家庭で使うメディアでいうと、BDやDVD、CDが一般的。BD-Rなどの一般的な書き込み型光ディスクの場合、寿命は10〜30年。今は、長期保存に特化したM-DISCというメディアがあり、寿命は100〜1000年。ただしM-DISCに限らず、デジタルメディアはドライブがないと読み出せないので注意だ。
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最も長期間、データを保存できるのは何?
読者から質問
国、一般企業、さらにはテレビ局などのデータ保存で、最も長期にわたって保管可能な、いちばん信頼できる方法は何でしょうか?
今まで、書類などの紙のほか、デジタルならフロッピーディスク、DVD-R、HDD(ハードディスクドライブ)など、次から次へとデータを移さなければなりませんでした。
半永久的に保存できる記録媒体はないのでしょうか? (T.Mさん 千葉県 45歳)
専門家の回答
編集部:
こちらの質問は、フリーライターの福多利夫さんに聞きましょう。
専門家:
家庭で使うメディアでいうと、BDやDVD、CDが一般的ですね。BD-Rなどの一般的な書き込み型光ディスクの場合、寿命は10〜30年といわれています。
SDカードなどのメモリーカードは5〜10年、HDDは3〜5年とかなり寿命が短いです。近年、HDDの代替として普及してきたSSDも中身はメモリーチップなので、寿命は10年程度でしょう。
企業がサーバーに集約したデジタルデータを長期保存(バックアップ)する場合、磁気テープを使うことが多いようです。テレビ局でも収録に使ったビデオテープをそのまま保管していることが多いと思われます。
磁気テープの寿命は約10年といわれていますが、企業やテレビ局などは温度・湿度の管理、紫外線の遮断など、環境管理が行き届いた保管庫があるので、50年ぐらいは耐えられます。
技術的な面から見ると、1990年代にある程度普及したMOディスク(光磁気ディスク)は、レーザーで磁界の向きを変える書き込み方式を採用しており、50年程度の寿命があります。
しかし、すでにドライブの製造は終了しているので、今からMOを使うというのは、現実的ではありません」
編集部:
やはり、長期保存は磁気テープが強いのでしょうか?
専門家:
「いや、今は、長期保存に特化したM-DISCというメディアがあり、これは100〜1000年の寿命があるとされています。
M-DISCはメディアの形状や読み出し方式はDVDやBDと同じものですが、記録面が金属層になっており、レーザーを使って物理的に凸凹を生成します。
記録面が劣化しにくいので、データの保持性が非常に高いのが特徴です。
記録にはM-DISC対応のドライブが必要ですが、読み出しは通常のDVD/BDドライブで行えます。一般家庭のデータ長期保存は、これが本命です」
編集部:
M-DISCには弱点はないのでしょうか?
専門家:
「M-DISCに限らず、デジタルメディアは、ドライブがないと読み出せません。
DVDやBDが読み出せるドライブがもう100年程度で消滅するとも思いませんが、永遠に読めるという点では、アナログメディアにかなわないでしょう。
文書や写真は紙に印刷してアルバムを作り、温度・湿度を管理すれば、100年は余裕で保存できるでしょう」
編集部:
そうなると、アナログ保存も選択肢に入れたほうがいいですね。ありがとうございました!
文/特選街編集部