ターメリックは別名「秋ウコン」といい、日本でも古くから使われてきました。主要な薬用成分「クルクミン」は、抗酸化作用、酵素の働きを高める作用、免疫コントロール作用、また、がんの抑制作用を持つことが確認されています。【解説】大澤俊彦(愛知学院大学・人間総合科学大学特任教授)

解説者のプロフィール

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大澤俊彦(おおさわ・としひこ)

愛知学院大学・人間総合科学大学特任教授。機能性食品研究、特に抗酸化食品研究の第一人者。食品と生命機能の関わりをテーマとして、食事が要因となる生活習慣病誘発メカニズムの解明・予防に関する研究を行っている。

世界各地で薬として使われてきたスパイス

カレーには多くのスパイスが使われますが、中でも欠かせないのが「ターメリック」です。

ターメリックは、鮮やかな黄色のスパイスで、カレー特有の色を作っています。別名は「秋ウコン」といい、日本でも古くから布の染色やたくあんの色づけに使われ、沖縄では「うっちん」と呼ばれ、お茶として飲まれています。

また、ターメリックは、世界各地で薬として使われてきました。漢方では止血剤健胃剤として使われ、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダでも、抗菌消化促進血液浄化などに欠かせない薬とされます。

インドやマレーシア、インドネシアなどでは、女性がターメリックを肌にぬる習慣があります。ターメリックには、抗菌・抗炎症作用があるので、紫外線や感染による皮膚の障害を防ぐ意味があったのでしょう。

このように、古くから薬用にされてきたターメリックですが、科学的根拠を調べた研究はほとんどありません。そこで私たちは、ターメリックの効果について科学的に調べてみました。

ターメリックに含まれる主要な薬用成分は「クルクミン」です。クルクミンは、ターメリックの黄色のもとになっている成分でもあります。

私たちが調べたところ、クルクミンを口から摂取すると、腸内で、「テトラヒドロクルクミン」という物質に変わることが分かりました。

クルクミンは黄色ですが、それから変換したテトラヒドロクルクミンは無色透明です。色は消えますが、体内での効果は、テトラヒドロクルクミンのほうが強いことが分かっています。

いずれにしても、ターメリックを摂取すれば、体内で時間と共にクルクミンがテトラヒドロクルクミンに変わるので、どちらの作用も得られます。

テトラヒドロクルクミンの作用も含めた、クルクミンの主な働きについて挙げましょう。

糖尿病性白内障や動脈硬化の予防にも有効

抗酸化作用

体内で生じたり、体外から侵入したりする活性酸素などの酸化物は、老化や動脈硬化、がんの発生や進行を促す要因になります。

この有害な酸化物を無毒化する働きが抗酸化作用です。クルクミンは、優れた抗酸化作用を持つことが、私たちの研究で明らかになっています。

酵素の働きを高める

もともと私たちの体内には、抗酸化作用を持つ酵素が備わっています。クルクミンにはその活性を高める作用もあります。

つまり、直接的にも間接的にも、クルクミンは高い抗酸化作用を発揮するのです。体内では発がん物質などを無毒化する解毒酵素も作られますが、クルクミンはその活性も高めます。

年と共にがんが増えるのは、体内の抗酸化酵素や解毒酵素の活性が低下するためと考えられています。クルクミンは、そうした酵素活性の低下をカバーしてくれる食品といえます。

酵素に関わるクルクミンの働きは、試験管内の実験だけでなく、マウスを使った動物実験でも確認しています。

免疫コントロール

クルクミンには、病原体やがん細胞を排除する免疫の力が低下しないように保つ働きもあります。一方、免疫の働きが過剰になると、炎症を起こしやすくなるのですが、その場合は免疫作用を抑えて正常化するという働きもあります。

以上のような働きを通じて、クルクミンは、各種のがんの抑制作用を持つことが確認されています。

動物実験では、乳がん、皮膚がん、大腸がん、腎臓がんなどの抑制作用を発揮することが分かっています。特に、大腸がんや皮膚がんなど、炎症性のがんの抑制に、高い効果を持つという報告があります。

最近の世界的な研究では、クルクミンが動脈硬化の抑制や、糖尿病に合併する白内障の予防認知症の予防などにも効果を持つことが分かっています。

画像: 優れた抗酸化作用を持つターメリック

優れた抗酸化作用を持つターメリック

クルクミンの健康効果を期待してターメリックをとる場合、1日の目安量は、大さじ1杯くらいと考えればよいでしょう。それを摂取するのに、スパイスカレーはとてもよい方法です。

私自身もカレーは大好きで、週に1〜2回は食べています。オリーブ油でターメリックなどのスパイスを炒り、少量の小麦粉とすったヤマイモを入れ、野菜をたっぷり入れて煮込むカレーが気に入っています。

和食は体によいのですが、塩分を過剰にとりがちなのが難点です。

ですから、和食にスパイスを活用すると、塩分を減らしてもおいしく食べることができ、減塩に役立ちます。カレーを作るときも、ターメリックをはじめとした好みのスパイスを活用して、塩分は控えめにするとよいでしょう。

もう一つのポイントは、野菜をたっぷり入れることです。野菜や豆類、キノコ類などには、抗がん作用が発見されているものが多数あります。これらを取り合わせて作ると、より健康効果の高いスパイスカレーができるでしょう。

この記事は『安心』2020年6月号に掲載されています。

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