エアコンが、これだけ普及してもエアコン暖房を嫌う人がいます。理由は「乾燥」です。このため、他の暖房器具をわざわざ入れる人も多いです。しかしもったいないではありませんか。では、どうすればいいのかを今回はレポートします。
なぜ、エアコン暖房は乾くのか?
初夏、梅雨時のエアコンは「除湿」に使われます。これは冷房時、室内ヒートポンプは低温となるので、空気中の水分が結露するからです。水はドレンポンプを通じ、外に排出されます。この室内機が冷房の時、室外機は暖房をしています。冬場はこの逆、室内機が暖房をしている時、室外機は冷房しているのです。このため、冬、暖房時、室内機は水分を外に排出することをしません。つまり、室内の水分を外に出すことはないのです。
では、なぜ、エアコンで「乾く」と感じられるのでしょうか?
理由は、冬場は全体が「低湿度」であることが挙げられます。そして、エアコンの「風(気流)」、そして「室温上昇」です。エアコンは「温度」を風で届けます。しかも効率を考えて、足元ですが、室内の人目掛けて、風を出します。自分の周りが低湿であるので、人は水分を奪われます。乾いた感じがするのですが、水をがぶ飲みするほどではない。それでも、肌が敏感な人は「カサっ」となっているとか感じます。
また、「室温上昇」は、湿度に対し大きな影響を与えます。エアコン暖房が、他の暖房より乾燥する感じは、ここからきています。
冬場の8畳間には、どのくらいの水分があるのか?
算出してみましょう。
8畳を例にとります。8畳は12.96m2。今の日本の建築だと床から天井までの高さは、2.4mほどですから、その容積は31.1m3になります。
さて、実際に、水分を算出するには、普段使っている「相対湿度」でなく、「絶対湿度」を使います。絶対湿度の単位は、「g/m3」。その温度下、1m3の空気の中にどの位あるのかを示します。その時、空気に含ませられるまで、含ませた水分量を、飽和水蒸気量と言います。これが相対湿度でいう100%。空気の体積などは温度により変わりますので、飽和水蒸気量も温度により変わります。
室温:20℃、相対湿度:60%として算出してみましょう。飽和水蒸気と温度の関係は、グラフ化されておりネットでも色々なところが公表しています。約17g/m3 です。これに8畳の容積をかけると、528.8g。これが飽和湿度:100%。相対湿度:60%だと317.26g。大体、マグカップ1杯程度の水分です。
部屋を温めると湿度はどの位下がるのか?
そして、温度が25℃まで上がったとします。そうすると、この水分量では、湿度:46.4%。ここまで低くなるとのどが乾くわけです。
要するに、暖房時は加湿しなければ「乾く」のです。ただし、60%を維持するなら、その差は100g弱。そんなに多くの水分を補給しなくても大丈夫ということがわかります。
しかし、これはあくまでも「空気」のみです。実際部屋には、木の家具をはじめ、建物すら、水分の出し入れをしています。ただわかって欲しいのは、加湿器は常にMAXで使う理由はないということ。600ml/hrの最強モードなどは、1時間も使うとキャパオーバーになります。
最も有効な加湿方法
加湿など、目に見えないモノ相手の場合、「オート」がかなり有効な手として使えます。しかし、より効率よく使おうとすると、エアコンの正面に加湿器を置くことです。そうすると加湿器から放出された水蒸気はエアコンの気流に乗りますので、部屋の隅々まで行き渡ります。部屋の空気を均一にするための気流ですからね。これでオートにすると無駄な加湿も防ぐことができます。
一歩先ゆくエアコンも
空調専業メーカーであるダイキンは、「エアコンが空調の中心である」という考えを持っています。その考えで作られるエアコン、「うるさらX」シリーズは、今までエアコンでできなかった、色々なことができます。ベーシックなエアコンは確かに、「温度」「除湿」の2つですが、それとは一線を画します。
「うるさらX」は、「温度」「除湿」「気流」に加え、「加湿」「換気」ができます。あと残っているのは「微小空中浮遊物」「VOC」という、空気清浄機が担当している機能です。
しかし、通常のエアコンでも「温度」「除湿」「気流」は、ほとんど対応している上、日本メーカーの空気清浄機は加湿器付きが多い。エアコンに足らない要素が、きちんと詰まっています。(「換気」は自分でお願いします)
「うるさらX」はお値段が張るモデルですから、今は手にできないとしても、「空気清浄」機能まで搭載すると、搭載する物がなくなりますので、あとはひたすらコストダウン! 手を伸ばしやすいモデルも期待できます。
なにはともあれ、今、加湿器をお持ちなら「位置を変更」するのが賢い使い方。使いこなしてみませんか。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京散歩とラーメンの食べ歩き。