【天下無双の和スイーツ】干し柿であって干し柿でない?「会津みしらずあんぽ柿」の美味しさと食感に魅了された話

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福島名産のあんぽ柿。その甘みを引き出す干し方に新しい技術が入ってきました。その結果は驚天動地、南国フルーツと遜色ない「甘さ」を実現させました。それが「会津みしらずあんぽ柿」。今回は、無添加、無着色、無香料の自然食品で、天下無双の和スィーツ、「会津みしらずあんぽ柿」をレポートします。

「会津みしらずあんぽ柿」をレポート

桃、栗 三年、柿八年。猿蟹合戦。「柿食えば 鐘がなるなり 法隆寺」等々。日本で柿は、すこぶる身近な果物でした。「渋柿は食べられないじゃないか」という人もいるでしょうが、渋柿が持つ柿渋(植物性タンニン)は、相性の問題で革なめしには使えなかったものの、防腐、防水、防虫、消臭、抗菌、抗ウイルスなどの効果があるので、傘の防水効果からはじまり、実にさまざまなものに使われてきました。吉野名物「柿の葉寿司」は押し寿司を柿の葉で包みます。その上、実を干しておくとだんだん渋柿がなくなり、渋みが抜けます。このため柿は、自宅の庭に割とよく植えられていました。

しかし、令和の時代、柿はどうでしょうか?
知ってはいるけど、林檎、蜜柑ほど、店頭には並びません。理由は簡単。そんなに甘くないのです。甘い柿として富有柿、次郎柿は有名ですよね。でも柿の半分は渋柿です。干すなどして、渋抜きしないと食べられません。ところが、渋を抜いた渋柿は、甘柿より甘いのです。このため干し柿は、和菓子として茶請けに用いられることもあります。
単に日干しすればいいという訳ではなく、改良も加えられております。中でも、福島エリアの「アンポ柿」(甘干し柿(あまほしがき)が転じてこう呼ばれるようになった)は、大正時代、アメリカ カリフォルニアからレーズンを作るときに用いられていた、硫黄燻蒸の技術が持ち込まれてから、表面がオレンジ色のままの干し柿を作ることに成功しました。

そして今、干し方に新しい技術が入ってきました。その結果は驚天動地、南国フルーツと遜色ない「甘さ」を実現させました。それが「会津みしらずあんぽ柿」。今回は、無添加、無着色、無香料の自然食品で、天下無双の和スィーツ、「会津みしらずあんぽ柿」をレポートします。

anpogaki.theshop.jp

驚きの甘さの「会津みしらず柿」とは

将軍が「うまい」と言った会津の渋柿

江戸時代の最高権力者、徳川将軍。しかし家康が鯛の天ぷらを食いすぎて腹を壊し、命を縮めたという都市伝説以外、余りグルメ的な話は出てきません。まぁ、毒見も含め、料理が仕上がって将軍の口に入るまでは、作られてほぼ半刻(1時間)位時間が経っていますので、料理が冷めてしまいます。どうしても美味しくない。将軍が美味いと言ったとしても、ちょっと割り引いて考える必要があります。

しかし、そんな中、違う食材があります。フルーツ。江戸時代は当然常温で出されますので、余り時間の影響を受けない。その中でお褒めの言葉を頂いたのが、「会津のみしらず柿(身不知柿)」(渋柿)。

奇妙な名前ですが、名前の由来はいくつか説があります。

枝が折れそうなほどにたくさんの大粒の実を、「身の程知らずな」ほどつける柿であるという説。

また、将軍に献上したところ、「未だかかる美味しい柿を知らず(これほど美味しい柿は初めて食べた)」と言われたためだという説。会津は、三代将軍 徳川家光の異母弟の保科正之以降、松平姓を賜った親藩。幕末は、新撰組のスポンサーにもなるわけですが、いくら忠臣でも家来は家来。将軍がおべっかを使う通りはありません。

さらに、あまりに美味しいので「我が身も考えずに食べすぎてしまう柿」だからという説もあります。

令和の時代、徳川将軍はいませんが、この柿、皇室に献上されています。当然ですが、渋柿は渋を抜いた時点での美味しさ。渋柿は渋を抜くと甘柿より甘い場合が多い。みしらず柿も、伊達、白河、須賀川にもあります。中でも「会津みしらず柿」はとにかく美味しい柿です。

山内果樹園の「会津みしらず柿」

yamauchikajuen.hp.gogo.jp

「会津みしらず柿」で作ったあんぽ柿はもっと甘い

甘い柿をさらに甘くする現代の技術

しかし、福島の友だちに言わせると、渋を抜くだけより、干した方がより美味しいと言います。独特の干し方で、ずっと甘くする方法があるというのです。それが「あんぽ柿」と言います。

あんぽ柿は、硫黄燻蒸(燻蒸:主に害虫駆除や防カビ・殺菌の目的で、気体の薬剤を対象に浸透させる方法。)で作られます。これは大正時代、アメリカ カリフォルニアでレーズンを作っていた技法が持ち込まれ定着したもの。これには別のメリットがあります。果実はポリフェノールが酸化することにより黒ずみます。硫黄燻蒸は、この酸化を抑えます。つまり、柿特有のオレンジ色が保たれるのです。

しかし、今の時代、もっとすごいことを考えた人がいます。あんぽ柿の「みずみずしい柿色」「ドライフルーツとは思えないみずみずしさ」をキープしたまま、「より甘く」できないか。ということです。甘くなるというのは熟成をするということで、その先にあるのは腐敗ですから、商品として成り立ちません。しかし、熟成させた柿をさらに熟成させ、甘みを増す技術など、あるのでしょうか?

山内果樹園が行う「低温乾燥」という方法

その技術を用いて「会津みしらずあんぽ柿」を作っているのが山内果樹園です。使うのは、「低温乾燥」。渋を抜いた会津みしらず柿を、低温熟成乾燥させるのです。凍ると基本、命は無くなります。生命は、この死ぬことに対し最後まで抵抗します。植物の場合、糖度を上げることにより、凝固点降下を引き起こし、マイナスでも中の水分が凍らないようにするのです。

山内果樹園の「会津みしらずあんぽ柿」

yamauchikajuen.hp.gogo.jp

一口食べて、ものすごくびっくりしました。「甘い、すごく甘い」。私も色々なものを食べてきましたが、びっくりするほどの経験は、そんなにありません。果物では、初めてスロージューサーでリンゴを搾って飲んだ時です。甘い。嘘だろうと思えるほど、暴力的に甘く、美味しいのです。蜜ののったリンゴを食べる。スムージーにして飲む。そんなぼやけた甘さではありません。シャープな、目が覚めるほど甘い。果糖の純粋な甘さを感じます。

会津みしらずあんぽ柿も、甘さに関しては似た感じです。柿らしい繊維質さえなければ、完熟した南国フルーツと言われても、頷いていたかも知れません。果物の甘さで、ここまで「甘くて美味しいとは!」 久しぶりに心底驚嘆しました。

注)自然加工品ですので、個体差があります。

色味も食感もいい

「会津みしらずあんぽ柿」の魅力は「甘さ」だけではありません。「色味」「食感」ともにいいのです。

まず「色味」。赤味かかったきれいなオレンジ。干しモノにありがちな燻みはありません。秋の夕日をそのまま纏ってしまったかのようにも思えます。

そして「食感」。繊維質で柿だとわかると前述しましたが、それ以外は圴一の食感です。柿の実一つ丸ごと使っているはずなのに、種もありませんし、芯も感じられません。一流パティシエのスイーツに匹敵します。山内果樹園のみしらず柿は、いわゆる「種なし」なのですが、それが美味しさだけでなく、食感もいい感じに高めています。種がある柿をあんぽ柿にしても、この感触は得られませんし、種周りはやや固く、味が濁る時もあります。それがないのは嬉しい限りです。

フルーツという自然食でありながら、食感よく、驚異的に甘い。それが夕日色の中に凝縮されている稀なフルーツ。それが「会津みじらずあんぽ柿」なのです。

「会津みしらずあんぽ柿」と干し柿との違いは

「会津みしらずあんぽ柿」は、ドライフルーツの一種です。昨今人気のドライトマトでもご承知の通り、干す(ドライ)という作業はその実の中で、成分を煮詰めているようなモノ。味は濃厚になります。しかし、人はある程度水分がないと、非常に食べにくく感じます。

あんぽ柿を含む干し柿は、柿を丸々一個使います。かなり大きい。ある程度食べやすくなければ、食べきれません。このため、みしらずあんぽ柿は、30〜40%と、かなり水分を残しています。

このため干し柿と違い、保管時は「要冷蔵」です。だからこそ、食べやすく、美味しいのです。

そのまま食べるだけでもおいしいが…

酸味、塩味のある食材とマリアージュ

ここまで甘いと単独で食べるだけでは、ちょっと勿体ない。ということで、他の食材とマリアージュ。と言っても大袈裟なモノではありません。半口大に切り、他の食材と一緒に食べようというわけです。

私が試したのは、ヨーグルトとクラッカー。ヨーグルトは、みしらずあんぽ柿に負けないよう、できる限り濃厚なモノの方がベターです。美味しい。仕事柄目を酷使するので、ヨーグルトにはブルーベリーと思っていたのですが、なんとあんぽ柿には大量のビタミンAが含まれます。いい感じです。ちなみに、乾燥により一番低下するのはビタミンC。ビタミンの中でも、壊れやすいです。他のは残るので、水分が減った分、濃縮されます。このみしらずあんぽ柿ヨーグルトは、味は贅沢な上、効能もばっちりと言う感じです。

もう一つは、チーズクラッカーの上にのせます。美味しさ3倍増。濃厚なシングルモルトにも負けません。元々、洋酒は、味の濃いもの、チョコレート、オレンジピールなどがよく合います。

また、冷凍も結構いけます。溶けるのを待ちながら食べるという感じですかね。シャーベットと半生の、ルイベのような感じ。夏にはいいでしょうね。

自然の恵み、売り切れごめん

オンラインで購入可能

とても美味しい「みしらずあんぽ柿」ですが、ドライフルーツと言えども基本は農作物。時期を外すと手に入れられません。

今回、私が食しているみしらずあんぽ柿は、山内果樹園さんのモノ。ここの柿の木は、ほとんど樹齢が100年もの、中には200年を越すモノもあるとか。柿の木の寿命は50〜100年と言われていますので、よほど面倒をみなければ、こうは行きません。しかもモノを見ればわかるのですが、実に丁寧。一つ一つ一流のパティシェがあつらえたようです。こんな風ですから、時間は幾らあっても足りません。また要冷蔵の倉庫は、費用が書かります。

その上、流通も手間がかかる商品は避ける傾向にありますし、だからと言ってオンラインストアを始めるにしても、それなりの投資が必要です。

このため、山内果樹園さんは、ケイモンドコンサルティングと契約を結び、小口販売はケイモンドが持っているオンラインストアで行うことにしました。私もそこから購入しましたが、完全個装パック。スーパーで買ってきたお菓子のような扱いで対応できます。管理がメチャメチャ楽です。

【天皇献上品】会津みしらずのあんぽ柿 | 会津みしらずのあんぽ柿 powered by BASE
豊かな自然と良質な水に恵まれた会津みしらずのあんぽ柿です。柿そのものの自然な甘さとしっとりした軟らかさの上品な味わいをお楽しみにください。ーーーーーーーーーーーーーーー冷凍(マイナス18℃以下) 1年冷蔵(10℃以下) 20日通常(直射日光をさけ、涼しい場所) 14日但し、保存状況により色、風味が若干変わる場合がございます。ーーーーーーーーーーーーーーー

特産物は管理が必要

なぜ日本全国に「あんぽ柿」があるのか

さて、このフルーツ好きな人たちの中で話題になり始めた「あんぽ柿」ですが、元々は福島の名産。しかし、今や、日本全国色々なところが、あんぽ柿と言う名称を使っています。

これは食文化として、実に寂しいことです。「名物」という言葉は茶器からきています。それが全国に広まったのは江戸期。侍という生産しない人を大量に抱えていた江戸時代、各藩は稼ぐ必要がありました。そのため、その土地の特産物で名物を作り出したわけです。

みしらず柿など福島特産の柿があり、それを干した干し柿は美味しかったと思います。それを大正期、硫黄で燻し、名物にしたわけです。そして、今回硫黄燻蒸の代わりに、低温乾燥を使ったモノが出てきたわけです。

しかし、これら全て「あんぽ柿」と称されます。元々あんぽ柿は、甘干し柿が転じたもの。普通の干し柿の外見だった江戸期のものも、オレンジ色のままの大正以降のものも、山内果樹園が作る低温感想のものも全てあんぽ柿と呼ばれます。

しかし、今は世界で名産品を守るため、特産の定義付けがされています。フランスワインなどは国をあげて行っています。売れると必ずパチモンが現れます。福島のあんぽ柿は、まだそこまで行っていません。行政がもっと頑張るべきです。

海外でも認められた品質

実は、あんぽ柿、広範囲でいうあんぽ柿。福島県が、海外に売り込み行き、UAEが応じた旨がニュースになりました。砂漠の民であるUAEはドライフルーツに慣れ親しんでいたのがその理由と報じられました。

しかし、私はこんな話を聞いたことがあります。フルーツ業界というのは、仕入れたフルーツの内、かなりのフルーツが売れ残り腐ってしまうそうです。

東京でも有名な「千疋屋」さん。日本橋、京橋と 1kmも離れていないところにお店がありますが、これ支店ではありません。暖簾分けの別会社です。要するに、腐った場合の損失フォローができないからです。その位、フルーツ屋はシビアなのです。このため作ったのが「パーラー」ですね。半額で一番美味しいフルーツが食べられます。捨てるなら、半額でお客に提供し、美味しさを知ってもらおうという考え方からきています。それ位在庫管理がシビアなのです。

この千疋屋、帝国ホテルをはじめ、色々なホテルに納入しています。当然客層もいい。裕福です。UAEの富豪もその一人。あまりのメロンの美味しさに、お金なら全部出すから、ドバイに店を出して欲しいと言ったそうです。千疋屋の答えはノー。管理ができないと答えたそうです。こんな時、お金持ちはワガママ。引き下がりません。

で、このためルートが確実に管理できる空港、ドバイ空港に支店を出したそうです。

オイルマネーがあるとこうなります。贅を尽くすわけです。そこが輸入するわけですから、福島のあんぽ柿まずいわけがありません。

最後に

しかし、私はぜひ、皆さんに食べてほしいと思います。日本のしかも古くからのお馴染みの果物が、ここまで仕上がっていることに感嘆できます。最高級と言えども、会津みしらずあんぽ柿は、1個当たり、約500円。ワンコインでギリギリお釣りが来るレベルです。

当然、数には限りがあり、売り切りごめん。

甘党も左党も皆さんもご賞味ください。新しい世界が開けますよ。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング、ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散策とラーメンの食べ歩き。

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