最近は、少人数世帯が増えていることで、その状況が変わりつつある。厚生労働省の調査(2018年)によると、全国における単身者・二人暮らし世帯は、全体の約60%。大きくて多機能なものではなく、コンパクトで使いやすい製品の需要も、確実に高まっているという。
目指せ!家電選びの達人今回の家電は「少人数世帯向け 小型家電」
コンパクトかつデザインが上質で、価格も手ごろなタイプが登場し、注目度大!
進学や就職などで新生活がスタートする春先は、リーズナブルでコンパクトな家電が売れる季節。そんな中、少人数世帯向けの「ちょっといい家電」が注目されている。シンプルながら基本性能を押さえていて、誰でも使いやすい。そんな家電が今、広がりを見せている。
監修者のプロフィール
中村剛(なかむら・つよし)
「TVチャンピオン」スーパー家電通選手権で優勝の実績を持つ家電の達人。家電製品総合アドバイザー、消費生活アドバイザー。東京電力「くらしのラボ」所長。現在、暮らしに役立つ情報を動画(facebook)で配信中。
少人数世帯向けが続々登場
小型で使いやすい製品の需要が高まっている
これまでの家電は、ファミリー向けの大型タイプが主力で、少人数用は二の次というイメージがあった。
実際、小型家電は、こだわりやデザイン性といった観点よりも、コストパフォーマンスが重視されているものが少なくない。
しかし最近は、少人数世帯が増えていることで、その状況が変わりつつある。
厚生労働省の調査(2018年)によると、全国における単身者・二人暮らし世帯は、全体の約60%。大きくて多機能なものだけでなく、コンパクトで使いやすい製品の需要も、確実に高まっているのだ。
最近は、その時流に乗り、コンパクトで上質なデザインながら、価格も手ごろというタイプが登場している。
暮らしの中で使う家電は、高機能というだけではなく、やはり使い勝手のこだわりや見た目のよさも、重要なポイントだ。
今回は、そんな要素もカバーした「ちょっといい家電」を集めてみた。
新生活向けの2シリーズ
必要最小限の機能でデザインの統一感も上々
まず、シャープのPLAINLY(プレーンリー)。昨年末から展開しているシャープの新しいシリーズ家電で、「心地よく暮らす」をテーマに、部屋のインテリアに調和するようなシンプルなデザインで統一されている。機能を必要最小限とすることで、使いやすさと手ごろな価格を実現しているのも特徴だ。
■シャープ
PLAINLY
「毎日をもっと心地よく」をコンセプトにしたキッチン家電シリーズ。すっきりとしたたたずまいで、どんな空間にも調和する上質なデザインを目指した。ラインアップは、冷蔵庫、オーブンレンジ、単機能レンジ、炊飯器。それぞれブラックとホワイトの2色を用意。
ラインアップは、オーブンレンジ、単機能レンジ、IH炊飯器、冷蔵庫だが、中でも注目されているのが炊飯器だ。
もちもち感を生む圧力機能を思い切って省き、コストを削減する一方で、水加減の工夫により、おいしさを追求。
「炊飯器の神様」といわれるレジェンドが開発を手がけ、約2万円という低価格ながら、食感にこだわった一台に仕上げた。
IH炊飯器
シャープKS-HF05B
実売価格例:2万680円
「炊飯器の神様」がプロデュース。低価格とこだわりの味を追求
「炊飯器の神様」と呼ばれる下澤理如(しもざわまさゆき)氏がプロデュース。吸水時の水温度と時間をコントロールすることで、おいしい食感を追求。2万円台の低価格とこだわりの味を両立させた。
また、冷蔵庫は、137リットルと小型サイズながら、高級感のあるガラスドアを採用。ガラスドアは、従来は上位機種に取り入れられていたもので、小型クラスでは異例の搭載だ。冷蔵庫は、単機能になるほどチープ感が増していく傾向があるので、この選択肢は新しい。ドアに入っているメーカーのロゴが不要だと思えるほど、インテリア性の高い仕上がりとなっている。
冷凍冷蔵庫
シャープSJ-GD14F
実売価格例:6万2800円
ドアはガラスを採用。左右開閉の付け替えも可
強化ガラスで、傷がつきにくい高品位ガラスドアを採用。ドアは左開き、右開きに付け替えができ、引っ越しや模様替え時に便利。プラズマクラスター搭載で、除菌されたクリーンな冷気が庫内を循環、衛生面をサポートする。
単機能レンジ
シャープRE-TF17S
実売価格例:1万7810円
フラット庫内は皿が入りやすく、手入れも簡単
フラット庫内は、大きめの皿が入りやすく、手入れが簡単。加熱時の水蒸気の量を検知する絶対湿度センサー搭載により、市販の冷凍パスタなども自動でちょうどよく温められる。
同じく、シリーズでそろえているのが、ハイアールのURBAN CAFE SERIES(アーバン カフェ シリーズ)だ。こちらは、炊飯器や電子レンジ、冷蔵庫に加え、洗濯機や掃除機などもラインアップしている。
■ハイアール
URBAN CAFE SERIES
「くつろぎをデザインしよう。」をテーマに、家電にもデザイン性を求める20~40代をメインターゲットとしてラインアップ。ステンレスのシルバーを基調にしたスタイリッシュなデザインと手ごろな価格で、心地いい空間作りをサポートする。
いずれも、ステンレス調のシルバーとブラックを用いたスタイリッシュなデザインで、PLAINLYとはまた違った趣がある。ステンレスは、鏡面加工を避け、指紋の汚れや傷がつきにくくなっているので、気兼ねなく日常使いできる。
注目は冷蔵庫で、冷凍室の容量が大きく、まとめ買いや作り置きの冷凍保存に便利。そのつど料理するより、まとめて作るほうが効率的という、一〜二人暮らしのライフスタイルに即している。
冷凍冷蔵庫
ハイアールJR-XP2NF173F
実売価格例:4万9200円
54リットルの大容量冷凍室を搭載
54リットルの大容量ボトムフリーザー(冷凍室)を搭載。冷凍室には透明な3段ケースの「区っ切り棚」を搭載し、食品の整理や取り出しがしやすい。冷蔵室には、重い物を載せてもたわまない「強化ガラストレイ」を採用している。
洗濯機は、同じデザインの製品で、機能と価格が違う2タイプを用意しているのがユニーク。低価格なノンインバータータイプと、静音性を確保したインバータータイプを、生活環境に合わせて選択できる。
全自動洗濯機
ハイアールJW-XP2C55F
(しわケアタイプ)
実売価格例:3万580円
全自動洗濯機
ハイアールJW-XP2CD55F
(低騒音タイプ)
実売価格例:4万3800円
「しわケア」と「低騒音」の2タイプを用意。実用的な機能も装備
同じ容量と同様のデザインで、「しわケア」と「低騒音」の2タイプを用意。いずれも、最短約10分で洗える「お急ぎコース」や、衣類のシワを抑える「しわケア脱水」、洗浄力の高い「高濃度洗浄機能」など、実用的な機能を装備している。
調理家電も多彩なアプローチ
同時調理、自動かき混ぜなど、お任せで使える
調理家電も充実しており、用途で選べるようになってきた。
例えば、タイガー魔法瓶のtacook(タクック)は、これから自炊を始めようという人に向いている炊飯器だ。
付属のプレートを使えば、炊飯時の蒸気を利用しておかずの調理もできて、一石二鳥。
炊飯のついでに材料をセットするだけなので、料理のハードルが低くなっている。
ご飯を炊かないときは、上下2段でおかず作りも可能だ。
最低限のスイッチ以外は扉で隠され、インテリア性にも配慮。炊飯器というより、CDコンポっぽいデザインで、生活感を払拭している。
手ごろな価格で、ここまで気を遣っている点が好ましい。
マイコン炊飯器
タイガー魔法瓶
JAJ-G550
tacock(タクック)
実売価格例:1万2470円
内鍋にクッキングプレートをセットしてご飯とおかずが同時に作れる
内鍋にクッキングプレートをセットして使う、二重構造の炊飯器。別の鍋でおかずを作る手間が省けるため、時短と節電に役立つ。穴のないクッキングプレートなので、おかずの汁がご飯に垂れず、ニオイ移りを防いでいる。
一方、象印マホービンの4合炊きは、子供が巣立ったシニア夫婦世帯にもフィットする。二人で5.5合炊きは大きいが、子供や孫の来訪を考えると、3合炊きでは心もとない。そんな状況下で、バランスよく使えるモデルだ。
本体は、3合炊きと変わらない大きさの省スペース設計。フラッグシップモデルの性能をそのまま保持しており、満足度の高いご飯を炊くことができる。
圧力IH炊飯器
象印マホービン
炎舞炊き
NW-ES07
実売価格例:8万8660円
大好評「炎舞炊き」の4合炊きタイプ。大火力で甘みともちもち感を引き出す
フラッグシップモデルで大好評「炎舞炊き」の4合炊きタイプ。独自の構造を用いることで、大火力を踏襲しつつ、コンパクト化を実現した。好みに応じて81とおりの食感に炊き上げる人気機能「わが家炊き」メニューも搭載。
また、「ほったらかし調理」で話題のシャープのホットクックも、少人数用をリリース。構造の見直しにより、一人分の少量調理もできるようになった。
ホットクックの特徴は、調理中にかき混ぜ棒で自動かくはんし、味をしみ込ませる点。
調理中は、かき混ぜ棒の抵抗で食材の状態を判断し、混ぜる力やタイミングを制御。煮崩れを防ぎ、仕上げの美しさにこだわった調理ができる。
予約調理やスマホとの連係ができるハイテクな一面もあり、男性からの注目度も高い。
電気調理鍋
シャープ
ヘルシオ ホットクック
KN-HW10E
実売価格例:4万1170円
食材や調味料をセットするだけで、自動で加熱を調整してくれる無水調理鍋
食材や調味料をセットするだけで、加熱温度や時間を自動調整する無水調理鍋。従来モデルに比べ、設置幅を大きく削減した。クラウドサービス「COCORO KITCHEN」との連係で、自動メニューが増やせる。
最後に、スティック掃除機も、少人数世帯には有用なアイテムといえる。軽くて使い勝手のいいモデルを用意しておくと、ちょっとした掃除に便利だ。
パナソニックの小型モデルは、そんな使い方にぴったりな一台。
本体は折り畳み傘のようなサイズ感で、重さは約500グラム。
ストラップ付きで、壁に吊り下げておけるので、汚れが気になったときにさっと持ち出して使える。
書斎や洗面所、トイレなどに備えて、専用機にしてもいいだろう。
スティック掃除機
パナソニック
MC-SBU1F
実売価格例:1万4440円
コンパクトなのでフックに吊り下げておける
コンパクトハンディとスティックの2ウエイ掃除機。先端のノズルは、手首のひねりに合わせて、縦や横に角度が変化する。高性能な小型モーターにより、細かいホコリもきれいに吸引。車に積んでおいても重宝する。
まとめ
選択肢が豊富なファミリー向け家電に比べ、種類が少なく、どこかを妥協しながら選びがちだった小型モデル。
しかし、家電全般において、主力の購買層が少人数世帯にシフトしてきたことで、メーカーもこのゾーンの開発に本腰を入れてきた印象だ。
今回紹介した製品は、思わず欲しくなる"商品力"を持っている。毎日使うものなので、納得のいく一台を手にして、気持ちよく暮らしていただきたい。
※価格は記事作成時のものです。
取材・執筆/諏訪圭伊子(フリーライター)