次亜塩素酸を放出する空間清浄機「ジアイーノ」が今人気で数ヶ月待ち。中には、手に入らないからと出てきたのが手持ちの「加湿器」で代用する人もいます。しかし、自前の加湿器に消毒薬を入れて使う行為は危険で、絶対にしてはなりません。この手の話は、トラブルが起こってからでは遅いので、分かっている人がほとんどであると思いますが、あえてここで話をさせていただきます。ここでは、消毒薬と加湿器の関係についてレポートします。

加湿器の間違った使い方

次亜塩素酸などを自前の加湿器に入れる行為は危険

以前、特選街webでも紹介したパナソニックの空間清浄機「ジアイーノ」は、次亜塩素酸を放出し、細菌を殺したり、ウイルスを不活性化したり、臭気を除去できる家電です。今大人気で、数ヶ月待ち。

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そんな時、自分が持っている加湿器に消毒薬を仕込み、同じ様に使いたいと言う発想が出てきますし、知り合いで実行している人もいます。

しかし、それはすこぶる危険な行為なのです。同じ次亜塩素酸なのに何故?机、ドアノブ用の消毒薬は、次亜塩素酸ナトリウムを含むハイターなどから作ってもイイと、経産省がネット報道しているのもネット報道しているのにですが、どこが違うのでしょうか?

皮膚と呼吸器は外部の影響を受けやすい

次亜塩素酸は「化学物質」

「次亜塩素酸」は、いろいろなところに使われます。まず大きなのは水溶液の「次亜塩素酸水」。これは食品の消毒毒剤として使われます。効果があるのと、残留が極めて小さいので、極めて安全な消毒薬として認識されています。また「次亜塩素酸ナトリウム」溶液(ハイターなどの成分)は、漂白剤、消毒剤としても使えます。

いずれの場合も、活躍するのは、次亜塩素酸に含まれる塩素です。効果の有無は濃度によりますが、使う場合はph(ペーハー)にも注意が必要です。人も細菌も生物です。細菌を殺せるということは、使い方によっては人も殺せると言うことです。薬は用い方によっては毒にもなるし、毒は薬にもなります。また、強酸、強アルカリに人体は耐えられません。

次亜塩素酸というのは、そんな化学物質なのです。薬にも(=人間に有意義にも)、毒にも(=人間に有害)にもなる化学物質なのです。ちなみに、「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム」と2種類あるのは、安定度の問題です。次亜塩素酸水は数ヶ月も持ちませんが、次亜塩素酸ナトリウムは2〜3年持ちます。

また、これに関しては、もう一つのポイントがあります。
それは接触部位です。人体のほとんどは皮膚で覆われています。皮膚はいろいろなモノから、人体を守る役割をします。このため、少々きつい消毒薬でも、すぐ洗い落とせば、ウイルスのみをやっつける事ができるわけです。ただし、アルカリ溶液は皮膚をおかします。経産相がモノには使えても、指先洗浄には使えないとしたのは、そう言うわけです。

しかし、皮膚で覆われていないところで、外の影響を受けやすいところがあります。呼吸器です。鼻孔であり、気管であり、肺です。外とつながっている上、空気の行き来がありますので、中を護るのは粘膜、粘液です。しかも肺などは酸素分子と二酸化炭素分子の入れ替えをします。繊細な所が剥き出しですなのです。化学物質に対し、呼吸器はすこぶる弱いのです。

画像: 次亜塩素酸は「化学物質」

濃度をただ希釈すればいい訳ではない

「メーカー保証」とは

このためジアイーノが使っている次亜塩素酸は、トレー内で約10ppm、空気中では0.1ppmという濃度です。また、phは8.5と中性よりのかなりの弱アルカリです。

画像: panasonic.jp
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では除カビスプレーは、どれくらいかというと、約1000ppmです。要するにすごく希釈しないと、人体に影響を及ぼす可能性があるという事です。その上、アルカリ性。希釈しても、手指ならともかく、呼吸器には厳しいと言えます。

そのうえ、この濃度、phを決めるのは、安全よりに振りながら、テスト、テスト、テスト。これはパナソニックの次亜塩素酸だけでなく、シャープのプラズマクラスターイオンも同じです。要するに効果と安全性のバランス確認です。こう書くと、さほどでもない様ですが、何度となくテストを繰り返しますので、実に手間がかかります。メーカー保証というのは、その積み重ねです。

もし、ユーザーがメーカー指定でないことをした場合、メーカーは手も足も出ません。トラブルが起ってもサポートできません。このため、マニュアル通りに使って欲しいと再三再四お願いするわけです。

素材が持たない可能性も

また、強引に指定以外の消毒剤を使った場合、使用している素材が持たないこともあります。いい例が、ガラスなどはアルカリに弱いです。ガラスではありませんが、装置の水槽が侵されたりもするわけです。

しかも空中に何がを噴出する場合は、これに加えて他の家電を犯す可能性があります。例えば、空調家電の半分は、熱交換器(ヒートポンプ)を持ちます。使っているのは熱伝導製がいい銅などです。銅などは次亜塩素酸などに侵され易い。実際メーカーによっては、それに対し保護構造を採用しています。これは一見、よく考えられており感心しますが、コストはかかるわけです。この様に、空気中の化学物質は問題が多いのです。

このため、加湿器に適当な消毒剤を薄めて、使用するのはすこぶる危険な事なのです。

まとめ

家電の「代用」は注意が必要

未曾有の災害、コロナ禍を凌ぎ切るため、手作りマスクから始まり、代用品で凌ぐこという文化が芽生えつつあります。

しかし、家電に関しては、いろいろな事が複雑に絡み合っていますので、それが通用しない事があります。自分で考えてマニュアル以外の使い方をする場合は、必ず、メーカーに問い合わせるか、お勧めしませんが、自己責任でお願いします。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。

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