在宅ワークがコロナ禍で注目され、そのメリットデメリットはよく議論されているいます。在宅ワークを嫌う人の理由の一つに睡眠の質が悪くなったことが挙げられています。今回は、「見やすい」「室内の雰囲気を作る」だけでなく、「体の調子を整える」ことを強く意識したライト、Dyson Lightcycle Morph をレポートします。
在宅ワークと睡眠の質の関係
今ドキの仕事スタイル「在宅」。よくメディアで在宅を嫌う人のことがレポートされますが、その理由の一つに睡眠の質が悪くなったことが挙げられています。実は、太陽の光を浴びないと睡眠の質が悪くなることは科学的に正しいのです。脳からメロトニンと言う睡眠ホルモンが分泌されます。メラトニンには、季節のリズム、睡眠・覚醒リズム、ホルモン分泌のリズムといった 概日リズム(サーカディアンリズム)を調整する作用があります。
体内時間が24時間でないことは、いろいろなことから正しいです。では何時間かと言うと、昔は25時間と言われてきましたが、実際はもっと24時間に近いようです。しかし、24時間ではないのは事実。では、普通の生活をしていると困るのでしょうか?困ってませんね。実は本来ずれるべき体内時計を、メロトニンが調整するからです。その間をとるのが太陽光です。特に午前中の光(ブルーライト)は効果があります。
これは時差ボケにも使え、私は現地に着いたら、30分位散歩します。さすがに当日は、調子が出ないのですが、翌朝から通常モードに復帰できます。今回は、「見やすい」「室内の雰囲気を作る」だけでなく、「体の調子を整える」ことを強く意識したライト、Dyson Lightcycle Morph をレポートします。
照明の役割は夜を昼にすることではない
体内時計を乱す「夜」のブルーライト
ブルーライトとは、波長が380~500nm(ナノメートル)の青色光のことです。
ヒトの目で見ることのできる光=可視光線の中でも、波長が短く、強いエネルギーを持っており、角膜や水晶体で吸収されずに網膜まで到達します。
パソコンやスマートフォンなどのLEDディスプレイやLED照明には、このブルーライトが多く含まれていると言われています。しかしブルーライト自体は、太陽光にも含まれています。では、何故、パソコンやスマホだけ、目の敵のように言われるのでしょうか?
それは「凝視」のためです。それまでの凝視は、本。反射光です。しかしディスプレイは発光しています。本とは比較にならないほど強いです。このため、目への影響は「網膜へのダメージ」「眼精疲労」があると言われています。また体への影響は「睡眠障害」「精神状態の不安定」などがあると言われています。
前述の通り、午前中に体内時計を巻き戻さなければならないのですが、PC、スマホなどを夜に使うと、夜でもブルーライトを浴びることになります。体内システムが朝と勘違いし、寝ても「昼寝」感覚となります。それを繰り返すと、自律神経もおかしくなります。
谷崎潤一郎のエッセイに「陰翳礼賛(いんえいらいさん)」と言うものがあります。ここには、生活の中の陰影の素晴らしさが描かれています。しかし、今はどちらかと言うと逆ですね。多くの場合、メイン照明はひたすら明るい。今ではスタンドを使わず勉強している人もいるくらいです。
むしろ、陰影を考慮した間接照明は、高級邸宅ならではという感じです。しかしヨーロッパは、間接照明が当たり前。今、陰翳が残っているのは、むしろ欧米なのです。彼らは、陰翳に満ちた大人の時間を持とうとしますので。
欧米の照明は、夜を夜として扱うのです。そしてダイソンは、その体現者(社)というわけです。
Dyson Lightcycle Morph一台で十分
今回、寝室のメインライトとして、Dyson Lightcycle Morphを使います。当然、使用場所は枕元。部屋には天井にシーリングライトが付いていますが、今回のテスト期間、夜は使わないことにします。
まず気づくのは、夜は夜という感じが戻った感じです。現在のシーリングライトは本当に明るいのです。そして白い。やはり「昼」のイメージなのですね。こうなると、ブルーライトがどうのこうのと言うよりは、明るさだけで体が勘違いするのだなぁと体感します。それに対し、Dyson Lightcycle Morphは、単一光源の電球色(白光色にする機能も持っています)。そのため夜が戻ってきた感じがするのです。薄暗い部屋は落ち着きもします。
6畳の寝室ですが、Dyson Lightcycle Morph 1台でなんとかなるのは、単光源ながら、通常の下ばっかり照らすスタンドと異なり、いろいろな方向へ、光を飛ばすことができるからです。手元を照らす「タスクライト」。
壁を照らす間接照明「インダイレクトライト」。「スポットライト」としても使えます。
また穴あき支柱に光を入れて空間演出させる「アンビエントライト」。
アウトドアでも、ランプの吊るし方一つで雰囲気がガラリと変わりますが、そんな感じです。正直ワクワクしますね。昼と違う部屋を一つ持つような感じです。
またタスクライトで仕事すると、集中力が上がります。スマホ、PCを使う時間が少なくなります。
起床モードでナチュラルな起床ができる
夜を夜と認識しますので、睡眠移行はかなりナチュラルです。
しかし、Dyson Lightcycle Morph が良いのは、それだけではありません。「起床(モード)」が良いのです。起床時間に合わせて点灯し、徐々に明るくなるように設定できるモードです。
東京は夜でも街灯で明るかったり、自動車の通行でうるさかったりします。そのため、私は厚手のカーテンを使っています。このため、カーテンを開けなければ部屋は暗いままです。だんだん明るくなることで、「朝が来たな、起きようか」と言う感じがするのです。要するにナチュラルな起床ができる。当然、頭や眼は重くありません。
ただ個人的に思うこともあります。寝起きがより良いのは、浅い眠りからの覚醒だと言います。深い眠りからだと、頭が重いことがあります。できれば睡眠状態を計測できるスマートウォッチと連動、良いタイミングを狙って起こしてくれる機能があれば最強でしょう。
まとめ
人が人として生きていられると実感できる家電
Dyson Lightcycle Morph はちょっとお高い家電。スタンドライトは通常2〜3万円で手に入りますので、かなり高いのは事実です。しかし、夜を、陰翳を、大いに楽しめます。人が人として生きるために必要な知恵が詰まっている感じです。
LEDの耐久性をあげる銅のヒートパープなど、いろいろな技術が詰まっているのですが、それが良い悪いではなく、直線的なフォルムながら、ある種の優美さを感じさせる照明ということで良い感じがするのです。李白の詩に「古人夜遊ぶ まことに故あるなり」と言う一節がありますが、それに相応しい雅がある大人の家電と言えます。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。