「ネコ」といえば、こたつで丸くなったり、お魚くわえて追いかけられたり、なんとなく「人のそばにいる動物」というイメージです。ところが今、野生のネコ科動物が人気らしいのです。「ネコ科動物?」と首を傾げていたところ、「美しすぎるネコ科図鑑」という本を発見! 開いた途端、みごとに沼にハマりました……。その内容の一部をご紹介します。
「美しすぎるネコ科図鑑」とは
最近、俳優やアイドルだけでなく、動物の「推し」を持ち、動物園に会いにくる人が増えているそうです(東山動物園のイケメンゴリラは有名ですよね)。なかでも、そのフォルムの美しさや動作の愛くるしさから、「ネコ科」への人気が高まっているといいます。
「美しすぎるネコ科図鑑」(小学館)の編者・写真家の南幅俊輔さんも、ネコ科動物に魅せられ、追い続けている一人です。家庭で飼われている「家猫」だけでなく、自由気ままに生きる「ソトネコ」のたくましさにも魅了されている南幅さんは、世界中の猫たちを訪ね歩き、その姿を写真に収めて、ウェブメディア「かぽれ」など、さまざまな媒体で発表しています。
南幅さんの興味・関心は、猫から「ネコ科」の野生動物へと広がっています。ネコ科の動物といえばライオンやトラは知っているけれど、ほかにはどんな動物がいるんだろう……。調べ始めると、次々と現れるネコ科動物の美しさに圧倒されることになりました。日本国内の動物園を訪れて取材し、ネコ科の動物たちの撮影を開始。写真と詳細な資料を一冊にまとめたのが、「美しすぎるネコ科図鑑」です。
ただのネコ写真集ではない!
本書はオールカラー96ページ。モフモフのネコ科の赤ちゃんたちや、雪原や樹上を颯爽と駆けるネコ科の獣たちの写真が壮観です。ただしこの本は、ただの写真集ではありません。
南幅氏の企画の肝は2つ。
1つは、詳しいイラスト図解でネコ科の特徴を知ることができる本にすること。
1000万年をかけて、共通の先祖から進化してきたといわれる小・中型ネコ科の8系統それぞれの特性や、能力、行動、大きさが、イラスト付きでわかりやすく解説されています。
動物学者の今泉忠明氏に監修をお願いしたのも、南幅氏のこだわりの表れでしょう。
今泉氏は、「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」シリーズ(高橋書店)の監修者として、皆さんもご存じかと思います。専門分野は、哺乳類を主とする分類学・生態学とのことですが、1970年代にはイリオモテヤマネコ保護のための生態調査に参加。伊豆高原ねこの博物館館長や日本ネコ科動物研究所所長を務めた経歴もあり、ネコ科図鑑を監修していただくのにピッタリの先生なのです。
2つ目の肝は、ネコ科に会える全国の動物園マップ。
掲載されている動物園には、南幅氏が足を運び、取材・撮影しています。飼育員さんから直接聞いた「ネコ科秘話」や、動物園から提供された貴重な写真(生まれたての子供の様子など!)も収載されています。
家猫とネコ科動物の違いがよくわかる
ライオンやトラの子供がどんなにかわいくても、大人(成獣)の姿を知っていれば「飼いたい」とは思いません。でも、さほど大きくならず、姿形が愛らしいマヌルネコやスナネコは、つい「飼いたい!」と思ってしまいます。
本書の表紙を飾っているマヌルネコは、モフモフの体毛と短い手足がかわいらしく、「すべてわかっている」ような表情も魅力。しかも、コマ送りのように「かくかく」動くとのこと。たまらないかわいさです。
スナネコは、日本の動物園に登場したとき、その愛らしい姿から「砂漠の天使」と呼ばれ、日本中の話題をさらいました。たしかに天使です。しかし実は気性が荒く、見た目に反してワイルド。そのギャップがまた魅力となり、人気は高まるばかりとのこと。
かわいい!触りたい!飼いたい!でも、本書に掲載されている「ネコ科の系統樹」を見ると、マヌルネコもスナネコも、家猫とは別の進化を遂げた別の動物であることがわかります。素人の私たちがなれなれしく触ったり、飼ったりすることはできません。動物園で眺めて癒されましょう。
まとめ
近々名古屋に行く予定がある筆者は、さっそく東山動植物園の訪問を予定に組み込みました。10種類ものネコ科動物に会えるなんて、夢のようです。「鳴き声が聴けるといいなあ」「自撮りでツーショットをうまく撮れるかな」などと、すっかり「推し」に会いに行くファン状態。我が家の家猫たちももちろんかわいいのですが、ネコ科の獣たちにはまた別の魅力があります。皆さんも「美しすぎるネコ科図鑑」を片手に、動物園巡りをしてみてはいかがでしょうか。
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