今回は、ホットサンドメーカーを使ったアレンジレシピをお届けします。今、ホットサンドメーカーで、「パン以外」のものを焼くことがひそかに流行中です。肉巻きやら、ハンバーグやら、ピザやら、ライスバーガーやら。確かにおいしそうではあるのですが、ホットサンドメーカーの一番のウリである「手軽さ」が置き去りになってはいないでしょうか。キャンプでは手軽に調理をしたい! ということで、何も手を加えず、ホットサンドメーカーにはさんで焼くだけでおいしい「コンビニ食材」を探してみました。
ホットサンドメーカーの人気はまだ続く
コロナ禍の影響で、2020年はホットサンドメーカーが売れに売れました。自宅での巣ごもり期間が長くなるにつれて、「本格的な調理を手軽に楽しみたい」「非日常感を味わいたい」というニーズが生まれて消費を後押ししたのです。
ホットサンドメーカーは「楽天ヒット番付2020」にも選ばれ、2020年1月1日から9月30日の期間において、前年同期比の約248%という売上を記録しています。
グランピングの流行が人気を後押し
「ベランピング」の流行も、ホットサンドメーカーの売上アップに関与しました。ベランピングというのは、グラマラスとキャンピングをかけた「グランピング」という造語に、さらにベランダをかけた「造語の申し子」です。簡単にいうと、ベランダや自宅の庭で、豪華でゆったりとしたキャンプ体験を行うことを意味します。
とはいえ、グラマラスなキャンプといっても、ベランダで炭火焼のバーベキューをすることは都会ではなかなか実現できません。ホットサンドメーカーであれば、直火式のものでもカセットコンロなどでパパッとベランダ調理することができます。気ままに外出や遠出ができない閉塞感から、ホットサンドメーカーのお手軽な非日常感が求められたのです。
「パン以外を焼く」が流行中
ホットサンドメーカーを持つ人が増えたことで、ホットサンドメーカー界はにわかに発展しました。食パン1枚でホットサンドがつくれる「ホットサンドソロ」(燕三条キッチン研究所)が爆売れしたり、具材たっぷりの分厚いサンドイッチにも対応するホットサンドメーカーが新発売されたりと、ここ数年で、さまざまなニーズに応えるホットサンドメーカーが誕生しています。
また、ホットサンドメーカーを使った、調理に特化するレシピ本も次々と発売されました。レシピ本で扱われるメニューは、どのような具材をはさむとおいしいか、断面が映えるかといったホットサンドの応用だけにはとどまりません。
生の肉類や魚介類を蒸したり、煮たり、しまいには揚げたりするレシピも登場し、いまや、ホットサンドメーカーでパン以外のものを焼くことがひそかに流行中なのです。こうしてホットサンドメーカーの人気は、少しずつ形を変えながらも2021年末になっても衰えずにいます。
ホットサンドメーカーで「パン以外」の食材を焼く
流行には乗りたいほうなので、パン以外を焼いてみようとは思い立ったものの、1点だけどうしても腑に落ちません。それは「ホットサンドメーカーのいいところってお手軽な非日常感だよね? 凝った料理をするなら、大きいフライパンのほうが吹きこぼれもなくて調理しやすくない?」ということです。
手軽さに原点回帰してみる
さらに、ホットサンドメーカーで焼けるのは、基本的に1人分となります。多くのホットサンドメーカーが、パン1枚分の大きさだからです。ソロキャンプならアリだと思います。分量もちょうどいいですし、時間にしばられずにゆっくり下ごしらえをするのもキャンプの醍醐味ですよね。
ただ、主婦としては、キャンプだろうがベランピングだろうが、ちょっと凝った料理をするのならメイン料理として家族全員分を一度に作ってしまいたい……!!
ということで、今回はホットサンドメーカーの「手軽さ」に原点回帰します。ひと手間くわえたり、ひと味たしたりせずに、買ってきたものをそのまま焼くだけ、にこだわっていろいろ楽しく焼いてみました。
自分に課したマイルールは3つ
子どものいない平日の昼間に、約1週間にわたって繰り広げた「ホットサンドメーカーで1人気軽に焼き焼き大会」で、私は自分に3つのルールを課しています。
(1) コンビニ大手の「セブン-イレブン」で食材を買う
(2) 買ったものをそのままホットサンドメーカーに乗せて、何の手も加えずにただただ片面2分ずつ計4分焼く
(3) 油をひくのも、マヨネーズなどでひと味加えるのも禁止!
「おいしい」と聞いたことのある、肉まんやタコ焼きなどはスルーして、奇をてらったものもスルーして、自分なりにおいしいだろうと思えるものを選びました。さあ、実際に焼いて食べていきます!
ホットサンドメーカーでコンビニ食材を焼く!
コンビニで手に入る「パン以外」の食材を集めてクッキングをすることに。
おにぎり、おつまみ、スイーツを焼く
何を焼こうかと近所のセブン‐イレブンを3周して店員さんに不審がられたところで、ご飯、おかず、デザートを網羅しようと思い立ちました。
選んだのは「香ばしく焼いた焼おにぎり」「いなり寿司具だくさん五目」「炭火香るサラダチキン」「したらば」「北海道鶏肉のミートボール」「オイルごと使えるオリーブオイルさば」「どら焼」の7点です。
まずはご飯系を2種類焼いてみました。焼おにぎりをさらに焼くことで、かなり香ばしくなると踏んでいるのですが果たして…。
「焼きおにぎり」と「いなり寿司」
ここでよくわからないミラクルが起きました。ヒゲタ本膳の醤油だれ使用と書かれているにもかかわらず、ホットサンドメーカーで焼いたおにぎりがまるっきり味噌焼おにぎりの味・香りがするのです。
おいしいけれど、「ん?なんで?」と疑問が頭をめぐります。自分の舌がおかしいのかと思い、夫に「このおにぎり食べてみて」と味見してもらったのですが、「うん、味噌がちょっと焦げておいしいじゃない」という感想でした。醤油も味噌も大豆が使われているので、焼くと味が似るのかもしれません。
いなり寿司は、外側の油揚げがカリッとしてかなり好きな味でした。ただ、酢の酸っぱい香りがかなりたっていたので、酢の匂いが苦手だという人は要注意です。酢は温めると酸味が飛ぶと思っていたため、かなり意外に感じました。
次は、「炭火香るサラダチキン」「したらば(カニ風味蒲鉾)」です。サラダチキンは焼おにぎりと同じく、ただでさえ炭火が香るものを焼いたらすっごく香ばしいのではと期待して選んでいます。……が、個人的にこの2品はどちらも微妙でした。
「サラダチキン」と「カニ風味蒲鉾」
まず、焼く前と後で見た目がほとんど変わらないためテンションがあがりません。味もチキンはパサついてしまい、したらばは焼くことでカニ感が激しく薄れてかまぼこ感が増しました。どちらもおいしくないことはないのですが、冷たい状態で食べるほうがおいしいです。
「ミートボール」
ミートボールは香ばしく焼けました。ようやく来たよ、香ばしさ!鉄板はかなり焦げ付きますが、娘のお弁当のおかずとしても好評でした。
しかし、ソースで鉄板が焦げ付くため、洗う前に水につけ置き必須です!
「サバ缶」
オリーブオイルさばは、加工したり、ひと味加えたりしないこととルールを決めた自分が憎くなる味です。チューブのにんにくをほんのちょっと加えるだけで劇的においしくなるんじゃないか、という可能性を感じる一品でした。
ただし、ルールを遵守してちょい足しはしなかったので、本当においしくなるかどうかはわかりません。
「どら焼き」
デザートのどら焼までたどり着きました。おつかれ、私!
これはおいしいです。リピートすると思います。表面が香ばしくなって、中のあんこがぎゅっと濃縮された甘みになって、かなり好きな味でした。
ちなみに、鉄板にバターをちょい足しして焼いたら、さらにワンランクアップの味になりそうです。
「ホイコーロー丼」
手軽さを追求するのであれば、ご飯とおかずが一緒になった丼ものを焼くのはどうだろうと思い立って、追加で「四川風ピリ辛ホイコーロー丼」を焼いてみました。
かなりのボリュームですべては入りきりません。まずはご飯を半量入れて、その上にホイコーローも半量乗せました。卵は後乗せしようか迷ったのですが、後乗せは手を加えることになるのかなと思いそのまま乗せて焼いていきます。
丼ものによるとは思いますが、ホイコーロー丼は焼いて大正解です。ぎゅっと圧縮するので、ご飯にホイコーローの味が染みてどこを食べてもおいしくできました。
ご飯がちょっとカリッとするのもポイントです。量は女性や子どもならばホットサンドメーカーに入り切る分量で十分だと思います。
あ、残った半分はあとでおいしくいただきました!
まとめ
食材をそのまま焼くというルールのもとでは油もひけないため、焦げ付いたりパサついたりする食材も一部ありました。ただ、見慣れたコンビニ食材がホットサンドメーカーで焼くだけで、「どうかな?おいしいかな?」「おお、いい香りだ!」とテンションをあげてくれる食材に早変わりするので、試していてとても楽しかったです。手軽に非日常感を味わいたい人は、ぜひコンビニでお気に入りの食材を探してみてください!