのです(身長は170cm)。

また、以前の私は尿酸値も高く、7mg/dlを越えていました(正常値は7mg/dl以下)。スープを飲んで1年で5mg/dl台の前半まで下がりました。尿酸値が高かったときは、痛風の発作に見舞われることがあり、身動きできないほどの痛みに苦しみました。つらい症状から解放され、ほんとうにうれしかったです。

また、かつては妻から「息を吐くとオジサン臭がする」と指摘されていました。老化による酸化臭といわれるものです。シャツにはシミがつき、妻はシャツを煮るまでしていましたが、今はまったくにおいません。

足の水虫も解消しました。診察中、足の指がかゆくてたまらず困っていたのでホッとしています。

私だけではなく、妻にも大きな変化がありました。

毎年花粉症で悩んでいましたが、スープを飲み始めて1年ほどで症状が出なくなりました。

腸が弱く、冷たいものをとると腹痛や下痢に見舞われたり、便が細かったりしていました。こうした腸のトラブルも、スープを飲みはじめて瞬く間に解消しました。シミやくすみがなくなり、髪まで増えて、妻はすっかり若返りました。

ヒポクラテススープを飲めば、年齢を重ねてからでも体は変わる。病気が治る。自分で経験しているからこそ、皆さんに自信を持ってスープをお勧めすることができます。

ヒポクラテススープには、野菜に含まれる「ビタミン、ミネラル、たんぱく質、糖質、脂質」の5大栄養素のほか、植物に特有の機能性成分である「ファイトケミカル」や「食物繊維(水溶性食物繊維)」がしっかりと溶け出しています。

特に重要な効果は、病気の引き金になる”ミネラルバランスの乱れ“を解消することです。ミネラルバランスが回復すると、エネルギーの生産も円滑になり、体内の解毒も進んで、次第に病気が治っていきます。

もちろん、「今は特に病気ではないが、健康を維持したい」というかたにもお勧めです。毎日の食事にスープを取り入れることで、さらに体調がよくなり、健康を保つことができるでしょう。

この記事は『ゆほびか』2020年1月号に掲載されています。

 

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