LCC(Low Cost Carrier)のピーチ(Peach Aviation)が10月13日、カプセル型自販機(ガチャ)による「旅くじ」の販売を渋谷PARCO6Fのエスカレーター横特設会場にて開始した。この「旅くじ」は、新たな旅のスタイルとして好評を博した心斎橋PARCOに続く第2弾。次なる設置場所は渋谷PARCO。「旅くじ」カプセルの中身や購入方法をレポートする。
行き先をガチャで決める「旅くじ」とは
偶然性がもたらすワクワクと地域の新発見を楽しむ
旅くじは、1回5000円で購入すると、行き先を指定される新しいタイプのカプセル型自販機だ。今年8月に大阪「心斎橋PARCO」に設置して以降、SNSなどで話題を呼び、約2か月で3000個以上を販売した実績を持つ。このSNSを見た利用者から「他エリアにも設置して欲しい」との声に応え、第2弾として渋谷PARCOでの販売が実現した。
行き先はカプセルごとにランダムに決まるため、同社は「偶然性がもたらすワクワクと地域の新発見を楽しむ」新しい旅のスタイルと位置づけている。
渋谷PARCOで販売される各カプセル内には、ピーチが運航する東京(成田)発の女満別、釧路、札幌(新千歳)、大阪(関西)、福岡、大分、長崎、宮崎、奄美、沖縄(那覇)、石垣の国内11路線航空券が買えるピーチポイント6000円分以上と、オリジナル缶バッジが入っている。販売は今年12月末までの期間限定だが、ピーチポイントに交換できる有効期限は2022年3月31日で、期限内ならいつでもピーチポイントを航空券の購入に充当できる。
「旅くじ」を購入する手順
(1)ガチャにあるPayPayのQRコードを読み込む
(2)「旅くじ」のロゴマークが出ている画面で「支払」を押す
(3)支払いが完了してガチャのボタンが点滅したら押す
(4)中身を確認
旅先でのミッションクリアでポイントをゲット
さらに旅先でのミッションが行き先別に同封されており、ミッションをクリアしたことをピーチが運営する旅の口コミサイト「tabinoco(タビノコ)」に「#旅くじ」をつけて投稿すると、毎月1名に3000円相当のピーチポイントが当たる企画も並行して行われている。
支払いは「PayPay」のみ
購入する際の支払い方法は、心斎橋PARCOでは現金5000円札のみで対応していたが、渋谷PARCOで利用できるのはスマホ決済サービス「PayPay」のみ。これについてピーチは、「心斎橋PARCOはワーキングスペースということで人員を配置できたが、渋谷PARCOでは通路上での設置であることでそれができない」ことを理由とした。ただ、決済をPayPayとすることで現金管理をしなくて済むわけで、セキュリティ上のメリットも大きいはずだ。
この日、購入した人たちもPayPayの利用には慣れている様子で、混乱することはまったくなかった。
「旅くじ」をお得に使う方法は?
ピーチが実施するセール期間を狙え!
「旅くじ」購入時の注意点としては、交換できるピーチポイントは必ずしも一定ではなく、航空券を購入時にポイントを交換することで初めてポイント数が判明するということ。さらに交換したピーチポイントが使えるのは指定された行き先だけで、仮に交換後にポイントが残っても他の行き先に使うことはできない。一方で、行き先が同じであれば残りを次の機会に使うことは可能だし、同じ行き先の同行者の運賃に充てることはできる。
また、ピーチの運賃は変動制であるため、タイミングによっては、交換したピーチポイントでは往復どころか片道分にも不足することはあり得る。そのため、お得に往復チケットを得るコツとしては、頻繁に行われているセール期間中を狙うことだ。なお、航空券に交換できる期間は3月31日だが、搭乗日はそれ以降でも構わない。
スタート初日の様子をレポート
渋谷PARCOでのスタート初日は、開店と同時に50人ほどが並ぶ人気ぶりとなった。会場がPARCOということもあり、並んでいる人の大半が若い世代だったが、一部には年配者の姿も。ピーチによれば「(2か月3000個を販売した)心斎橋PARCOでもこれほどの人は並ばなかった」と話し、早くもカプセル補充の心配をする状況となっていた。
購入1番乗りを果たしたのは横浜から「このカプセルを購入するために初めて渋谷PARCOを訪れた」という男女3人組。それぞれに「札幌(新千歳)」「大阪(関西)」「釧路」を獲得し、「これから料金のタイミングを見ながら出掛ける日程を決めたい」と話していた。
今後の展開は?
予想を超える反響に企画担当者もビックリ!
旅くじを企画したピーチ 事業戦略室 ブランドマネージャーの小笹俊太郎氏は、「販促を狙って企画したのではない。コロナ禍で旅のワクワク感が得にくくなっている状況で、なんとか楽しい企画を立案できないかが発想の出発点だった」と話す。それだけに大阪の第一弾では「誰も買ってくれなかったら・・という不安もあったが、1日ひとつでも売れれば良い」(小笹氏)という気持ちでスタートしたという。
しかし、フタを開けたらTV番組で紹介されたり、SNSなどで話題を集めたことで予想を超える販売を記録。ピーチとしても期待以上の結果を生み出すこととなった。利用者からは、コロナ禍で外出が制限されっぱなしだったこともあり、この企画が「旅に出掛けるきっかけを作ってくれた」との声があり、「ピーチが就航している他のエリアへの設置を求める声も相当数いただいており、その検討をしていく必要があると考えている」(小笹氏)と話す。
他エリアへの展開も検討
今回のガチャでの販売ではなく、インターネットで行き先不明で販売する方法は考えなかったのかという質問に小笹氏は、「それはまったく考えなかった。ガチャが設置してある場所に来ていただき、そこで購入した人同士が行き先を交歓し合うことも旅の始まりのひとつではないかと思っている」と話す。実際にこの日も、初めて出会った人同士が行き先を見せ合う姿を数多く見ることができた。ミステリーチックな新しい旅の形としてピーチがどこまで定着させられるか、今後の展開に期待したい。