METs(メッツ)とは、運動や身体活動の強度を表す指標・単位です。詳細は、国立健康・栄養研究所のホームページに「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」として掲載されています。メッツ表はもともと、厚生労働省が「健康づくりのための運動指針2006」で示したもので、本来まじめなデータですが、これがめっぽうおもしろいので、一部を紹介します。
METs(メッツ)とは?
METs(メッツ)とは、Metabolic Equivalents(代謝当量)の略で、アメリカスポーツ医学会が発表している、運動や身体活動の強度を示す指標のこと。単位としても使われます。日本では国立健康・栄養研究所が「身体活動のメッツ(METs)表」(PDF)を作成し、厚生労働省が健康づくりのための運動指針として使用しています。
安静時を「1.0メッツ」とし、その何倍のエネルギーを消費するかで、強度を数値化します。
例えば、「家の中を歩く」は2.0メッツ、「縄跳びをする」は12.3メッツ、「ランニングで階段を上がる」は15.0メッツ、といった具合です。
分類や項目がおもしろい
国立健康・栄養研究所の「身体活動のメッツ(METs)表」は、日本の研究者が作成していますが、もともとアメリカで算出したデータを出典としているためか、活動内容の分類や項目が個性的なのです。文化の違いなのか、作成者の持ち味なのかは不明ですが、興味深く感じたものをいくつかご紹介しましょう。
「そわそわ」って何?
「安静時が1.0メッツ」ということは前述しましたが、睡眠と瞑想も1.0メッツです。そして、なんと「横になってテレビを見る」も1.0メッツ。「座って静かにテレビを見る」と1.3メッツに昇格します。活動レベルを上げたければ、ちょっと頑張って座りましょう。
気になったのが「座って手をそわそわさせる(1.5メッツ)」と「座って足をそわそわさせる(1.8メッツ)」。
え?「そわそわさせる」ってどういうこと?
「足をそわそわ」は貧乏ゆすりのことかも、と納得しかけたところで、「立ってそわそわする(1.8メッツ)」を発見!「立ってそわそわ」って、どんな状態なんでしょう。謎は深まります。
職業の活動分類が個性的
さまざまな職業の活動強度も挙げられていますが、分類にばらつきがあります。
「仕立て作業」(洋裁のことか?)は、「裁断(2.3メッツ)」「裁縫(1.8メッツ)」「ミシンがけ(2.5メッツ)」「アイロンがけ(3.5メッツ)」など細分化されています。
一方、「果樹栽培」については、なぜか「ミカン畑の仕事・果実を摘む(4.5メッツ)」の1項目だけ。バナナとかイチゴとか、タイプの違う果物農園が複数あってもよさそうですし、「農薬散布」とか「虫よけネット掛け」とか、ほかにも仕事はありそうですが……。
「ミカン果実摘み一択」は、作成者の好みでしょうか。
警察官の活動分類も素通りできません。
警察官の仕事内容は4つ挙げられています。「交通整理・立位(2.5メッツ)と、「パトロールカーを運転する・座位(2.5メッツ)」、「パトロールカーに乗る(1.3メッツ)」はわかります。
でも、「逮捕する・立位(4.0メッツ)」ってどうですか。そんな、めったにない活動を挙げます?「迷子保護」でも「職務質問」でも「町内巡回」でもなく、「逮捕」。
そもそも「逮捕する」活動強度って、どうやって算出したんだろう……。
家事もいろいろ
驚いたのが、「家での活動」の項目です。
「モップがけ・立位(2.5メッツ)」、「食料品を上の階へ運ぶ(7.5メッツ)」は、日本でもなじみのある家事ですが、「動物を解体処理する:小さい動物(3.0メッツ)」とか「動物を解体処理する:大きい動物、きつい労力(6.0メッツ)」は、職業の場合は別ですが、日常の家事ではないですよね。
また、唐突に「ストーブの上でインドパンを焼く(3.0メッツ)」という項目が現れます。いわゆるナンでしょうか。
「オーブンでピザを焼く」とか「パスタを打つ」とか「米を炊く」の記載はなく、「ストーブの上でインドパンを焼く」だけが登場。インドパン、警察官の交通整理(2.5メッツ)より活動強度が高いですね…。どんなふうに焼くのでしょうか。想像が膨らみます。
まとめ
メッツ表はもともと、厚生労働省が「健康づくりのための運動指針2006」で示したものです。日常生活におけるさまざまな場面の活動強度がわかるので、「コロナ太り」の解消法を探しているかたは、ぜひ一度、「身体活動のメッツ(METs)表(PDF)」を見てみてください。運動不足解消のヒントが見つかると同時に、読み物としても存分に楽しめます。