【目にいいレシピ】涙や眼球の質をよくする眼科医推奨の「サバタマカレー」の作り方

美容・ヘルスケア

涙はただの水ではなく水分の層と脂分の層があります。脂分の層が涙の最も表面にあることで水分が蒸発しにくくなり、乾燥から目が守られているのです。普段の食生活で良質の脂分をとる方法の一つが「サバタマカレー」。サバ缶に加えてタマネギとホウレンソウを使います。【解説】平松類(二本松眼科病院医師・医学博士)

解説者のプロフィール

平松類(ひらまつ・るい)
二本松眼科病院医師・医学博士。昭和大学医学部卒業。昭和大学病院、彩の国東大宮メディカルセンターなどでの勤務を経て、2018年より現職。緑内障手術トラベクトーム指導医。テレビ、雑誌、新聞などでの医者任せにしないための医療解説に定評がある、一般向けの著書も多く、新刊『眼科医がすすめる目の不調を感じたら毎日食べたい料理(KADOKAWA刊)が好評発売中。

目にいい栄養素や食材を勧めてきた

私が勤務する眼科専門の病院は、入院施設を併設しています。医学治療が基本ですが、入院中の患者さんの病院食については、目の健康に役立つという観点からもアドバイスをして、栄養士にメニューを考えてもらっています。

また、通院の患者さんにも、7~8年前から、目によい栄養素や食材を勧めてきました。

最初の段階では栄養素だけを紹介していたのですが、「では、その栄養素はどんな食品に含まれているのですか?」と聞かれ、今度は食材を紹介すると「それは近所のスーパーでは売っていませんでした」と、実行するには難しいという声が患者さんから返ってきました。

その結果、「普通のスーパーで安く買える」「安く入手できる」「手軽で、火をあまり使わずに調理できる」などを考慮しながら、勧める食材や料理を選ぶようになりました。その一つが「サバ缶」です。

サバ缶の脂肪が涙の質をよくする

栄養価が高いとブームになり、今やほとんどのスーパーで安く買えます。そして、缶詰なので長期保存ができ、面倒な下ごしらえも不要です。

何より、目にとって大切な栄養素であるDHA(ドコサヘキサエン酸)が、サバには豊富に含まれています。ちなみにDHAは脂肪の成分の一つで、常温下では液状であるという性質があります。

脂分は、私たちの目を覆って保護している涙の質に影響を与えます。

涙はただの水ではなく、水分の層と脂分の層があります。脂分の層が涙の最も表面にあることで、水分が蒸発しにくくなり、乾燥から目が守られているのです。

一方で、脂の質も重要です。常温で固まってしまう脂分ではきれいな層を形成しにくいだけでなく、涙を分泌するまぶたがゴツゴツと不快に感じられることもあります。

一方、DHAは常温では液体なので、こうしたことが起こりにくく、涙の質を高める点において効果的といえます。

年齢が高くなるほど脂分の少ない食事になりがちなので、普段の食生活で意識的に良質の脂分をとる必要があります。

そのための一つが、「サバタマカレー」です。サバタマカレーは、サバ缶に加えて、タマネギとホウレンソウを使います。

皆さんもご存じの通り、目はとても小さな器官です。目の中に酸素や栄養などを送る血管は非常に細く繊細です。そのため血流障害のトラブルが起こりやすく、見えにくさや目の病気につながっていきます。

血液をサラサラにする代表的な食材が、タマネギです。辛味成分の硫化アリルには、血管を広げて、血液が固まって血栓(血液の塊)ができることを防ぐ効果があるといわれます。

そしてホウレンソウには、カロテノイドという色素成分の一種であるルテインが含まれています。ルテインは抗酸化物質で、細胞を傷つける活性酸素の害を取り除きます。

そして、ルテインには「目に集まる」という特徴があるので、目の健康のためにぜひとりたい成分です。冷凍のホウレンソウを使えば、1年中手に入る上、ゆでる手間も省けます。

食事を変えたらドライアイが解消

サバタマカレーの効果は、涙の質が改善されるだけではありません。

眼球は皮膚と同じように新陳代謝で細胞が入れ替わり、日々生まれ変わっています。食事の改善で血流が促進されて目に酸素や栄養が行き渡ると、健康な細胞が作られるようになり、1ヵ月ほどで眼球の質そのものも改善します。

実際に患者さんを診察していると、食事を変えたことでドライアイなどが解消したり、眼球の状態が改善したりしていることが確認できます。

目の状態や病気の治り方には、普段の食事が大きく関わります。目の健康に役立つ食材をどんどん取り入れて、毎日を気持ちよく過ごしてください。

平松先生一押し! 目に効くサバタマカレーの作り方

【材料】(2人分)
サバ水煮缶…1缶(約190g)
タマネギ(薄切り)…1/4個
冷凍ホウレンソウ…100g
ショウガ(すりおろし)…1かけ分
温かいご飯……茶わん2杯分
[合わせ調味料]
白ねりゴマ…大さじ2
カレー粉…小さじ2
ウスターソース…小さじ1
塩・コショウ…各少々
水…3/4カップ

【作り方】
耐熱ボウルにサバ缶を汁ごと入れ、大きめに身をほぐす。その上にタマネギ、ホウレンソウ、ショウガをのせ、合わせ調味料を加える。
ラップをピッタリかけてから、ボウルの端を少しだけ開け、600Wの電子レンジで約7分加熱する。
ラップを外してサバが崩れないよう全体を軽く混ぜ、ご飯といっしょに器に盛って完成。

レシピ考案:伊藤晶子「ほうれん草とさば缶のゴマカレー」
出典『眼科医がすすめる目の不調を感じたら毎日食べたい料理』平松類監修、KADOKAWA刊

この記事は『安心』2020年1月号に掲載されています。

 

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