この記事では「子どもが学ぶことを好きになるように」、「子どもが自分で自分を評価できるようにする」、「本来備わっているやる気を引き出す」、「子どもをあるがままに受け入れる」、「自分から行動させる」などの声掛けのコツをご紹介します。【解説】シモーン・デイヴィス(国際モンテッソーリ協会(AMI)認定モンテッソーリ教師)
執筆者のプロフィール
シモーン・デイヴィス
国際モンテッソーリ協会(AMI)認定モンテッソーリ教師。ブログ・インスタグラムMontessori Notebookではモンテッソーリのちょっとしたヒントや読者からの質問に答え、世界中の親を対象にオンライン・ワークショップを開いている。オーストラリア出身。現在は家族とともにオランダ・アムステルダムに在住。ジャカランダ・ツリー・モンテッソーリスクールを立ち上げ、親子クラスで指導を行っている。
訳者プロフィール
宮垣明子(みやがき・あきこ)
和歌山県出身。翻訳者。『奇跡の動物家族~命をつなぐ』(K&Bパブリッシャーズ)、『内向型のままでも成功できる仕事術』(辰巳出版)など翻訳多数。保護猫と暮らして三年目。
本稿は『おうちモンテッソーリはじめます』(永岡書店)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
イラスト/朝倉めぐみ
子どもへの声かけのコツ
親が変われば子どもも変わる!
「言い方」を変えてみよう
今までのパパ・ママ
モンテッソーリのパパ・ママ
子どもが不安そうにしていたら
▼おもちゃの取りあい
決めつける
「あなたはいつもほかの子からおもちゃを取るね」
↓
子どもを両手で抱きしめ、一緒に作業を見ながら
「終わるのをまとうね」
▼子どもがやったことに
非難する、お説教する
「そんなことしてはいけません」
「こうしなさい」
↓
子どもの気持ちを理解しようとする
「○○って言いたかったの?」
「○○がしたいの?」
「○○だと思うの?」
「○○なのかな?」
▼イヌにほえられたら
否定する
「心配しなくていいよ、つながれているから」
↓
状況を子どもの目で見る、
子どもの気持ちに気づく
「びっくりしたね。急にほえられたら怖いよね」
自立させるために
▼コップを渡す
してはいけないことを言う
「コップを落とさないで!」
↓
うまくいく方法を教える
「コップはこう持ってね」
大人がして見せる
▼遊ぶときには
子どもにやらせない
「パズルを取ってこよう」
↓
自分の好きな遊びを選ばせる
子どもに先に行かせる、何も言わない
(子どもが選ぶまで待つ)
子どもに手を貸すとき
▼困っていたら
子どもにやらせず、先回りする
「ほら、貸しなさい」
↓
手伝う部分は少しだけにする
「お手伝いしてほしい?」
「どうやってするか見てみる?」
「こういうやり方はやってみた?」
子どもが学ぶことを好きになるように
▼間違っていたら
訂正する
「違う、それはゾウだよ」
↓
教えることで教える
「ああ、サイを見せたかったんだね」
(別の機会にゾウについて教える)
好奇心をかきたてるために
▼質問されたら
質問にすべて答える
「空が青いのはね……」
↓
自分で見つけられるようにする
「わからないな、一緒に調べてみようか」
子どもが自分で自分を評価できるようにする
▼上手にできた
ただ褒める
「よくできたね!」
「すごいね!」
↓
見たままを言う、努力を言葉にする
「トラックを全部カゴに入れられたね」
短い言葉でまとめる
「お片づけ完了(完成)!」
こちらの気持ちを言葉にする
「部屋がきれいになって気持ちがいいね」
一緒に使う
▼おもちゃをめぐって
ほかの子と一緒に使うよう言う
「みんなで使おうね」
↓
使い終わるまで待つ、交代するまで待つ
「いまあの子が使っているね。もうすぐ交代だよ」
子どもをあるがままに受け入れる
▼食卓で泣きじゃくる
子どもの怒りや強い感情をごまかす
「スプーンくらいでグズグズ言わないの」
↓
マイナスの感情も認め、許す
「お気に入りのスプーンが使えなくて怒ってるんだね」
子どもに、家のルール、基本ルールを思い出させる
▼ルールを破る
怒鳴りつける
「けんかはダメ!」
↓
具体的なルールを告げる
「相手を叩いてはいけません。
自分のしたいことは言葉で伝えなさい」
自分から行動させる
▼赤ちゃんに
ダメと言う
「赤ちゃんに触っちゃダメ!」
↓
していいことを言う
「赤ちゃんに触るときはやさしくね」
▼出かける準備
問題を子どものせいにする
「あなたのせいで遅れちゃう!
どうして着替えないの?
もう出ないといけないのに!」
↓
問題を解決する方法を考える
「どうすればいいかな?
朝、家を出るまでにやることを
チェックリストにしておこうか」
▼さあ出発
小言を言う、怒鳴りつける
「何回言えばわかるの? 靴を履きなさい!」
↓
ひと言だけ言う
「靴」
▼お風呂
不満をぶつける
「聞いてなかったの? お風呂の時間でしょ!」
↓
子どもがやりたがるような方法を見つける
「お風呂まで、ウサギさんジャンプで行く?
それともカニさん歩きで行く?」
▼危険を知らせる
何度も繰り返す
「オーブンに近寄っちゃダメ!」
↓
メモを貼る
「あつい、って書いてあるよ」
▼お片づけ
責める
「どうして使い終わったおもちゃを片づけないの!」
↓
してみせる
「これは、ここだよ(棚の場所を手で叩く)」
子どもに、自分のしたことの責任を持たせる
▼友だちとのケンカ
脅す、罰する、ご褒美で釣る、部屋に閉じ込める
「またこんなことしたら、今度は~」
「今すぐ来れば、シールをあげるよ」
「あっちへ行って、反省しなさい!」
↓
子どもを落ち着かせてから考えさせる
「怒っているんだね。抱っこしようか?」
「別の場所へ行って、ちょっと落ち着こうか」
そのあとで
「お友だちが泣いているよ。仲直りしに行こうか?」
レッテルを貼らない
▼一方的な評価
子どもの特性を決めつける
「この子はシャイだから」
「この子はかしこいから」
↓
別の角度から子どもを見る
「自分でちゃんと手伝ってって言えたね」
叩く、噛むなど
▼人に対して
けんかにさせない、厳しくする、
悪い例を見せてしまう
「まだ小さくて何をしてるかわかってないから」
「今度噛んだりしたら、わたしがあなたを噛むよ、
そうしたら嫌だってわかるでしょう」
↓
はっきりとした限界のラインを決める
「人を叩いてはいけません/
噛んではいけません/
物を投げてはいけません。
あなたの身体を押さえますよ。
どうしても何か噛みたいなら、
このリンゴを噛みなさい」
きょうだいのもめ事を避ける
▼食事中に
きょうだいを比べる
「お兄ちゃん/お姉ちゃんみたいに、ちゃんと豆も食べなさい」
↓
それぞれの子に合わせた対応をする
「もうちょっと食べる?」
▼きょうだいげんか
上の子に責任を押しつける
「お兄ちゃん/お姉ちゃんでしょ。しっかりしなさい」
↓
子どもにそれぞれ責任を持たせる
「わたしがトイレに行っているあいだ、ふたりで相談してね」
きょうだい同士の言い争いに中立でいる
▼けんかの仲裁
どちらが正しいか、間違っているかを決める
「何があったか言いなさい」
↓
子ども同士で問題を解決させる
「子どもはふたり、おもちゃはひとつ。
ふたりとも楽しめるようなやり方を考えてね」
落ち着いた、礼儀正しい行動のお手本になる
▼人との関わり
ほかの人のせいにする
「何で言ってくれなかったの!」
↓
自分の責任と考える
「わたしがこうしておけばよかったね」
「こう言えばよかったんだね」
家族や預かる人とコミュニケーションをとる
▼親の気持ち
子どもに怒っている家族に
(家族に)「なんでそんな大声を出すの?」
↓
家族の気持ちを代弁する
(子どもに)「お母さん/お父さんは、こう言うことをしてほしいんだよ」
なお、本稿は『おうちモンテッソーリはじめます』(永岡書店)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。 詳しくは下記のリンクからご覧ください。
※(1)「モンテッソーリ教育とは」の記事もご覧ください。