ベンケイソウ科は多肉植物の中でも丈夫で初心者が扱いやすい種類です。寄せ植えもさまざまな形や色を合わせてデザインすることができます。ぜひ挑戦してみましょう。【解説】長田 研(カクタス長田)
著者のプロフィール
長田 研(おさだ・けん)
1975年静岡県生まれ。多肉植物の生産・出荷・輸出入を行うナーセリー「カクタス長田」経営。アメリカ・バージニア大学で生物と化学を学び、交配種の作出や海外品種の日本導入などを積極的に行っており、新しい種にもくわしい。国内外の多肉植物の研究者や関係者との交流も深く、自身も日本の多肉植物業界を牽引するひとり。おもな著書に、『NHK趣味の園芸 12か月栽培ナビNEOコーデックス』、『NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 多肉植物』(ともにNHK出版)、『特徴がよくわかる おもしろい多肉植物350』(家の光協会)などがある。
本稿は『はじめてでもうまくいく! わかりやすい多肉植物の育て方』(永岡書店)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
寄せ植え制作・指導 ● 金沢啓子さん
多肉植物専門アトリエ「デイジー&ビー」代表。グリーンアドバイザー。東京・目黒で多肉植物の販売、寄せ植え制作レッスン、庭や店舗の植物施工・コーディネートなどを手がける。
▼daisy&beeの多肉でガーデニング(HP)
寄せ植えをしてみよう!
エケベリア、クラッスラ、セダム、クラプトペタラムなどのベンケイソウ科は多肉植物の中でも丈夫で初心者が扱いやすい種類です。寄せ植えもさまざまな形や色を合わせてデザインすることができます。ぜひ挑戦してみましょう。
▼隣り同士になる植物は色や形が異なるものを選ぶと、引き立てあい魅力がアップ。リース型は大きめの多肉を配置した後、細かい挿し穂ですき間を埋めます。
▼鉢を複数並べることで庭やベランダに見せ場をつくることができます。所々に大きな多肉を使いメリハリを出すと遠目からでも目立ちます。
▼主役の植物は鉢の中心をやや避けて配置を。主役を中心に準主役、脇役…と配置していくと上手くバランスがとれます。
寄せ植えでの5つのNG
1 高温多湿期に寄せ植えはしない!
夏でも涼しい地域はOKですが、通常は春や秋など温暖な時期がベスト。
2 めずらしい多肉は寄せ植えしない!
レアな品種は管理が難しいことも。丈夫な種類を選んで行いましょう。
3 室内では育てない!
室内管理は徒長の原因になり、紅葉もしません。ただし極寒期は室内へ移動を。
4 長雨に当てない!
水分コントロールは基本的に人が行います。雨が続く時期は置き場所を考えて。
5 何年も植えっぱなしにしなし!
形が乱れたら挿し直しを。土が固くなったら植え替えしましょう。
寄せ植えの手順
用意するもの
- 寄せ植えする多肉植物(9種)
※苗は水を切って、乾いた状態にしておくと扱いやすい。 - 鉢(4号)と鉢底ネット
- 赤玉土(大玉)(極小)
(1)グラプトペタラムは、下葉を2〜3枚残してカットし、挿し穂にする。クラッスラやセダム類は軽く根鉢を崩し、株分けで小分けにしておく。
(2)鉢底ネットを置いた鉢に大玉赤玉土を高さ1cmほど入れた後、極小赤玉土を入れながら主役のエケベリアの高さを調節する。エケベリアは根鉢の肩と底を少し崩し、鉢の淵に寄り掛からせるように斜めに置く。
(3)小分けにしておいた植物をバランスを見ながら配置し、極小赤玉土を入れて固定する。棒などで土を突きながら、根や株の隙間にも土を入れる。根を傷めないように注意する。
(4)1寸鉢の苗は、根鉢の底の部分を軽くほぐしエケベリアに沿わせて植える。セダムは指でひとつまみずつちぎり、土に挿すように埋め込む。
(5)隙間が空いている部分は、ハサミでカットしたセダムやクラプトペタラムを挿して埋めていく。必要なら土を追加し、表面をならし整える。
(6)中心を高くして、全体が半球形になるよう整えると美しく仕上がる。日当たりのよい場所に置き、水やりは4〜5日経ってから。その後は土が完全に乾いてから与える。エケベリアの葉の中心に水が溜まらないようにする。
「エケベリア・サブセシリス」を主役にクラッスラやセダムなどで色彩豊かな寄せ植えに。苗は挿し穂にしたり、ちぎって使ったりしているので、ぎっしり寄せても鉢内には根の伸びる余裕があります。伸びてきたものはカットし、挿し穂にしてリメイクに利用できます。
なお、本稿は『はじめてでもうまくいく! わかりやすい多肉植物の育て方』(永岡書店)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。
※(5)「「多肉植物の植え替えの仕方」」の記事もご覧ください。
