ムサコのタワマンは本当にオワコン? 人気急落と噂の武蔵小杉でマンションを売ったり買ったりしてみた

レビュー

今回は、武蔵小杉でマンションを売ったり買ったりした体験レポです。2019年10月に発生した台風19号で浸水被害にみまわれて以来、武蔵小杉に関してたびたび「人気急落」「ムサコのタワマン住民の悲痛な叫び」的なネガティブ記事が出回ります。テレワークが長引いたことで、今より広いマンションへの買い替えを考えた「ムサコタワマン住民」の著者は、「人気や価格が下がっているなら、同じ武蔵小杉エリアでマンションを売って買えば、影響が最小限で済むんじゃない?」とひらめきました。さて、そう上手くいくのでしょうか。

で、武蔵小杉って実際どうなの?

「住みたい街ランキング」の上位常連だともてはやされたり、「トップ10から陥落した」と揶揄されたりと、何かと話題にあがる武蔵小杉。

武蔵小杉の実際の評価はどのようなものなのでしょうか(写真はイメージ/photo-ac)

この街に10年以上住んでいる著者が引っ越しを検討して、改めて武蔵小杉という街について考えてみました。

なぜかバッシングしてもオッケー扱いに!?

2019年の浸水被害を機に、武蔵小杉という街に対する扱いが一気に変わった気がします。SNSでは「ざまあ」という主旨の書き込みがあふれ、あの台風によって各地で甚大な被害が出たにも関わらず、メディアは武蔵小杉を襲った悲劇を延々と報じました。

大きな話題となった「トイレ禁止マンション」ではないものの、著者の住むマンションもそれなりに浸水や停電の被害を受けたため、被災した数日後にレポーターの方の取材を受けたことがあります。

「エレベーターが止まった上に、非常階段が停電して困りました」と筆者が話すと、嬉々としてカメラを向けられたのですが、「管理会社が要所要所に懐中電灯を置いてくれたり、たまたますれ違う住民の方たちが足元を照らしてくれたり、お互い声を掛け合ったりして、いいコミュニケーションが生まれていますよ」と続けると、カメラを降ろされてしまいました。

……うん、そういう「武蔵小杉ちょっとイイ話」は不要のようです。

「いやいやいや! 被災して、こんなにバッシングされることってある!?」と思うほど、武蔵小杉タワマン住民の悲劇は、一種のエンターテインメントとして消費されました。

住み心地や利便性はむしろアップ

あれ以来、台風の季節になるとちょっぴりビクビクしてしまう著者ですが、武蔵小杉の住み心地や利便性は、むしろアップしています。

例の台風の翌月には、相鉄・JR直通線が開業して武蔵小杉と相鉄線方面が直通で結ばれました。また、相鉄・東急直通線も、2023年3月に開業予定です。乗り換えが面倒だったので、新横浜まで直通で行けるようになるのは個人的に朗報!

よく言われる、武蔵小杉の改札・駅のホームがめっちゃ混む問題も、テレワークの間は関係ありません。そもそも、駅の改札やホームで待つ時間を含めても、自宅から都心にある会社までの所要時間は30分弱です。

2020年には、駅前に複合施設「Kosugi 3rd Avenue」が開業、2021年には駅前の「こすぎコアパーク」がリニューアルオープンして、カフェダイニングなどの飲食施設も営業を開始するなど、まだまだ再開発は続いています。

再開発された街なので街並みは綺麗ですし、緑が多くて道は概ね平坦、大型商業施設もあって日々の生活や子どもを遊ばせるのに便利です。住み心地、利便性ともに良く、実際に10年以上住んでみた実感として治安も悪くないように感じます。

コロナ禍で引っ越しを決意!

武蔵小杉で何の不満もなく暮らしていましたが、コロナ禍でちょっと事情が変わりました。

テレワークの影響で引っ越しを決意しました(写真はイメージ/photo-ac)

夫婦ともにテレワークがメインになったことで、「もっと広いところに移りたい!」ということになったのです。

どこに引っ越すか問題が勃発

「湘南エリアとか海の近くもいいねえ」「都内ってどうよ?」と、どこへ引っ越そうかいろいろと妄想が広がります。テレワークで比較的自由がきくので、エリアや築年数などにこだわらなければ、神奈川県内3LDKで1000万円を切る物件もありました。

ただ、一通り妄想を楽しんだあと現実に立ちかえると、高齢になってきた双方の親との距離、子どもの学校問題、今後もテレワークのままなのか…など、問題が山積みです。

そういったことを考えて、やはり、都内か神奈川県の利便性が高い駅エリアがいいということになりました。利便性を優先するのであれば、お値段もそれなりにかかります。ついでに、候補に挙がった街の住みやすさ、子どもの学区、口コミ、治安などを、その都度ちまちま調べるのも大変です。

武蔵小杉エリア内での引っ越しをひらめく

その上、住んでいるのは、何かとやいやい言われがちな武蔵小杉。

「今のマンションが買いたたかれたり、買い手がつかなかったりしたら、どうする?!」「そうしたら、次のところを購入するローンが下りないだろうねえ」と不安が募ります。

そこで私たち夫婦はひらめきました。

あ、武蔵小杉から武蔵小杉に引っ越せばいいんだ、と。

街の人気が下がっていて、マンションが安くでしか売れないとしても、同じエリアで、次を同じくらい安く買えば、影響は最小限で済みます。武蔵小杉であれば、調べる間もなく街の情報は把握していますし、生活環境や子どもの習いごとも変えずに済みます。

こうして私たちは、武蔵小杉でマンションを売ってマンションを買うことに決めました。

次の章では不動産会社を選定していきます…!

不動産会社を決める

決めたはいいものの、大手不動産サイトで検索をすると、お手頃な物件もあり、驚くほど高い物件もありで、なかなか武蔵小杉の相場が把握できません。予約なしで行って見学ができるオープンルームの物件がいくつかあったので、まずはそこに行ってみました。

武蔵小杉の相場と仲介手数料にビビる

いくつもマンションを見学してわかったのは「武蔵小杉、相場がむしろ上がってるんですけど!?」「仲介手数料、高すぎぃぃぃ!」ということ。

お手頃な物件は、周囲の環境や、築年数や、駅からの遠さや、そのほか何らかの要因があるところがほとんどです。10数年前の相場と全然違うのは当たり前としても、なんなら台風前の相場よりもぜんぜん上がってます。うそぉぉ。

そして、意外に侮れないのが、仲介手数料です。法律で上限が決められていて、400万円を超える売買価格のときには、以下のような計算式になります。

仲介手数料=売買価格×3.3%+66,000円(税込)

例えば、売買価格が5,000万円であれば、仲介手数料は171万6,000円です。

仲介手数料だけで、ひゃ、ひゃくまん越え……。

これが、売るときと買うときで2回かかると思うと、せまくてもいいから引っ越しを止めようかとさえ思ってしまいました。

不動産会社を決めて手数料の割引を交渉

オープンルームをまわったときに、どこの不動産会社の担当者さんも「マンションの売買を両方お任せいただけるなら、手数料を割引します」と言っていました。

ふむ。どうせ同じエリアで売って買うのなら、同じ不動産会社に頼んで手数料を割引してもらうのはアリです。ただ、売るのも任せるからには、手数料の割引率だけではなく、我が家を買いたたかれずに売ってくれる、敏腕営業マンにお願いしなくてはなりません。

そこで、大手不動産サイトでいいなと思った物件のいくつかに問い合わせをして、担当不動産会社の営業さんから話を聞いてみました。その中に1人「あ、いけない!うっかり内覧も行かないうちに、そこ買いますって言いそうになったわー」と思った凄腕さんがいたので、売却も同じ方が担当してくれること、売買ともに手数料を割引してもらえることを確認して、売買ともにお任せすることにしたのでした。

武蔵小杉でマンションを売ったり買ったりしたら

不動産会社も決まったところで、本格的にマンション売買を進めていくことになります。

本格的に武蔵小杉内でマンション売買を進めていきます(写真はイメージ/photo-ac)

売る方は、マンションを査定してもらったり、自宅内の写真を撮ってもらったり、不動産サイトに掲載してもらったりと、やるべきことが多いため、そちらを進めつつ、まずは買うほうが先行することとなりました。

武蔵小杉でマンションを買ってみた

不動産会社の担当者の方に、自分たちの希望・予算・引っ越し目標時期などを詳しく伝えて、その上で絶対に譲れないポイント、妥協してもよいポイントなどについても決めていきます。

自分たちでも、引き続きサイトなどで探しはしましたが、結局は、担当者の方が希望に合わせて「〇〇の条件以外はぴったりの物件ですよ」とおすすめしてくれた物件にあっさりと決めてしまいました。とりあえず内覧だけ…という気持ちで行ったのですが、担当者の方が凄腕なのにプラスして「あ!ここ住みたい!」という直感がはたらいたのです。

オープンルームならともかく、まだ住人が住んでいる家の中を見せていただくことになる内覧は、滅多に行く機会がないので、今にして思えば、もっといろいろなおうちを見てから決めればよかったなあと少し残念です。

武蔵小杉でマンションを売ってみた

早々に買う方を決めてしまったので、あとは売る方に注力! 今度は「マンションを買ってもらう立場、家の中を見てもらう立場」での内覧です。

あああ、自分たちが内覧に行ったときに、住人の方はどんな態度だったか、どんな説明をしてくれていたかが改めて知りたい!!! そう思いましたが後の祭りです。緊張しながら、毎回「今日は張り切って話しすぎちゃったかな」「あそこ、拭いとくんだった!」などと反省しながらトライ&エラーで進んでいきます。

武蔵小杉という場所柄がいいのか、内覧はほぼ毎週末のように入りました。つまり、契約にたどりつくまで、毎週末はろくろく予定が入れられず、掃除にあけくれながら過ごすことになるわけです。

最終的に、不動産会社を訪ねてから3ヶ月ほど、内覧が始まって1ヶ月半ほど経った頃に、「買いたい」と言ってくれる方に出会って、契約を結ぶことができました。ほっ。

まとめ

武蔵小杉でマンションを売ったり買ったりした結果、どちらも「新築時よりかなり値上がりした金額」での取引だったことにびっくりしています。売る方だけ安くて、買う方だけ高いなんていうことにならなくてよかったです。一生に何度もない大きな買い物なので、悔いが残らないようにしたいですよね。「なんとなく」で乗り切ってしまった我が家が言うことではないですが、不動産の売買は事前に相場などをしっかり調べてから望むほうがいいと感じました。

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