梅雨に入り、高温多湿の毎日が続いています。今年は特に、新型コロナウイルス感染拡大に伴う生活の変化もあり、不眠や食欲不振などに悩むかたが多いのではないでしょうか。なかなか寝つけなかったり、眠りが浅かったりすると、日中のパフォーマンスも下がります。また、蒸し暑くて食欲がないからといって、冷たいものばかりを食べていると、ますます体調不良に拍車がかかります。その悪循環を断ち切るべく、不眠と食欲不振に効くツボを、倉敷芸術科学大学客員教授の内田輝和先生に教えていただきました。
【解説】内田輝和(倉敷芸術科学大学生命科学部健康科学科客員教授・鍼メディカルうちだ院長)
解説者のプロフィール
内田輝和(うちだ・てるかず)
1949年、岡山県生まれ。70年、関西鍼灸柔整専門学校卒業。74年、鍼メディカルうちだ開業。79年、岡山大学医学部麻酔蘇生学教室東洋医学研究班入局。87年、関西鍼灸短期大学非常勤講師として東洋医学を担当。95年、鍼メディカルうちだ東京治療院開業。2013年、倉敷芸術科学大学生命科学部健康医療学科教授に就任。現在は同大学客員教授。岡山県鍼灸師会会長。岡山県武術太極拳連盟会長。
▼鍼メディカルうちだ(公式サイト)
▼岡山県鍼灸師会(公式サイト)
不眠の原因は脳の機能低下
脳の前頭葉が疲れきって眠れない
梅雨入りから秋口にかけての日本は、高温多湿で寝苦しい日が続きます。
また、私たちの脳は常にストレスにさらされ、疲労が蓄積しています。大脳において、主に思考や判断、行動をつかさどるのが前頭葉です。ここが疲労して機能低下を起こすと、もの忘れが増えたり、感情的になったり、やる気がなくなったりするといわれます。
不眠の人は、脳の前頭葉が疲れきっているケースが少なくありません。寝床に入ってから、「考えてもしかたのないことを長々と考える」のも、前頭葉がうまく機能せず、思考力や判断力が鈍っている証拠です。
あらゆるタイプの不眠に効く
不眠に効くツボは、足のかかとの中央にある「失眠(しつみん)」が有名です。ただ、寝床に入ってからかかとを押したりもんだりするのは、なかなか大変でしょう。
そこで今回は、額にある「不眠点(ふみんてん)」というツボをご紹介します。不眠には、「寝つきが悪い」「途中で目が覚める」「早朝に覚醒する」「いくら寝ても寝た気がしない」など、さまざまなタイプがありますが、不眠点は前頭葉の疲れを取って眠りを誘うため、あらゆるケースに対応します。
不眠点の探し方と押し方
不眠点は、額のほぼ中央にあります。眉間から前髪の生え際までの中間で、左右中央です。
不眠点のツボに手の中指を置き、円を描くように1~2分間押しもみしましょう。強く押さずに、優しくなでるような気持ちで刺激します。寝る前に行うと効果的です。
胃腸と肝臓の働きを整えるツボ
二日酔いや低気圧による頭痛にも
手のひらにある「魚際(ぎょさい)」は、胃腸や肝臓の働きを整えるツボとして有名です。梅雨バテによる食欲不振にはもちろん、二日酔いの特効ツボとしても、よく使われます。
患者さんが頭痛を訴えて来院したとき、カゼや目の疲れが原因の場合は、手首にある列欠(れっけつ)というツボを使いますが、二日酔いの場合は魚際のほうがよく効きます。
また、近年よく知られるようになってきた「低気圧による頭痛」にも、魚際が奏功します。まさに、梅雨バテに大活躍するツボなのです。
魚際の探し方と押し方
手のひらにある親指の付け根の筋肉のほぼ中央で、押すとズンと響くところが魚際のツボです。親指の付け根の筋肉が魚の腹に似ているため、魚際という名前がつきました。人間の胃に見立てられることもあり、胃が弱っている人は、この部分がブヨブヨしていることがあります。
基本的には、左手の魚際のツボだけを刺激します。左手の魚際に右手の親指を当て、円を描くように1分間押しもみします。強めに押すのがポイント。症状がつらい人は、右手の魚際も同様に刺激しましょう。
なお、本稿は『大学教授が教える本当に効くツボ』(マキノ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。