iPhoneのiOSは、バージョンが14になり、操作の“作法”が大きく変わった。最大の特徴が、ホーム画面上に置ける「ウィジェット」と、すべてのアプリを格納する「Appライブラリ」だ。また、細かな使い勝手も向上している。Siriもコンパクトになり、画面上に表示されているコンテンツをじゃましなくなった。
iOS 14
iPhoneのOSが大リニューアル!ホーム画面の使いこなしがカギ
iPhoneに搭載されるiOSは、バージョンが14になり、操作の“作法”が大きく変わった。最大の特徴が、ホーム画面上に置ける「ウィジェット」と、すべてのアプリを格納する「Appライブラリ」だ。
もともとiOSにはウィジェットが用意されていたが、ホーム画面1ページめの左にまとめられており、アプリのアイコンと一緒に並べることができなかった。これに対し、iOS 14では、アイコンと同一のスペースに配置が可能になり、デザインも洗練されたものになっている。
天気予報やカレンダーなどのウィジェットを配置しておけば、ホーム画面を表示させるたびに自然と目に留まるため、情報を効率よく取得できる。下掲の写真のように、ホーム画面のデザインのアクセントになるウィジェットも用意されており、カスタマイズの幅が大きく広がった。
初代iPhoneから、一貫してホーム画面にはインストールしたアプリがすべて並んでいたが、これも変更になった。すべてのアプリを格納するのはAppライブラリになり、必要なアプリだけをホーム画面に並べるというのがiOS 14のスタイルだ。
ホーム画面の役割そのものが、根本的に変わったといえるだろう。
●iOS 14では、ホーム画面の使い勝手が大きく変更された
【ウィジェット】
ウィジェットが加わり、ホーム画面上で直接、簡易的な情報を取得できるようになった。ウィジェットは大、中、小の3サイズがあり、サイズを選べる場合が多い。
【APPライブラリ】
すべてのアプリは、APPライブラリに格納される。ホーム画面からアイコンだけを消し、本体をAppライブラリに残すことも可能だ(写真右下)。
●ウィジェットを追加してホーム画面をカスタマイズする
❶ホーム画面の何もないところを長押しする
ホーム画面のアイコンのない壁紙部分を長押し。アイコンがブルっと震えたら、画面左上(ホームボタンのある機種では右上)の「+」をタップしよう。
❷画面左上の「+」ボタンをタップし、ウィジェットを選択
「+」をタップすると、ウィジェット一覧が表示される。上下にスクロールさせるか、検索して、配置したいウィジェットを選択する。
❸ウィジェットの機能やサイズを選んで、ホーム画面に配置
ウィジェットによっては、複数の機能、サイズを持つものがある。スワイプして、機能やサイズを選んだら「ウィジェットを追加」をタップ。
●おすすめウィジェット
Yahoo!天気
Yahoo Japan Corp.
ヤフーの天気予報ウィジェット。気温グラフや雨雲レーダーなど、標準の天気ウィジェットにはない詳細な情報までそろっている。
Google
Google LLC
Google検索を呼び出すことができるウィジェット。中サイズには、「Googleレンズ」や「音声検索」などを起動するボタンも用意される。
PayPay
PayPay Corporation
PayPayの残高を常時表示でき、いくら利用できるのかが把握しやすい。直接、決済用のQRコードを表示させるボタンも搭載される。
Launcher
Cromulent Labs
アプリアイコンを並べたランチャーをウィジェットに配置可能。アプリ内で課金すれば、時間帯などによって表示するアプリを変更できる。
●Appライブラリで検索
アプリは、ホーム画面最終ページの右にできたAppライブラリにすべて格納される。ジャンル別に整理されているが、検索も可能だ。
iOS 14の機能とアプリ
Siriが使いやすくなり、翻訳アプリも登場! 知っておきたいiOSの便利ワザ
iOS 14では、細かな使い勝手も向上している。その一つが、「ピクチャ・イン・ピクチャ」。「Safari」などで動画を視聴している際に、縮小ボタンを押すと、動画だけが小窓になって表示される。そのまま、ほかのアプリを立ち上げて操作することが可能。動画のサイズは小さくなってしまうが、映像を見ながらSNSでコミュニケーションを取るといった使い方ができる。
Siriもコンパクトになり、画面上に表示されているコンテンツをじゃましなくなった。サイトを見ながら、気になったキーワードを検索するときにも、画面をふさがずにSiriを呼び出せる。
新規のアプリとして、「翻訳」も追加された。もちろん、日本語にも対応。精度もまずまずで、プライバシーを重視するアップルらしく、言語をダウンロードしておけば、精度は下がるが、オフラインでも翻訳を利用できる。
標準のブラウザーやメールアプリの変更も可能になり、Safariを「Chrome」に、「メール」を「Gmail」に替えて使うことができる。
また、「設定」の「アクセシビリティ」内には、「背面タップ」が追加された。スクリーンショットや、コントロールセンターの呼び出し、画面ロックなどを、背面のダブルタップもしくはトリプルタップで行えるようになる。メインの操作方法というわけではないが、よく使う動作や、ボタンの同時押しなど標準では操作しにくい動作に割り当てておけば、操作の効率も上がるはずだ。
●機能アップが目白押しで、使い勝手が向上!
【ピクチャ・イン・ピクチャ】
閲覧中の動画を縮小して、小窓で表示することができる。ほかのアプリを使いながら動画を見るようなシーンで、役に立つ機能だろう。
【Siri】
画面を丸ごと使っていたSiriのデザインが刷新され、小さな球体が表示されるように。結果も、画面上部にウインドウで表示される。
【翻訳】
Googleなどでもおなじみの翻訳アプリがiOSにも登場。クラウドのデータベースを利用して翻訳する。11の言語に対応。
【標準アプリの変更】
「設定」→「Chrome」から、メールなどのURLをクリックしたときに、SafariではなくChromeが起動するように変更可能。
【背面タップ】
「アクセシビリティ」にある「タッチ」の中で、「背面タップ」の設定が可能。特定の操作をダブルタップやトリプルタップに割り当てることができる。
生体認証
マスク対応なら、指紋認証が有利。顔と指紋の両対応モデルが便利!
指紋や顔など人体の一部でパスワードの代わりに認証を行う仕組みのことを、生体認証と呼ぶ。なりすましの被害に遭う心配が少なく、パスワードを入力するより簡単で素早く操作できるため、スマホでは一般的になりつつある。かつては虹彩認証もあったが、現在の主流は、顔認証か指紋認証だ。
顔認証は、本体を持ち上げるだけで、そのまま顔を読み取ってロックが外れる。ユーザーが意識することなく、自然に認証を行えるのが特徴といえるだろう。iPhoneのように、顔を立体的に記録するタイプなら、セキュリティも強固になる。
一方、コロナ禍ではマスク着用時に認証できないのがデメリットになる。マスクを半分かけたまま顔を登録すると、着用時に認証できることもあるが、確実性が低い。
対する指紋認証は、指をセンサーに当てる動作は必要になるが、マスク着用時でも利用できる。最近では、画面内指紋センサーも増えている。なお、Androidの場合、サムスンやシャープなど、顔認証と指紋認証を併用できる機種もあり、シーンに応じて使い分けができるので便利だ。
●生体認証は顔認証と指紋認証が主流。それぞれの特徴を知っておこう
【顔認証は手間いらずでロック解除】
顔認証は、端末を持ち上げるだけで自動的に顔が読み取られるため、スムーズにロックを解除できる。ただし、暗すぎると機能しなかったり、マスク着用時に役に立たなくなるのはデメリットといえる。
【指紋認証はマスク着用時もOK!】
指紋で認証を行うため、マスク着用時でも問題なく利用できる。ロック解除も素早いが、センサーに指を当てる一手間がかかる。画面内指紋センサーはスマートだが、指がズレて失敗することもある。
●端末により採用する認証が異なる
【顔認証】
アップル
iPhone 12
ホームボタンのないiPhoneはすべて顔認証「Face ID」を使う。
【指紋認証】
ソニー
Xperia 5 II
本体右側面の電源ボタンに指紋センサーが組み込まれている。
【顔+指紋認証】
サムスン
Galaxy A51
GalaxyやAQUOSは、顔認証と指紋認証の両対応モデルが多い。
■解説/石野純也(ジャーナリスト)