ここでは、専門家が‶デジタル終活”を解説する。パソコンのパスワードだけでなく、Googleドライブなどに各種アカウント情報を記したテキストデータを残しておこう。ネット銀行、クラウドサービス、サブスクの解約をするさいに必要な情報をまとめておけば、自分の死後に遺族が手続きをしやすい。
あなたの疑問にズバリお答え!
パスワード不明だと、絶対に開けない?
読者から質問
仕事で貸与したパソコンが本人死亡によるパスワード不明で開けなくなりました。解析業務サービスや、HDDからデータを取り出す方法があるのでしょうか?(I.Sさん 東京都)
専門家の回答
編集部:
これはかなり深刻な問題ですね。フリーライターの福多利夫さんに聞いてみましょう。パスワードを調べる技術はあるのでしょうか?
専門家:
Windowsパソコンのログインパスワードを解析する技術は存在するようで、それを請け負ってくれる業者もあります。ただし、それを依頼できるのは、原則としてパソコンの所有者本人です。例外として、パソコン所有者が亡くなった場合、そのパソコンを正統に相続した人が、所有者本人の死亡届などを提示することで、パスワード解析を依頼できるそうです。
今回の場合、パソコンの所有権自体は会社になるのでしょうから、使用者の死亡を証明することでパスワード解析を依頼できるはずです。業者によって費用は異なりますが、だいたい1万円前後のようです。『デジタル遺品サポート』のキーワードで検索すると、いくつかの業者が見つかります」
編集部:
どんなパソコンでも対応できるのでしょうか?
専門家:
「いくつかの業者を調べてみましたが、対応できるのはWindowsパソコンに限定されるようです。また、ログインパスワードもローカルアカウントだと対応が簡単で、Microsoftアカウントだと、別途Microsoftへの手続きが必要になり、ハードルが上がります。MacやiPhone/iPad、Android端末は、パスワード解析で保存データにアクセスすることはできないようです」
編集部:
もしものときに備えて、パスワードを誰かに教えておく必要もありますね。
専門家:
「それが‶デジタル終活“の重要なポイントですね。パソコンのパスワードだけでなく、ネット銀行のアカウント/パスワード、各種クラウドサービスのアカウント/パスワード、遺族がサブスクの解約をするための各種サービスのアカウント情報なども重要です。
これらの情報を自分の死後、信頼できる誰かに教える方法として、Googleの『アカウント無効化管理ツール』というものがあります。
これは、ネットに一定期間アクセスがないと、そのユーザーが死亡したものとして、事前に設定しておいた家族や友人のアカウントに連絡メールが送信されます。その人には事前に設定した範囲のアクセス権が与えられ、例えば故人のGoogleドライブにアクセスできるようになります。
そこでGoogleドライブの中に、各種アカウント情報を記したテキストデータを残しておけば、残された人がデータの吸い出しなどの作業ができるわけです」
編集部:
なるほど。今すぐ、デジタル終活を始めておきたいですね!