今回は、Amazonから発売されたクルマで使用するEchoシリーズ「Echo Auto(エコーオート)」と、パイオニアから発売されたクルマ用のWi-Fiシステム「DCT-WR100D」を実際につかってみたので、その感想をお伝えできればと思う。
Amazon Echo Autoとは?
Amazonは、同社が提供する音声サービスの「Alexa(アレクサ)」を手軽に体験できるEchoシリーズ初の車載デバイス「Amazon Echo Auto(エコーオート)」を、昨年(2020年9月)に発売をした。本機は、クルマでもAlexaによる音声サービスを利用できるデバイスで、スマホのAlexaアプリを介してインターネットに接続し、Alexaとハンズフリーで対話できるという製品だ。
クルマ用ということもあり、カーオーディオからの音楽やエアコンの音、ロードノイズなど、騒々しい車内でも、Echo Autoの8つのマイクと音声認識技術により、ハンズフリーでの遠隔操作が出来るのが特徴だ。スマホのAlexaアプリを介して使用するから、Amazon MusicやApple Music、Spotifyなどから音楽をストリーミング再生が可能で、Auxで接続をすれば、音楽や音声をクルマのスピーカーから出す事も出来る。ブルートゥースを搭載したナビやオーディオ機器を搭載しているクルマであれば、ブルートゥース接続も可能。電源は、USBポートもしくはシガーソケットに差し込んで使用する。対応OSは、Android6.0以上、またはiOS12以上となっている。
【車内向けの設計】カーオーディオからの音楽、エアコンの音、ロードノイズなど、騒々しい車の中でも、Echo Autoは8つのマイクと音声認識技術でハンズフリーでの遠隔操作を実現します。
【カーオーディオを超えて】Echo Autoを声で操作し、スマートフォンのAlexaアプリでAmazon Music、Apple Music、Spotify、AWAなどから音楽を…
パイオニア「DCT-WR100D」とは?
次に、クルマ専用のWi-Fiシステムについてだが、これは、パイオニアから昨年12月に発売された「DCT-WR100D」を使用する。この製品は、LTEのデータ通信を使って車内でオンラインコンテンツを利用できる車載用のWi-Fiルーター。
ドコモの車内向けインターネットサービス「docomoin Car Connect」に登録をして、使用する分だけチャージ(1日550円、30日1650円、365日1万3200円/各税込)すれば、LTE通信を制限なく使える。
本体価格が2万7500円だから、購入年こそ、そこそこお金はかかるが、それでも365日分のチャージをすれば、月の使用料金はおよそ3392円、1日に換算すればおよそ113円とかなり安い。2年目以降は、チャージ料金だけになるので、月の使用料はわずか1100円、1日に換算すれば37円ほどだから、かなり魅力的だ。スマホのように契約時に事務手数料や解約の際の違約金も発生しないので、手軽に試すことができる。Wi-Fi接続ができるガジェットであれば同時に最大5台まで接続出来るから、車内で好きな動画や音楽、オンラインゲームを快適に楽しめる。
今回は、そんなアイテム2つを、遅ればせながら試す機会を得たので、我が家のクルマに取り付けて、その使い勝手をまとめてみた。
「Amazon Echo Auto」の設置と設定
その前に、我が家ではAmazonのスマートスピーカーAmazon Echo(以下Echo)をリビングに設置しており、ほぼ毎日使用している。今回、Echoのクルマバージョンともいうべきデバイス「Echo Auto」の使用は、家に居る時と同じような使い方が出来るのか、とても興味深い。
早速だが、我が家のクルマ(2005年登録のクルマ)に設置するのだが、だいぶ古いクルマなので、設置に少々不安がよぎる。結果から言うと、問題なく取り付ける事が出来たのだが、ブルートゥースはさすがに装備していないので、Auxを介して、Echo Autoを接続した。
設置場所は、エアコンの吹き出し口に付属の台座を差し込むだけなので、特に工具なども必要ない。台座と本体はマグネットで付くから、取り外しもいたって簡単だ。ただ、電源ケーブル(シガーソケットもしくはUSBポートから給電)やクルマのオーディオに接続するためのAuxケーブルがむき出しになってしまうため、ちょっと雑然としてしまう点が気になった(今後はこのケーブル類を目立たないようにする工夫をしたい)。
設定は、手持ちのスマホもしくはタブレットにAmazon Alexaアプリをインストールし、スマホの設定画面からEcho Autoのデバイスを探し接続をするだけなので、設定もとても簡単だ。接続が完了すれば、後はEcho Autoに「アレクサ!」と話しかければ、まるで自宅のリビングに居るかのような使用が可能となる。
「パイオニア DCT-WR100D」の設置と設定
次に設置するのは、パイオニア「DCT-WR100D」だ。これは先にも述べたがクルマ用のWi-Fiシステムで、今回はスマホの回線を使わずにEcho Autoを使ってみる。
設定は、自宅のWi-Fiルーターの設定方法と同じ要領なので、難しいことは特にない。本機の電源をクルマのシガーソケットに差し込み起動させたら、手持ちのスマホで本機を選択し、本体背面に記載のあるパスワードを入力すれば完了だ。これで、車内がWi-Fi環境になるので、Echo Autoほか、スマホもタブレットもWi-Fi接続が可能となる
最大の特徴は、LTEデータ通信料の制限を気にすることなくインターネットに接続できること。制限がないから、動画をいくら観ても、突然動きが著しく遅くなるような事もない。本機の設置については、取り付け角度が決まっているので、説明書に従って設置した。
使用にあたっては、次の点に注意しなければいけない。クルマ用のWi-Fiルーターというだけあって、クルマの中でしか使用できない。それも、走行中の使用が前提となるため、停車時は、多少の使用制限が発生する。これは、クルマ以外での不正利用を防ぐための措置らしい。
使用条件は、走行中はもちろんだが、エンジンをかけてから発信するまで30分間、走り出し後、信号待ちや渋滞・コンビニの駐車場など停車状態で60分間、それぞれお使用が可能だ。仮に出先で渋滞にはまってしまったとしても、60分間、全く動かなくなるような渋滞とかではない限り使えるので、通常使用には支障が無いものと思われる。(図を参照)
Echo Auto、DCT-WR100Dと共にドライブへ!
ようやく設置・設定もできたので、Echo Autoとともにドライブに行ってみた。
早速Echo Autoに「アレクサ、なんか音楽をかけて!」と話しかけると、すかさず、邦楽の今どきの楽曲を選曲してくれた。私は、Amazonのプライム会員ではないので、「○○の曲をかけて」というようなリクエストには応じてくれず、その都度、「Amazon Music Unlimitedに契約すれば、月額980円で7000万曲の楽曲から自由に選べます」という内容のアナウンスが流れる。これが、結構うっとうしいのだが、まぁ、そこは契約をしていないので、仕方がない。
音楽以外には、例えば、「アレクサ、しりとりをしよう!」とか、ドライブ先で、ちょっとした情報を知りたくなった場合も「〇〇について教えて」など問いかけてみるなど、とにかく、これまでのドライブが、より快適になったのは間違いない。一人でのドライブでも、家族でのお出かけでも、話しかける相手が居る(ある?)という安心感は、心にゆとりが持て、安全運転につながる、そんな印象を受けた。また、眠気が襲うようなドライブ中でも、何かしら話しかければ反応してくれるので、眠気も少しは抑えられるかもしれない。
DCT-WR100Dもすこぶる調子がよく、ドライブ中に途切れる事もなく安定的にインターネットに接続ができた。我が家のクルマは古い(16年前のクルマ)ため、ナビの地図もとても古い。そのため、新しい道があると、ナビ上ではいつも道なきところを走っている。
今回、DCT-WR100Dを介し、スマホのナビアプリを使ってナビをしてもらった。最新の地図情報でナビをしてくれるので、クルマのナビでは遠回りをしていたところも、新しい道を利用して最短ルートをセレクトしてくれるため、とても快適で安全なドライブになった。
そのほか、ちょっとした調べ事や最寄りのガソリンスタンドの検索、パーキングの検索などもストレスなく快適に使えるから、改めてスマホの利便性を実感した次第。このような使い方をしても、Wi-Fi接続なので、データを消費する事はないのがとてもありがたい。
2つの製品を試してみた感想
今回、2つの製品を試してみたが、いずれの製品も、ドライブをより快適にしてくれるアイテムだ。Echo Autoはエンターテインメント性に優れ、長距離のドライブでも退屈することなく移動が楽しめるだろうし、DCT-WR100Dは、実用面でも優れており、タブレットやスマホを本製品に接続すれば、スマホのデータ消費を気にすることなく使えるから、長時間の移動もストレスなくできそうだ。
私のように古い車に乗っている人であれば、古いナビの地図に悩まされることもなく、最新のスマホのナビアプリを使いながらの移動もできるから、より快適で安全な移動が可能になるだろう。
ちなみに、今回のように2つのデバイスを同時使用する場合、シガーソケットが不足してしまう可能性があるので、そういった場合に備えて、シガーソケットを増設できるアイテムを用意しておくと便利だ。
価格について
今回使用したAmazon Echo Autoの価格は4980円。一方パイオニアDCT-WR100Dの価格は2万7500円(別途登録とチャージが必要)となっている。DCT-WR100Dに登録後チャージする料金は、1日550円、30日1650円、365日1万3200円/各税込となっている。
まとめ
これまでドライブといえば、クルマに付いているラジオやCDを聴きながらの移動が多かったが、今回、クルマで使う新たなデバイスとしてAmazon Echo Autoを試してみて感じたことは、もう一人仲間が増えたかのような、そんな気持ちでドライブが楽しめそうに思えたこと。何となく音楽をかけて欲しい時や、少し気になっていたことを徐に聞いてみたり、時にはなぞなぞをしてみたりなど、一人でも、家族でも、移動の時間も退屈することなく楽しめるアイテムだと感じた。
こんなご時世なので、遠出をすることはできなかったが、今後、遠出が許される状況になった際は、ドライブ仲間として役に立ってくれそうだ。また、パイオニアのDCT-WR100Dにおいては、地図アプリや出先で調べ事、動画やゲームなど、多岐にわたって使用ができるから、一人での移動から家族でのお出かけまで、実に頼もしいアイテムになるはずだ。出かける頻度に合わせて、3種類の料金設定から選べるのも嬉しい。