【撮影ボックスDIY】100均アイテムで写真が劇的に美しく撮れる 自作レフ板と背景紙の選び方も紹介

ハンドメイド・DIY

筆者のように写真を撮ることを生業としていなくても、ブログや SNS、インターネットオークションなど、「写真を美しく撮りたい」というシーンは最近増加しているようです。そのせいか、「簡単・キレイに写真が撮れる方法がないか?」 という質問を受けることが多々あります。そんなときにおすすめするのが、「撮影ボックス」です。とはいえ、本格的な撮影ボックスは意外と高価。そこで本記事では、100均のアイテムを利用して約1,500円の予算で、「撮影ボックス」はもちろん「ミニレフ板」や「背景紙」まで用意する方法をご紹介します。

執筆者のプロフィール

齋藤千歳(さいとう・ちとせ)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在は昨年8月に生まれた息子と妻の3人、キャンピングカー生活にハマっており、約1カ月かけて北海道を一周するなどしている。

「撮影ボックス」とは

市販の「撮影ボックス」はやや高価

「撮影ボックス」は、商品撮影などに向いた柔らかい光が、全体に回るように作られた半透明素材のボックス。6面のうち前面が開いており、そこからカメラを向けて撮影できるようになっています。背景をすっきりさせて撮影できるように、背景紙などを取り付けられるものが多くなっています。

この「撮影ボックス」は、簡易的なものではありますが、とても便利。プロのカメラマンが商品などを撮影する際には、トレーシングペーパー(トレペ)などを活用して、柔らかい光が商品全体に回るようにセッティングを行うことが多いですが、プロでも撮影ボックスを愛用する人は少なくありません。ただし、それなりのサイズの商品が撮れる大きさの撮影ボックスだと、数千円という価格になってしまいます。

どのくらいの頻度で使うのかわからないものに、いきなり数千円の出費は厳しいという方も多いでしょう。そこで、まずは100均のアイテムを活用し、約1,500円で「撮影ボックス」はもちろん、よりきれいに撮影するために必要になる「ミニレフ板」や「背景」までを用意する方法を紹介していきます。

筆者が愛用している「ケンコー EASY PHOTO STUDIO LG-EPS01」。折りたたみもできて便利ですが、お値段は約5,000円です。

「撮影ボックス」を自作する

材料はすべて100均で購入

前項で紹介したように、筆者は「ケンコー EASY PHOTO STUDIO LG-EPS01」を所有しています。その一方で、初心者向けに低価格の「撮影ボックス」の作り方を解説したり、知人や友人のために「撮影ボックス」を作ったりする機会が多いのです。その都度、工程を確認し、実際に撮影を行って使い勝手を検証し、より簡単により良い物ができるよう、少しずつ改良してきました。

そして現在、筆者がもっともおすすめする「撮影ボックス」の材料は下記になります。

▼デスクパーテーション マットタイプ(ダイソー・税込330円)

▼PPシート 乳白色 両面つや消しタイプ サイズ約335mm×500mm 2枚(ダイソー・税込220円)

▼粘着ワンタッチテープ 25mm×15cm(ダイソー・税込110円)

▼仮止め用養生テープ(ダイソー・税込110円)

▼グルーガン(ダイソー・税込220円)

▼グルースティック 20P(セリア・税込110円)

※グルーガンやグルースティック、仮止め用養生テープは、お持ちであれば必要ありません。

グルーガンやグルースティック、仮止め用養生テープなどをお持ちであれば、「撮影ボックス」制作の純粋な材料費は約660円です。

「撮影ボックス」制作に必要な道具と材料一式。100均ですべて購入しても税込約1,100円とかなりリーズナブルです。

養生テープで先に仮止めすると簡単

まずは、「デスクパーテーション」の下の部分に、グルーガンを使って「PPシート」を接着します。いきなりグルーガンで接着するのは難しいので、「仮止め用養生テープ」で仮止めしましょう。

「仮止め用養生テープ」で仮止めをします。グルーガンで接着後に剥がしてしまうので、きれいに貼る必要はありません。

グルーガンでパーツを接着する

仮止めした「デスクパーテーション」と「PPシート」をグルーガンで接着します。実をいうと「PPシート」を5枚買ってきて接着してもいいのですが、「デスクパーテーション」を使うと接着箇所が少なく済み、見た目はもちろん、強度面でもメリットがあるように感じています。

最終的には、「デスクパーテーション」の上下に「PPシート」を取り付けますが、筆者は、グルーガンで接着するのは下のみにしています。理由はあとで説明します。

筆者はあまり器用ではないので、グルーガンでの接着跡が美しくありません。

上部は「粘着ワンタッチテープ」で留める

「撮影ボックス」の下側は、「デスクパーテーション」と「PPシート」をグルーガンでしっかりと接着しました。しかし上側については、筆者は「粘着ワンタッチテープ」を約5cmずつの長さに切って3ヵ所、「撮影ボックス」の奥側の面だけに接着しています。上部を開閉可能にしておき、背景紙のセットや撮影物の配置などが簡単にできるようにしているのです。

写真に写っているのは2ヵ所ですが、「粘着ワンタッチテープ」を3ヵ所、「撮影ボックス」の奥の部分に接着しています。

「撮影ボックス自体」は、これで完成です。しかし「撮影ボックス」だけでは、美しく撮るのは難しいのです。次に、「背景」の選び方と「ミニレフ板」の作り方も紹介していきます。

背景紙の選び方

シワになりにくい素材はコレ

「撮影ボックス」の背景に取り付ける背景紙やバック紙というと、100均で言うならば模造紙などを思い浮かべる方が多いでしょう。

しかし、丸めた状態で販売されている普通の紙は、シワを伸ばすのが難しく、シワがついたままで撮影すると美しく仕上がらないことが多いのです。

そこでおすすめしたいのが、シワになりにくい、もしくはシワが目立ちにくい背景紙。今回筆者はダイソーで購入した「EVAスポンジシート 約500×300mm」(税込110円)を活用しました。EVA(エチレン酢酸ビニル)製のシートは、シワになりづらく、柔らかいので非常に扱いやすいです。筆者は2色ほど購入しましたが、さまざまな色のものが用意されているといいます。

ダイソーで購入した「EVAスポンジシート 約500×300mm」(税込110円)。 シワになりづらく、扱いがとても容易です。

「EVAスポンジシート」だけでは、気に入った色や質感が得られないということもあるでしょう。そういうときは、筆者も当然紙製の背景紙を使用するわけですが、そのときもできるだけシワにならない、もしくはシワの目立たない紙を選択するようにしています。

例えば下の写真のような「両面和紙包み紙」や「リバーシブルラッピングシート」「WAX PAPER」などを選択するようにしています。背景紙のシワは予想以上に目立ち、せっかく「撮影ボックス」を使っても、背景のシワが写真のクオリティを著しく低下させてしまうこともあります。できるだけシワにならない素材のものを選ぶと、撮影が楽になるでしょう。

筆者はラッピングシートなどシワになりにくい背景紙を探して使っています。各100円ショップごとにさまざまなラッピングシートがあるので、いろいろと試してみるのも楽しいでしょう。

ミニレフ板を作る

B5サイズのプラ板で作るとちょうどいい

「撮影ボックス」は、日が当たる明るい窓際などに置いて使うことが多いのです。しかし窓際に「撮影ボックス」を配置すると、光は背後から入ってくる逆光状態になります。そのため、より美しく撮影するためには、逆光状態を和らげるためのレフ板を使うのがおすすめです。

レフ板とは、被写体に向かって光を反射させ、その明暗差を和らげるために使用する板。白のほかに銀色や金色のものなどもあります。

今回は製作した「撮影ボックス」で使いやすいサイズのものを制作。セリアで購入した「プラ板 厚さ1.0mm B5サイズ 2枚入」(税込110円)を白色の布テープで接着して作りました。

作り方は非常に簡単。下の写真のように2枚のプラ板を折りたたみができるように2枚分の厚さ以上のすき間をあけ、白色のテープなどで貼り合わせるだけ。くの字に曲げてやると、自立する「ミニレフ板」が完成します。

これを撮影時に被写体の前に立ててやるだけで、被写体の前側が暗くなる現象を防いでくれるのです。

2枚のプラ板を隙間を空けて貼り合わせるだけ。セリアで2枚組税込110円で売られているB5サイズ厚さ1.0mmが使いやすくておすすめ。

写真の出来栄えに差は出るのか?いざ実写!

自作した「撮影ボックス」を使ってみる

完成した「撮影ボックス」の様子

完成した「撮影ボックス」は、下の写真のような状態です。単純に、半透明のプラスチック素材でできた囲いです。こんなものを使うだけで「本当にきれいに撮れるの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。

自作の「撮影ボックス」に背景紙を取り付けた状態。天面を開けることができるので、背景紙の取り付けや被写体の配置が容易です。

では実際に、「撮影ボックス」あり・なしで撮影した結果をご覧いただきましょう。

「撮影ボックス」なしで窓際で撮影

まずは「撮影ボックス」なしで、レースのカーテン越しに比較的柔らかな光が差し込む出窓を使い、ティーカップを撮影しました。

また、「レンズ交換式の一眼レフやミラーレス一眼といったカメラだからキレイに写る」という誤解を招かないように、コンパクトカメラで撮影しています。撮影モードは絞り優先AE、いわゆる「A」モードや「Av」モードです。 撮影時には、明るさをコントロールするために露出補正をすることをおすすめします。

レースのカーテンで拡散された光を利用し窓際で撮影をしてみました。「撮影ボックス」は使っていませんが、撮影条件は悪くないでしょう。

撮影結果は、下に掲載した写真のとおりです。それなりに柔らかい光で撮影できているため、非常に汚い写真ではありませんが、あまり美しいともいえません。さらに柔らかな逆光条件で撮影しているため、ティーカップの正面がやや暗くなってしまっていることが気になります。

これだけ撮れていれば気にならないという方もいるでしょう。しかし「撮影ボックス」と「ミニレフ板」を使うと写真は格段に美しくなります。

「撮影ボックス」ありで窓際で撮影

同じ場所に同じように、ティーカップを置いて撮影します。ただし、自作した「撮影ボックス」の中にティーカップを配置し、「背景」も使い、手前が暗くならないように「ミニレフ板」も配置しています。

カメラは当然同条件のコンパクトデジカメを使用し、絞り優先AEで露出補正を行い、明るさをコントロール。逆に言えば、それ以外ほとんどなにもしていません。

「撮影ボックス」に「背景」も配置して、手前に「ミニレフ板」を置いて撮影しました。こちらもコンパクトデジカメの絞り優先 AE で撮影しています。

さて、下の写真を見てください。窓際にティーカップを置いて撮影した先ほどの写真と比べると、格段に美しく仕上がっていると思います。違いは、「撮影ボックス」と「ミニレフ板」をだけ。非常に簡単です。

撮影ボックスとレフ版を使っただけで、かなり大きな効果が得られます。

まとめ

スマホでも高い効果が得られるので、ぜひ試してみてほしい

今回紹介した自作の「撮影ボックス」と「ミニレフ板」を使った撮影テクニックは、光をコントロールして被写体を美しく見せる撮影テクニックです。カメラの設定などを利用したテクニックではないので、スマホで撮影しても美しい光の中で被写体を撮影でき、同じような高い効果が得られます。

100均のアイテムを利用すれば、すべてを購入したとしても1,500円程度で「撮影ボックス」「背景紙」「ミニレフ板」を入手可能。インターネットオークションはもちろん、ブログやSNS、手作り小物の撮影などのクオリティを劇的にアップすることができますので、ぜひ試してみてください。

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齋藤千歳(フォトグラファーライター)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9㎡の仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。北海道の美しい風景や魅力を発信できればと活動中。

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