【魅惑のコンポセット2021】プロがおすすめ!麻倉怜士の推奨セットベスト6

レビュー

従来のディスクに加え、ダウンロード、ストリーミングなど音源をユーザーに届ける手段が多様化してきたが、オーディオで聴く基本は「音源機器」「増幅機器」「スピーカー」の3点セットであることは変わらない。最も重要なのはスピーカーだが、自分はどんな音楽が好きで、どんな音の好みがあるかをはっきり認識し、それを判断基準として選択しよう。

自分はどんな音楽が好きで、どんな音の好みがあるかを認識して、スピーカーを選びたい

最近、音源が多様化し、従来のディスクに加え、ダウンロード、ストリーミング、ブルートゥース、Wi-Fiなどの飛び道具系が加わってきたが、音楽をオーディオで聴く基本は「音源機器」「増幅機器」「スピーカー」の3点セットであることは、古来から未来永劫変わらない。

この三つは、二つになることがある。CDプレーヤー/ネットワークプレーヤー/USB DACと一体化したアンプや、アンプを取り込んだアクティブスピーカーという具合に、最近は複合機器が増えているからだが、あくまでも基本は3点セットである。

「音源機器」「増幅機器」「スピーカー」のうち、最も重要なのはスピーカーだ。システムの音質、音色はスピーカーで決まる。

かつてのスピーカーは、「ジャズはJBL、クラシックはタンノイ、その逆はダメ」というように、得意・不得意のジャンルがはっきりしていた。現代のスピーカーはそこまでの強烈な個性はないものの、やはり物の道理からして、どんなスピーカーでもキャラクターを持つ。

なので、スピーカー選びとしては、周波数帯域の広さ、ダイナミックレンジの幅、音の立ち上がり/立ち下がりのスピードという物理的、オーディオ的な特性もさることながら、その音がいかに音楽的か(単なる音ではなく、音楽を奏でるか)、その音が好みかという観点でセレクトするのが賢い。

それには、自分はどんな音楽が好きで、どんな音の好みがあるかをはっきり認識するのが必要だ。それを判断基準として、選択しよう。

スピーカーを決めたら、それを最大限に鳴らしてくれるアンプを選び、次に音源機器を決めるという順番がいい。

冒頭に述べたように音源をユーザーに届ける手段が多様化している。そこで今回は、ネットワークプレーヤーを音源機器として選んだ組み合わせも紹介している。とはいえ、基本はスピーカーなので、そのスピーカーの特色、個性を生かす組み合わせを選んだ。

では、素晴らしいオーディオの世界の扉を開けよう。

麻倉怜士セレクト 1録音エンジニア御用達スピーカーの「精確音場再現」

▶︎組み合わせ価格:16万3950円

スピーカー
イクリプス
TD307MK3
実売価格例:5万5000円(ペア)

●幅135mm×高さ212mm×奥行き184mm●2kg(1本)

卵型形状のTD307の第3世代。ユニットには6.5センチフルレンジ。素材は紙からグラスファイバーへと変更されている。「正確な音」を目指す音作りが特徴だ。

CDプレーヤー
デノン
DCD-800NE
実売価格例:4万9000円

●幅434mm×高さ107mm×奥行き275mm●4.5kg

DSD5.6Mヘルツ対応DACチップ、「PCM1795」を搭載し、USBメモリーに収載されたDSDと最大192kヘルツ/24ビットのハイレゾ再生が可能。

プリメインアンプ
デノン
PMA-800NE
実売価格例:5万9950円

●幅434mm×高さ122mm×奥行き307mm●7.5kg

デノンの最上位モデルで開発された1ペアの素子のみで増幅を行う。192kヘルツ/24ビット対応の光/同軸端子も持つ。フォノイコ搭載。

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ホールで録音する際、楽屋部屋を臨時に調整室とすることが多いが、そこでモニタースピーカーとして使われるのが、イクリプスの卵型モデルだ。

無色透明で元の音に色づけせず、正確で誇張のない音色、正確な時間軸の再生、点音源のシングルコーンによる正確な音場再生、とタイムドメイン理論に基づいた、いくつもの「正確さ」で発音するから、録音エンジニアが愛用するのだ。

そんなプロ仕込みのスピーカーの正確再現を愛でる組み合わせだ。

イクリプスは、もともと富士通テンが手掛けていたスピーカーブランドだったが、事業ごとデンソーが買収。定番の307シリーズ(初代は2003年発売)が今回、モデルチェンジを受け、第3世代に進んだ。内部構造の進化、振動板を紙からグラスファイバーへ変更、 キャビネット容量を増やすなどの措置により、ユニット径は同じ6.5センチだが、格段に音質が向上した。

音源機器はデノンのCDプレーヤー、DCD-800NE、増幅のプリメインアンプは同じくPMA-800NEと、定評あるデノンコンビを採用した。DCD-800NEは、USBメモリーからのハイレゾ音源再生も可能。

PMA-800NEは、デノンの最上位モデルで開発された1ペアの素子のみで増幅を行う「シングル・プッシュプル」構成を採用するなど、上位機の技術やノウハウが盛り込まれた定番だ。

この組み合わせで聴くTD307MK3は、空間感がとてもいい。抜けがクリアで、細部まで明瞭だ。まるで音場内の音の放射の軌跡が目で見えるよう。微小信号の再現性が高く、音楽が生体的に呼吸しているかのような生々しさ。

UAレコード合同会社の情家みえ「チーク・トゥ・チーク」の冒頭のベースは、このユニットサイズだから量感は出ないが、質感がとてもいい。スピードが俊速で、キレ味がシャープだ。

ビジン・クラシカルレーベルのメジューエワのピアノは音像イメージが緻密で、ピアノの打鍵が快速。小気味いい音楽的鮮鋭感に感動だ。

麻倉怜士セレクト 2「ワイヤレスハイレゾ」は飛び切りの高音質!

▶︎組み合わせ価格:28万6900円

スピーカー
パラダイム
PREMIER100B
実売価格例:10万8900円(ペア)

●幅169mm×高さ282mm×奥行き239mm●5.85kg(1本)

PREMIER100Bには、上級モデルの技術的ノウハウが多く投入されている。ツイーターは25ミリ、ミッド・バスは140ミリ口径のユニットを採用。

D/Aコンバーター+プリアンプ
パイオニア
Stellanova Limited
実売価格例:17万8000円(パイオニアITストア限定販売)

【USB DACアンプ】
●幅198mm×高さ33mm×奥行き147mm●570g
【ワイヤレスユニット】
●幅198mm×高さ33mm×奥行き149mm●440g

Wi-Fi受信+DAC+アンプの機能を収めたスタイリッシュな筐体。回路設計や組み立て、品質評価までを熟練エンジニアが国内で行う。

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Stellanova Limitedは、偏平な岩石を2枚重ねたような形をした、Wi-Fi機能を有するDAC+プリメインアンプである。ファッショナブルでアバンギャルドだが、音は実にオーソドックスでハイクオリティ。このサイズからは信じられない、ワイドレンジで明瞭、そして本格オーディオのエッセンスが凝縮された、コクの濃い音だ。

ポイントは三つ。第1が、Wi-Fiによる非圧縮ワイヤレス接続。そのレートは300Mb/sで、ブルートゥースの150倍もの転送速度だから、パソコンやスマホのハイレゾ音源を、そのままの情報量で受け取ることができる。

第2は、「贅を極める」という形容がふさわしいハイクオリティなデバイスが投入され、高品位な回路設計がなされたこと。

第3にして最大のポイントが、設計者のこだわりだ。本機は、パイオニア出身で40年以上、オーディオを修行してきたメンバーが、「これまで培ってきた音質ノウハウを生かし、音のいいオーディオを作りたい」と、希求し開発した。

音を聴きながら部品を選定し、音のいい回路設計に知恵を巡らし、さらに組み立て現場で、自らがはんだゴテを握る。温度を厳密に管理する音のいいはんだ付けの方法を彼らは体得しているから、責任を持ってはんだを盛るのだ。

スピーカーは、カナダ・パラダイムのPREMIER100B。ハイエンド機で開発された多くの高音質技法を採り入れた入門機で、独特の穴あきカバー(ユニットを損傷から保護し、指向性を改善する)はその一例。エンクロージャーも頑丈だ。

情家みえの「チーク・トゥ・チーク」では、クリアで伸びの鋭い上質な音。音のテクスチャーが端正で、階調感が細やかだ。ボーカルにボディ感が備わり、ベースは音の核がしっかりとし、弾力感もいい。

「ニューイヤー・コンサート」では、オーケストラの音の進行がすべらかで、ウィーン・フィルらしい上質感が耳に優しい。質感がしなやかで、艶やかなリアリティが聴ける。「練れた音」という表現が正しいだろう。

麻倉怜士セレクト 3「世界的スピーカーエンジニア」の音の技を堪能

▶︎組み合わせ価格:35万9920円

スピーカー
ワーフェデール
DIAMOND 12.2
実売価格例:8万7120円(ペア)

●幅200mm×高さ335mm×奥行き313mm●8.2kg(1本)

150ミリウーハー、25ミリツイーターによる2ウエイ・ブックシェルフ型。高性能な振動板、ポリプロピレン+マイカの「Klarityコーン」を搭載。

ネットワークCDプレーヤー
マランツ
ND8006
実売価格例:13万6400円

●幅440mm×高さ106mm×奥行き369mm●8.0kg

CDプレーヤーとネットワークプレーヤーを統合した「ネットワークCDプレーヤー」。現代のすべてのデジタル音源にアクセス可能だ。

プリメインアンプ
マランツ
PM8006
実売価格例:13万6400円

●幅440mm×高さ128mm×奥行き379mm●12.0kg

USB DACなしのピュアプリメイン。MM対応のフォノイコを内蔵。高性能電子ボリュームを採用し、マランツ独自の増幅回路を組み合わせている。

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工業製品は、誰かが開発し、設計して誕生するが、音に個性が要求されるスピーカーの場合は、特に誰が作ったのかが話題になる。

イギリスの名門スピーカーメーカー、ワーフェデールの最新のDIAMOND12シリーズは、世界的に著名なスピーカーデザイナー、カールハインツ・フィンク氏が音作りを行ったという触れ込みだ。氏は、これまでドイツのALR、イギリスのQアコースティクスの製品で音作りを行い、世界的に高い評価を得ている。

ここでは、ブックシェルフ型の12.2をセレクトした。ウーハーには、ポリプロピレンとマイカのハイブリッド素材、Klarityコーンを採用。俊敏な動作を可能にする軽量さ、高剛性、材質固有の音を排除する減衰特性を備えている。

音源機器は、マランツのND8006。CDドライブとネットワークプレーヤー/USB DACを一体化したネットワークCDプレーヤーだ。今日のすべてのデジタル音源にアクセスできる。音の情報量の多さが美質だ。

プリメインアンプは、同じマランツのPM8006。昨今はDACを内蔵したアンプもあるが、本機は非内蔵型だ。ハイレゾ系は技術革新が速く、アンプ内蔵DACは、いずれ対応ファイルに限界が生じる可能性がある。それならピュアなアンプが望ましい。

高精度な電子ボリュームを搭載。通常使用される音量の範囲内ではプリアンプでなく、パワーアンプのみで増幅することで、ノイズを低く抑えている。音場の透明感、余韻の豊かな再現など、クラスを超えた音を聴かせてくれる。

DIAMOND12.2の音には、懐かしいデジャヴ感がある。潤いが耳に優しい音だ。キリキリと細部を立てるのではなく、おおらかに、悠然としたサウンドがとても心地いい。なごみと暖かい微笑みを聴かせる、素敵な雰囲気の音で、ゆったりとした時の流れに身を任せるという感覚だ。

音楽の機微に触れ、そこから癒しや、やすらぎを得たいと思ったら、この組み合わせだ。

麻倉怜士セレクト 4骨太でグレートなアメリカンサウンドに酔う

▶︎組み合わせ価格:58万7400円

スピーカー
ポークオーディオ
Reserve R700
実売価格例:23万7600円(ペア)

●幅329.3mm×高さ1185.9mm×奥行き404mm●35.9kg(1本)

アメリカで人気のフロア型スピーカー。高域、中域、低域の3ウエイ方式。エンクロージャーは大音量再生時にも揺るがないリジッドな仕組みが採用されている。

D/Aコンバーター+プリアンプ
ニュープライム
DAC-9SE
実売価格例:11万8800円

●幅235mm×高さ55mm×奥行き281mm●2.5kg

DACの定番品、DAC-9の改良モデル。外観は同じだが、デバイスが最新型になった。高解像度で、透明感が高く、緻密な音調だ。特にDSDが素晴らしい。

パワーアンプ
ニュープライム
AMG STA
実売価格例:23万1000円

●幅235mm×高さ55mm×奥行き285mm●4kg

人気の高いSTA型番のアップグレード版だ。瞬時電力供給能力、スイッチング周波数の向上などの成果で、格段の高音質を実現している。

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アメリカの家電展示会では大きなブースを構えているので、りっぱなスピーカーメーカーだとは認識していたが、日本市場では販売しておらず、名前の印象しか残っていなかったのがポークオーディオ。ポークとは創業者の名前(Matthew Polk)で、1972年に、メリーランド州ボルチモアで設立されたオーディオメーカーである。

現在は、スピーカー市場でアメリカのトップグループに位置するヒットメーカーだ。今回の日本でのスピーカー販売に先駆けて、昨年から発売されているサウンドバー、REACTの音がいい。さすがはオーディオメーカーの作品らしいバランスのよさが聴ける。

ここではReserveシリーズのトップモデル、フロア型のR700を選んだ。20センチウーハーを2基搭載し、充実した低域再現を目指したスピーカーだ。

スピーカーがアメリカなら、音源・増幅機器もアメリカから調達。DACはニュープライムのDAC-9SE。定番品として名高いでDAC-9の改良モデル。使用DACは、旭化成エレクトロニクス製の最新チップにし、トランスに防振処理を施した。

試聴してみて、クオリティは格段に向上していることがわかった。ディテールまでの丁寧な描写感、音の粒子の細やかさ、そして音の勢いの豊潤さなど、耳の快感であった。

DAC-9SEはプリアンプ機能も持つ。そこで同じニュープライムのパワーアンプ、AMG STAと組み合わせよう。新世代のAMG STAは上級の音だ。闊達な音模様と、上質な響きの美しさが聴ける。

この組み合わせの音は実にスケールが雄大で、悠々とした器量の大きなアメリカンサウンドの中にも、繊細な表情が聴ける。安定したピラミッド形状の周波数特性だ。

情家みえの「チーク・トゥ・チーク」ではベースがゆったりとし、ボーカルが美しく、伸びのいい表情で聴かせる。ウィーン・フィルの「ニューイヤー・コンサート」は、重量級の響きで、どっしりとした体積感の大きなサウンドが楽しめた。中高域が鮮明で、ライブならではの元気いっぱいの楽しい音だ。

麻倉怜士セレクト 5チューリッヒの名スピーカーが奏でる「清涼スイスサウンド」

▶︎組み合わせ価格:104万600円

スピーカー
ピエガ
ACE 50
実売価格例:36万3000円(ペア/シルバー)

●幅140mm×高さ1040mm×奥行き160mm●12kg(1本)

蛇腹式ツイーター+ウーハー×3の4ユニットのバスレフ型3ウエイ。ピエガ伝統のアルミ筐体のスリムな長身スピーカーだ。高い質感再現が本スピーカーの持ち味。

CDプレーヤー
トライオード
TRV-CD6SE
実売価格例:29万2600円

●幅345mm×高さ105mm×奥行き335mm●8.1kg

真空管アンプの専門メーカーが開発したCDプレーヤーらしく、ソリッドステート出力と真空管出力を持つ。アップコンバート機能もおもしろい。

プリメインアンプ
ヤマハ
A-S2200
実売価格例:38万5000円

●幅435mm×高さ157mm×奥行き463mm●22.7kg

ヤマハのプリメインアンプ200シリーズのミドルクラス。堅牢な構造、大容量の電源、振動対策にこだわった。明瞭なサウンドで、音に勢いとビビッドさが感じられる。

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スイス・チューリッヒのスピーカーメーカー、ピエガは、高品質で透き通ったクリアなサウンドが持ち味だ。スピーカーでは立地や歴史、文化がその音を規定するといわれるが、ピエガからは、まさにスイス的な、清涼な記号性が感じられる。

ACEシリーズは従来の入門スピーカー、TMicroシリーズの後継で、ラウンドしたアルミのエンクロージャーに、12センチのウーハーユニット3基と、蛇腹式で圧縮伸張動作を行うハイルドライバーツイーターが組み込まれている。

CDプレーヤーは、トライオードのTRV-CD6SE。トライオードらしい仕様が真空管バッファ回路。真空管とソリッドステート(半導体)の音調比較が可能だ。話題のMQA-CD再生も可能。

基本のソリッドステートのCD44・1kヘルツ/16ビット再生は、とても音楽的な音を再生する。真空管サウンドは、綿密感と色彩感の楽しさが聴ける。音楽が濃い音を再生するモデルだ。

プリメインアンプは、ヤマハのA-S2200。ミドルクラスながら、非常に品質感の高い、明晰な音が聴ける。音楽的な表情感とオーディオ的な明確さのどちらも得た音だ。

では、ACE 50の音はどうか。とても品質感が高いサウンドだ。しなやかに、自然に鳴り、クリアで清涼な音調が楽しい。透明感が高く、きれいに高域が伸びる。リリシズムとリアリティが両立した、音の粒子の動きまで見えるような、透き通った生々しい描写力で、色に例えると、きれいな薄いブルーだ。

「ニューイヤー・コンサート」では、ウィーン・フィルの弦の溌剌さ、伸びやかな質感、ビビッドさが、耳に心地いい。強調感がまったく感じられず、まさに音楽が、そこからふわっと浮いてくる。ナチュラルで同時に音楽的なのである。

ピエガといえば、リボンツイーターというイメージだが、メーカーとしての基本音調は、瓜二つだ。ピラミッド的な、雄大なバランスだが、でもハイスピードで、敏捷な音進行も同時に得られる。

麻倉怜士セレクト 6名門エラックの最新スピーカー、「風の音を聴け」

▶︎組み合わせ価格:119万1300円

スピーカー
エラック
Solano FS 287
実売価格例:48万700円(ペア)

●幅260mm×高さ985mm×奥行き300mm●19.0kg(1本)

上級のVELAシリーズで開発した高音質技法を多数援用した、エラックの中核機。蛇腹式のJET Vツイーターと150ミリウーハー2基による2.5ウエイ・バスレフ型だ。

USB DAC/ネットワークプレーヤー
ティアック
UD-701N
実売価格例:38万2800円

●幅444mm×高さ111mm×奥行き334mm●11.8kg

独自開発の⊿ΣディスクリートDACを搭載し、DSD22.5Mヘルツ、PCMは384kヘルツ/32ビットまで再生可能。ブルートゥースも聴ける。

パワーアンプ
ティアック
AP-701
実売価格例:32万7800円

●幅444mm×高さ111.3mm×奥行き348.2mm●9.9kg

「エソテリック」の血統を引く。入力から出力まで完全デュアルモノラル構成を採用。2連指針式レベルメーターで音楽の脈動が見える。

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新鋭のコンポで組んだハイクオリティシステムだ。

スピーカーは、エラックのフロア型、Solano FS 287。エラックが本拠を置く北ドイツ・キールは軍港だ。エラックのスピーカーには、それにちなんでCARINA(船の竜骨)、VELA(帆)と、船関係のネーミングが与えられている。Solanoはスペイン語で「東風」の意味。キール港から東風に乗ってバルト海に出港するのだ。

技術的には上級のVELAで採用したツイーターの指向性を改善するウェーブガイドや高剛性フレーム構造を採用。そのツイーターは、蛇腹式で音のエネルギーが強いJET Vだ。

DAC/ネットワークプレーヤーはティアックのReferenceシリーズのUD-701N。ティアックにはマニア向けブランド「エソテリック」があるが、そこで培った音質向上ノウハウを惜しみなく投入。これまで同シリーズはコンパクトサイズだったが、本機と次に紹介するアンプは、幅44センチの本格派。

何といっても独自のDACデバイスが強みだ。一般には、半導体メーカーから調達するが、音設計の自由度を高くしたいという理由から、エソテリックは自社開発DAC路線を突き進んでいる。その流れを受け継ぎ、UD-701Nは1ビット系のΔΣ(デルタシグマ)ディスクリートDACを開発、搭載。

このプリアンプ機能で、パワーアンプのAP-701を制御する。2連指針式レベルメーターが音楽の鼓動をビジュアル化。入力から出力まで、2系統のモノラル構成が採用されている。

FS 287は、音の品位感が非常に高く、艶や潤いが心地よく、音のしなやかさや剛性感が巧みにバランスしている。繊細かつグラデーションが細やかで、艶やかという美質と、フロア型ならではの雄弁さ、雄大さも併せ持つ。

体積の大きな低音に支えられ、中高音がまるで翼を持って羽ばたくように、美味な音調を聴かせてくれる。ボーカルのテクスチャーは人肌的で、立体的なイメージングとともに、語り口が麗しい。

※価格は記事作成時のものです。
■解説/麻倉怜士 (デジタル・メディア評論家)

この記事は『大人のオーディオ大百科2021』(マキノ出版)に掲載されています。

www.amazon.co.jp

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