ヘッドホンとマイクが一体化され、両手が自由な状態で「Zoom」などビデオ会議にも参加できるヘッドセット。普段愛用しているお気に入りのヘッドホンにマイクを追加することで、ヘッドセットと同じように使うことが可能だ。ここではオリジナルヘッドセットを実現するために必要な製品や、注意点を紹介しよう。
ヘッドセットとは
単体マイクで確実に声を拾ってくれる
音を聞くためのヘッドホン・イヤホンと、自分の声を拾うためのマイクが一体化されているヘッドセット。どのようなものかよくわからない人も、CMでコールセンターの人が頭に装着しているような機器を想像してもらえばイメージしやすいだろう。
ヘッドセットの特徴は、両手が自由な状態で、周りに迷惑をかけずに確実に通話ができること。多くの製品では、装着すると自然と口元にマイクが来るので、大きな声を出さずとも自然に喋ればきちんと相手に伝わる。最近はマイク内蔵イヤホンでのハンズフリーも当たり前のものとなったが、状況によってはどうしてもこちらの声が拾われにくいことに比べると、マイクが口元に来るヘッドセットは安心感があるだろう。
ゼンハイザー「VoIP PC 5.2 CHAT」
ゼンハイザーのシンプルでベーシックなヘッドセット。ノイズキャンセリングマイクを搭載し、マイクを使わないときは折りたたんでヘッドバンド側に収納できる。
シンプルかつミニマルなデザインはスタイリッシュなだけでなく軽量構造により快適な着け心地です。
ハイクオリティなノイズキャンセリングマイクを搭載し、クリアでシームレスな通話を可能にします。
また、インラインコール制御ユニットによって簡単操作で通話をコントロール可能です。
マイクを使用しないときは折りたたんでヘッドバンドに収納できます。
4極接続/ 3.5mmジャック
テレワークでヘッドセットにも注目が集まった
手持ちのヘッドホンをヘッドセット化できる?
ヘッドセットは音声通話・テレビ電話などはもちろん、オンラインゲームのボイスチャットなどさまざまなシーンで活用されているが、テレワークや在宅ワークの機会が増えた最近では「Zoom」などビデオ会議での利用も注目されている。会議中はキーボードを叩いたりメモを取ることも多く手は開けておきたいし、パソコンの内蔵マイクでは家庭内のいろいろな雑音を拾いそうで心配な人も多いはず。ヘッドセットがあれば便利なことは間違いない。
とはいえ、ビデオ会議の頻度がそれほどでもない人だと、そのためにわざわざヘッドセットを買うことに抵抗があるかもしれない。普段使っているヘッドホンの音質が気に入っているので、安価なヘッドセットでは音質に満足できないかも、と不安なこともあるだろう。そんな人にも注目してほしいのが、ごく一般的なヘッドホンをヘッドセット化できるマイクだ。
外付けマイクでお気に入りヘッドホンをヘッドセット化
Antlion Audio「ModMic」シリーズ
Antlion Audio(アントライオン・オーディオ)の「ModMic」は、一般的なヘッドホンへマイクを物理的に装着することでヘッドセット化する、という発想の単体マイクだ。特許取得済みのクラスプシステムを採用しているのが特徴で、ヘッドホンのハウジング部分にあらかじめ台座を接着しておき、マイクはマグネットで簡単に着脱できる。セットしておけばヘッドホン部分とマイク部分は一体化しているため、専用品のヘッドセットと同じ使い勝手を実現できる、という仕組みだ。
パソコンにはマイクとヘッドホンのケーブルを別々につなぐことになる。現在のModMicでは接続方法によってふたつの製品が用意され「ModMic USB」はUSBポートにつなぐタイプ。用途に合わせて単一指向性/無指向性のマイクを切り替えて使えることも特徴だ。「ModMic UNI」は一般的な3.5mmプラグでマイク端子へつなぐタイプとなり、こちらは単一指向性マイクとなる。
両製品とも、声を拾われたくないときにはワンタッチでマイクをオフにできるミュートスイッチを搭載している。また機器にはマイクとヘッドホンと2本のケーブルをつなぐことになるが、ケーブルを一体化して取り回しがよくなるクリップも付属し、その点でもヘッドセット専用品に近づけられるだろう。持ち運びに便利なトラベルハードケースも付属している。
Antlion Audio「ModMic USB」
USB接続のアーム付きマイクを独自のクラスプシステムでヘッドホンのハウジング部に固定でき、お気に入りのヘッドホンをヘッドセット化できる製品。マイク部分は高音質な無指向性マイクと、ノイズキャンセリング機能を備えた単一指向性マイクを切り替えられるデュアルマイクモードを搭載している。
仕様:単一指向性マイク / 無指向性マイク (切替)、ケーブル長 2m、コネクタ USB-A
本体サイズ W180xD30xH35mm(マイク+マイクブーム部分)、本体重量 約46g(ケーブル含む)、保証期間 1年間
単一指向性マイク:周波数応答 100Hz – 10kHz、感度 -36±3dB、インピーダンス 2.2kΩ(最大)、S/N比 67dB(最小)、最大入力音圧レベル 110dB、標準動作電圧 3.0Vdc、動作電圧範囲 1.0~10Vdc
無指向性マイク:周波数応答 50Hz – 20kHz、感度 -…
Antlion Audio「ModMic UNI」
ノイズキャンセリング機能も備えた単一指向性マイクをどんなヘッドホンにも装着でき、ヘッドセット化できる製品。ケーブル部分の中間には便利なミュートスイッチを搭載。端子は一般的な3.5mmピンジャックなので、パソコンのマイク端子につなぐ。
仕様:単一指向性マイク、ケーブル長 2m、コネクタ 3.5mm TRS ジャック
本体サイズ W160xD30xH35mm(マイク+マイクブーム部分)、本体重量 約34g(ケーブル含む)、保証期間 1年間
単一指向性マイク:周波数応答 100Hz – 10kHz、感度 -36±3dB、インピーダンス 2.2kΩ(最大)、S/N比 67dB(最小)、最大入力音圧レベル 110dB、標準動作電圧 3.0Vdc、動作電圧範囲 1.0~10Vdc
対応機器:Windows PC、Linuxに対応
製品内容:ModMic…
オーディオテクニカ「ATGM2」
同様のコンセプトでお気に入りヘッドホンにフレキシブルブームマイクを草沢してヘッドセット化できるオーディオテクニカの製品もある。台座を両面テープでハウジング部に固定し、不要なときは取り外せる。マイクミュートスイッチも搭載。
純正オプションでヘッドセット化できるヘッドホンも
V-MODA「C-BP-BLACK」
ヘッドホンによっては専用アクセサリーとして後付のマイクが用意されている製品もある。ローランドのヘッドホンブランド「V-MODA」がその例で、対応製品のケーブルを外し「V-MODA BoomProゲーム C-BP-BLACK」と差し替えるとブームマイクが一体化したヘッドセット化ができるのだ。ケーブル部分にはミュートスイッチとボリュームも用意され、使い勝手も優れている。
分岐アダプタが付属
なお「V-MODA BoomProゲーム C-BP-BLACK」を使うと、ヘッドホンとマイクのケーブルは一本にまとまり、プラグも4極の3.5mmプラグひとつをパソコンに挿せばよい。
本製品に限らないが、一般的なヘッドセットはヘッドホンとマイクが一体化した4極プラグとなっており、同じ使い勝手を実現している。
ただしパソコンによっては4極プラグに対応していない場合があり、そのときはヘッドホン出力端子とマイク入力端子に2本のプラグをそれぞれ挿す必要があるのだが、本製品にはそのための分岐アダプタも付属している。
ちなみに、ヘッドホン出力端子とマイク入力端子が別々に用意されているパソコンへ4極プラグのヘッドセットをつなげるときは、下のような変換ケーブルを利用する。
ネックマイクでイヤホンをヘッドセット化
イヤホンをヘッドセット化することも可能?
普段はヘッドホンよりもイヤホンを愛用している、という人には首掛けスタイルでマイクを固定できネックマイクというタイプもあるのでこちらを検討してみてはいかが。
マイクとイヤホンを別々に装着するという手間はあるが、お気に入りのイヤホンに高性能マイクを追加できるというのが大きな魅力だ。もちろんヘッドホンと組み合わせることもできるので、気分に合わせて複数のヘッドホンを使い分けたい、という人にもよいだろう。
サウンドウォーリア「SW-NS1」
サウンドウォーリア「SW-NS1」はヘッドホンと一体化するのではなく、首にかけることで自然な位置へマイクをセッティングできるネックマイク。ハウジング部にマイクを装着しづらいヘッドホンや、インナーイヤータイプのイヤホンと組み合わせてヘッドセットのように使える。
単一指向性マイクによるクリアなコミュニケーション。周辺の音を遮断しつつ音声を集中的に拾います。音量調節やミュート機能はありません
声の帯域に特別チューニングしたモデル。相手も自分もクリアな音声で聞きやすい
3.5mm 4極ステレオミニプラグでヘッドフォン端子に接続。Windowsパソコン、スマートフォン、タブレット、PlayStation4、Nintendo …
まとめ
専用品とほぼ遜色ない使い勝手が得られる
まだ製品数はそれほど多くないものの、ModMicシリーズのような製品を使えば、一般的なヘッドホンをヘッドセット化することができる。ヘッドホン側とマイク側でケーブルを2本挿すというのが専用品との大きな違いだが、ケーブルをまとめるクリップも付属しているので、実際にはそれほど気にならないだろう。ハウジング部の端子に直接セットするタイプのマイクは便利そうだが、現状では公式に対応している製品は限られる。
ただヘッドセットが必要で、音質など特にこだわりはない、ということであれば安価なヘッドセットも多いので、そちらを選ぶというのもひとつの選択肢。しかし音質にはこだわりたい、ヘッドホンの装着感に好みがあるというなら、お気に入りヘッドホンのヘッドセット化を考えてみてほしい。
◆大坪知樹
オーディオやPCといった記事を多く手がけてきたが、ガジェットはもちろん白物家電、クルマ・バイク、模型や玩具、時計に服・靴など基本的にモノが好きな物欲系フリーランスライター。