ここのところ、キッチン家電を中心に「ある動き」が活発になっています。それはシリーズ化販売です。総合家電、専門家電はもとより、スーパーのプライベート家電に至るまでデザイン性を統一した家電シリーズが登場しています。今回は各メーカーのデザインシリーズをレポートします。

今までのデザインシリーズ

デザインシリーズは、低価格帯でよく使われる手です。
低価格帯の商品は、低価格であるが故に、差別化があまりできません。このため機能を訴求しようにしても、半端なものに終わる場合が多い。最低限のことはできるのですが、際立った特徴がないと言うことです。

こんな時便利なのがデザインです。悪口を言うわけではありませんが、ものには必ず形があります。この形を特徴とするわけです。どんなデザインにせよ、新デザイン(形状)は製品化時、必ずお金がかかります。意識しても、意識しなくてもお金が掛かります。そのお金のかかる部分を、特徴としてしまえ、と言うわけです。

ただ、その場合、特徴として一芸に秀でているわけではありませんので、やはりどんどんみすぼらしくなっていく。それが、昔のデザインシリーズでした。デザインのためのデザイン。箔をつけるためのデザインといっても良いでしょう。

あまり人に勧められるものはありませんでした。

旬のデザインシリーズ

旬のデザインシリーズは、これと随分違います。10年前と今では、同じ家電がずいぶん安くなりました。それは、市場がグローバル化されるほど、同じ技術で作られるものなら、安くなっていくからです。テレビなどは典型例。テレビは、デジタル製品ですから、もはや差が極めてつきにくい家電になります。こうなると、中国、台湾などは、とても有利です。日本メーカーは、大画面、高画質で差別化するしかないのですが、パネルと言う基礎の部分を、海外から買っている分だけそんなに差は縮まりません。

逆の言い方をすると、今は安い家電でも、それなりの性能を出してるといえます。しかしそれでは勝てない。このため旬のデザインシリーズは、単独で勝負できる特徴を持ったものを、デザインシリーズとして組み込む傾向にあります。ただ単に、デザインのためのデザインではなく、機能とデザインを融合、そして生活の質を向上させる。昔とかなり違う様子のものが多いです。

象印の「スタン」

画像: STAN. by zojirushi www.zojirushi.co.jp

STAN. by zojirushi

www.zojirushi.co.jp

象印の「スタン」は、電気ポッド、コーヒーメーカー、IH炊飯ジャー、ホットプレートからなる、黒が基調のデザイン家電です。元々総合家電メーカーではありませんが、テーブルの上で使う家電は一通り持っています。と言うより、そこが得意分野。使いながら食事することを想定しているので、品に溢れた気持ちのイイ製品となっています。機能も、必要なモノは必ず付いていますし、味のこだわりも十分あります。

2020年には、これに白モデルの電気ポッド、IH炊飯ジャーが追加されました。予定を上回る販売実績とユーザーの強い要望が後押ししてくれたとのことです。

シャープの「PLAINLY」

画像: PLAINLY jp.sharp

PLAINLY

jp.sharp

シャープは、どちらかというと技術を集中させ、市場に名を残してきたメーカー。有り体に言うと、販売している製品の善し悪しの差が大きなメーカーでした。例えば、キッチン家電で言うと突出しているのは、過熱水蒸気の「ヘルシオ」だけと言った方が良かった時もありました。が、最近では、冷蔵庫、ホットクックなども良くなってきており、最近では炊飯器の質がグンと向上してます。実は、先般レポートした、KS-CF05Bは、このシリーズの炊飯器です。

PLAINLYのテーマは「ここちよさ」。これを「シンプル」として商品に落とし込んであります。「シンプル」なデザイン。「シンプル」な機能。欲張らない。余り使わない機能は省く。それでも、自社の特徴技術は入れ込むという感じです。オーブンレンジ、単機能レンジ、IHジャー炊飯器、ガラスドア冷蔵庫の4点から成りますが、オーブンレンジ、単機能レンジは、どちらかを選ぶことになるので実質3機種。色は、白、黒、双方あるシリーズ構成。

典型例として冷蔵庫をあげましょう。シャープ独自の「つけかえどっちもドア」が付いています。137Lの小型冷蔵庫なので、狭いキッチンでも、置き場はいろいろと考えられるわけですが、その都度、開く方法を気にしなくてもイイのは楽です。

アイリスオーヤマの「BLACK LABEL」&「WHITE LABEL」

画像: 「BLACK LABEL」&「WHITE LABEL」 www.irisplaza.co.jp

「BLACK LABEL」&「WHITE LABEL」

www.irisplaza.co.jp

元気いっぱいのアイリス・オーヤマは、冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、オーブンレンジ、スチームトースター、電気ケトル、全自動コーヒーメーカー、スティッククリーナーの8機種を、同じ色でまとめた「BLACK LABEL」&「WHITE LABEL」を展開しています。

社会人が新生活を送るにあたって、余り不自由しない品揃えです。後発メーカーである同社が、総合家電メーカー並みのラインナップを持ったことを意味します。「なるほど家電」は同社のキャッチフレーズであり、皆、それなりの特長を有していますが、その分、デザイン共通化のオリジナリティーがやや薄いところがあります。とはいえ、これだけ広範囲の商品を展開できるのは同社の強みです。

ツインバードの「ibistory(アイビストリー)」シリーズ

画像: ibistoryシリーズ www.twinbird.jp

ibistoryシリーズ

www.twinbird.jp

逆にツインバードの「ibistory」シリーズは、規模がとても小さい。電子レンジ、オーブンレンジが対象です。それは「ミラーガラス」をデザインの特長としているからです。ミラーガラスを活かすためには、ある程度大きな平面を持つ家電が対象となりますが、冷蔵庫クラスになると、大過ぎることもあり商品としては成立させにくい。このため、対象範囲が少ないのです。

デザインは「嗜好」なので、いかに突拍子のないデザインでも、一人は支持者がいるとされます。今、デザインの体制は、黒に傾きつつあるが、このように独自路線をアッサリ消さずに頑張っていることは嬉しい。

まとめ

あと思えば、「あのころあんなことが流行っていて、自分もやっていた」というのは、ある種貴重な想い出。流行に乗って、今ドキの家電で黒揃えしてみるのも一興かも。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。

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